イギリスでFluをもらったみたいで。
今のうちにデイトナ日記を書いておこう。
3月3日(土)
いつものようにあらかじめパッキングなどしていないので、カメラやメモ帳など仕事道具以外は「あとはクレジットカードとお金とパスポートさえあれば」とつぶやきながら、手当たり次第、バッグに詰め込む。
予定通りYCATからリムジンバスに乗り、たった70分で成田到着。
今回はマイレージを使って無料で世界一周チケットを手に入れたが、気に入らないのはアメリカ行きの飛行機がコンチネンタルだったことだ。フォークとナイフがペラペラのプラスチックではなくちゃんとステンレスだったのはいいが、久々に「エサ」が出た。デルタの方が1.1倍マシだ。つまり、大差ない。大差ないけど、デルタの方が座席が広いので自分の中では米国系航空会社としてはマシ認定。あと同時テロのとき唯一被害を受けなかったので。
とかなんとかいいつつ、今回はなぜかニューヨークのニューアーク経由オーランドからアメリカ入り。ニューヨーク経由だなんて時間がかかるなーと思っていたのだが、飛行機が最新鋭の747-400? だったかなエアバスだったかな、成田から12時間で着いてしまった。以前、ニューヨークから日本に帰ったとき、ニューヨークから大陸横断で6時間、西海岸から日本まで11時間だったのでなんか感慨深い。
ニューヨークからオーランドまで3時間ちょっと。
レンタカー屋さんでクルマをピックアップ。一番安いクラスだと韓国車なので、1クラス上を指定しておいたら、フォードのなんとかいうクルマだった。今回の旅で、やたらあちこちで、信号待ちでもガソリンスタンドでも声をかけるのでなんだかなーと思っていたら、最終日、ケンセイさんに「ちょっと横に乗せてくれんやろか、全開くれてみてくれんやろか」と言われ、そのクルマはムスタング(マスタング?)というクルマだということが判明。つくづく自分はクルマ音痴なことを思い知る。
子どもの頃、近くに日産の追浜工場があって社会科見学は日産かポーラかブリヂストンかと相場が決まっていたのだが、スーパーカーブームのころ、多くの地元小学生は、日産が「フェラーリZ」を作っていると勘違いしていた。私もオトナになるまで、フェアレディZがクルマのモデルの名前で、フェラーリがイタリアのメーカーの名前かどうか判別が付かなかった。
こんなにオトナになってやっと、ムスタングはムスタングというメーカー名なのではなく、フォードのモデル名なのだととくとケンセイさんに説明され知るとは。とほほ。
宿に着くとすでにデーブさんはダースベイダーあらためチョハッカイ仕様で夢の中であらせられて、かわりにコウさん(「ぶらりデイトナひとり旅」のブーツヒルサルーンのあたりで登場してます!)が出迎えてくれた。
コウさんとはこのあと、今回の旅の帰りがけ、思いがけず裏デイトナツーリングルートを開拓することになる。
3月4日(日)
行ったことのないデイトナ有名スポットを訪れようと、朝からドライブ。クルマがクルマなのでとにかくあちこちで声をかけられる。
アイアンホースサルーンは噂に聞いていた通り、雰囲気ばつぐん。ああいうところでのんびりビールを飲みつつバイク談義したいものである。自分がバッセンジャーかタンデマーになる必要があるけれど。
メインストリートもすでにエライことになっていて昼から馬鹿騒ぎ。
オーモンドビーチH-Dにも寄ってみる。前後の道は単なるハーレーのディーラーがあるというだけなのに大渋滞。オーモンドビーチH-Dはあまりに巨大で、例えるなら、ちょっとした日本の郊外のイトーヨーカドーとかそういう複合型ショッピングモールくらい大きい。
ガソリンが1ガロン(約4リットル)=約2ドル48くらいに上がった。かなりのインフレだ。
とはいえ、人々を見ていると好景気に沸くバブルっぽい感じがする。
3月5日(月)
ゆっくり起きてスピードウエイへ。AHRMAのレースで、「ぶらりデイトナひとり旅」を登場人物に渡すためである。
今年はなんと、入場料無料、インフィールド入場料も無料だった。
中にはいってそのわけが判ったのだが、バンクのあるターン4のあたりは、有料キャンプ場に、反対側ターン2側は有料のHOG村(たしか40ドルとかいうけっこう高い金額だった)になっていたからだった。
つまり、今年はバンクにクルマで乗り付けられない、というわけなのだ。
でも、今年のぶらりデイトナひとり旅の目的は、出来上がった新刊を登場人物に渡すためなのでそんなことは構わない。
AHRMAのパドックはスピードウエイの新装開店で混乱を喫した去年と違って、今年はまとまったエリアに広がっていた。そのため、すぐに日本人村(?)を見つける。
おなじみネモケンさんこと根本健さん、四国からトレッセル塩津さんなどなんと7台がエントリーしていた。
正直、面白くない(苦笑)。自分はどちらかというと観戦するより走る、実体験するタイプなのだなあと深く実感する。
パドックをうろうろするとゼッケン136番を発見。
私のラッキーナンバーは36番と勝手に決めているのだが、これは、鈴鹿8耐にチーム監督として参戦していたころ、ふと思いついたダブルミーニングのナンバー。
36=サンロク=山麓=山の麓(ふもと)。山の頂上を目指すレースの仕方もあるが、私たちは私たちの身の丈で、山のふもとから裾野へ広げよう! というモットーを込めての意味である。
で。
今回の新刊「ぶらりデイトナひとり旅」は偶然にもエイ文庫の通しナンバー、136番。
中見出しに使ったヤマハのライダーのゼッケンは136番。
うまく説明できたかどうかわからないが、彼にまず渡すことができた。
幸先がいい。
夜はスミルナビーチスピードウエイへ。
ここはターマック(アスファルト舗装)でバンクのついたオーバル(楕円形)のレーシングコース。普段はスピードウエイレースが行われているが、今回は初めて、ダートセクションを設けてスーパーモトが開催された。
何しろターマックはバンク。なかなかの迫力であった。
3月6日(火)
早朝、空港まで、お世話になっている横部さんを送っていく。
慣れているとはいえ、やはりアメリカの道路。緊張を解いてはいけないので、あまりおしゃべりを弾ませることもできず。どーもすいません。今度ゆっくり例の件をお話ししたいです。
昼までジパツーのコラム書き。
午後から再びAHRMA。
「ぶらりデイトナひとり旅」に書いている、新車で買ってからレースをし続けて31年目に初めてそのバイクでデイトナで勝った!というジョージ・テイラーさん発見。もう70歳越えたと思うけど、今年もレースに果敢に挑戦していた。
そしてそして。
ナゾのインディアンマン、ドクにも再会。2冊渡そうとしたらなんだか丁重に遠慮されたので、ドクの友人に一冊渡す。そしたらお返しに、「キャベジパッチ」のTシャツを頂いてしまった。これぞ3倍返し。ほんと、海外でのこうした親切の数々、毎度のことながら恐縮してしまいます。
夜は顔より大きいロブスターを日本人ご一行様とご一緒させていただく。
3月7日(水)
こんなに短い日程は、初デイトナ以来。一人でパブも今年はかなわなかったが、心はすでにマン島。
本来ならば今年、デイトナに行くことは諦めていた。運良く、世界一周チケットが手に入ったため来れたので、存分にフロリダ焼けをしようとタンクトップで頑張ってみるが、まだ肌寒い。
飛行機はデイトナから、しかも午後便なので、コウさんとドライブに出かけることにした。
デイトナバイクウィークでただで配っているおすすめツーリングルートマップを参考に出発。1コース100~200マイルものルート。走りっぱなしで都合200キロくらいは走ったのではないかと思う。
このエリアでもっとも高いなんたらマウンテンを通過する、とマップに書いてあるのでそのルートを走ってみたが、そこにあったのは山ではなくなだらかな丘。でも、平らで退屈しがちなフロリダにあって、風光明媚な場所を見つけられたのは収穫だった。
クリスピークリームのドーナツを食べなかったのが心残り。
4時05分、DAB デイトナビーチインターナショナル(!)空港発、アトランタ行き。
アトランタからデルタ航空でイギリスのマンチェスター行きに乗り換える。
東海岸からイギリスまでは8時間。大西洋は太平洋より狭いことがわかった。
マンチェスターからFlyBeでマン島へ。日本からより3時間早く着くことができる。
マン島ではすでにパスポートチェックの場所はなく、「必要ならマン島政府のオフィスに来てください」の看板があった。港も同様だ。
出口でともだちがお出迎え。
これから3週間、マン島で博士論文のための現地調査を行う。
++++++日乗++++++
グレートブリテン島では流行性感冒が流行っているらしく。