G-FP2DF1P69Y 「ケーキが欲しけりゃ自分で買っていけばいいじゃない」ゆきズムじゃんぼりーを開催しました~後編~: 小林ゆきBIKE.blog

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2018.04.02

「ケーキが欲しけりゃ自分で買っていけばいいじゃない」ゆきズムじゃんぼりーを開催しました~後編~

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Photo by Naoki OKAMOTO

フリーランスになってから最初の誕生日。

厳寒の北海道ツーリングで、見知らぬ誰かに強制的に祝ってもらおうと自分でケーキを買ったあの日。

20年間バイクをやり続ければ、それなりにやれるようになるのかなと漠然と思ったあの日。

節目の今年、誕生日に何かやろうと思ったのは、それらが原点だった。
ここ数年の悩みは、アウトプットがなにもできていないこと。だからこそ、いまの自分に何ができるのか。そんな機会がほしいと思った。友人や読者、ファンのみなさんとの接点を持つ機会がほしいと思った。

ゆきズムじゃんぼりー』というへんてこりんなタイトルにしたのも意味がある。
「ゆきズム」とは、かつてわたしが連載していた雑誌のコラムのタイトル。ゆっきーらしさを存分に盛り込みたいと思ってこれを使うことにした。
「じゃんぼりー」は集うとかミーティングの意味があるそうだけど、ただの食事会、飲み会じゃなくて“イベント”としてごった煮にしたかったので思いついた言葉。
なにより、音楽ライブをやりたかった。

方向転換してから久しいのであまり語ることもなかったけれど、かつてバイクの世界に来る前は音楽のことしか考えてない人生を送っていた。
銀座の高級クラブのピアノ弾きだったり、オールディーズの箱バンだったり、ちびっこのピアノの先生だったり。
いざ音楽を仕事にしてみると、その先どうやっていけばいいのかさっぱりわからなかった。
そのうち、自分の中のバイクのウエイトが大きくなって、ある日バッサリ音楽をやめてバイクに方向転換した。
それでも、フリーになる前後くらいまでは音楽に未練たらたらで、いつでもそっちに戻れるようにお稽古を続けていた。
完全に音楽を封印したのは2006年のことだった。

もう一度音楽もいいなと思い始めたのはほんの2年ちょっと前。
バイクに舵を切ったあのころ、テレビで流れていた、ラジオで流れていた、CDの中にいた、ステージの上にいたその人が、突如として目の前に現れた。
もう一度、あの素晴らしい歌を聴きたいと願っていたら、ゆきもやってみればいいじゃんとそそのかされ、おそるおそる触った鍵盤。それはそれはヒドいものだった。
10年の完全ブランク、いや本格的にやっていたころからだと20年以上のブランクは、こうも劣化させてしまうのか。
それでも、お稽古を始めると、ものすごーく時間はかかるものの、できなかったことができるようになる喜びがあった。あのころ出来ていたことが再びできるようになる喜びもあった。

自分の何がダメだったのかを悟ることもできた。
あのころのわたしは、自分を表現したいだなんて微塵も思っていなかったのだ。器用に初見で弾ければ、楽譜を上手に復習えれば、耳コピが完全ならば、コード譜から伴奏できれば、それで満足してたのだ。そんなのミュージシャンじゃないよね、いまにして思えば。
この20年以上バイクに取り組んできたのと同じように音楽を続けていたらどんな人生だったのだろう。そんな回顧をしつつ、後悔もしつつ。でも表現者ではなかった自分は何者にもなれなかったのだろうな、たぶん。それとも、どっかで気づけるときがあったかな。

そんな風にして音楽を再開するうちに、もう一つの夢ができた。その人といっしょに演りたい。どうしてもいっしょに演りたいと。
バイクで例えるなら、その人と同じ舞台でレースに出たい、みたいな感じか。そういえば、わたしの鈴鹿8耐のチームはロッシ選手が出たとき、同じ舞台を走ったのだったな。

話を戻すと、イベント開催を決意したのは昨年末のことで、それからバタバタと会場を決め、MCを決め、ゲストを決め、カメラマンやらDJやら売り子さんにビデオ係などお手伝いを頼み……。

おかげさまで、無限の創設者本田さんというビッグなゲストに加えて、昨年話題をかっさらっていった濱原颯道君という物理的にもビッグなゲスト、そしてMCなんばちゃんこと声優の難波祐香ちゃん、ほかたくさんの皆さまのご協力があって開催にこぎつけられた。

忘れてはいけないのが、Kommonの“うでわ”。
パートナーの作るアクセサリーの数々がものすごいので、これをぜひ世の中に出したいと思って立ち上げたブランドである。ひょんなことから目覚めて、ブランド立ち上げ、試作から始まっていまでは制作も手がけるようになった。
バイクも音楽もビーズも。欲張りだけど、これがいまの小林ゆき。そんなわけで、「ゆきズム」なのだからとKommonもイベントで展示することにした。

もろもろ準備しつつ、イベント前の3日間はスタジオにこもってリハを重ねた。
This Time小森善也さんの目の前でピアノを弾いて歌ってもらうのはこのときが初めて。2年間、歌のレッスンをしてもらってはいたけれど、プロに自分の伴奏で歌ってもらうのは本当に本当に緊張した。

本番も、こんな夢のようなことが叶うだなんて、実現したら感動で泣いちゃうだろうなと甘く想像していたのだけれど、実際には緊張しすぎてミスタッチ連発。吐きそうになっていたのだった。

* * * * *

イベントにこぎつけるまでのあれこれでブログの前編・後編を費やしてしまった。
日本一周本が二分冊になったときみたいだな、これ。書いていてなかなか旅が始まらないって思ったもん、あの本。
というわけで、本番当日の話は写真とともに別エントリーで書くことにします。

あ、そういえば、ゆきズムじゃんぼりー当日、たくさんのお花やプレゼントを贈っていただきました。ありがとうございました!

でもケーキがなかった!
やっぱり祝ってもらうためには、ケーキは自分で買っていかないといけなかったな!

(※ケーキの話は前編参照)


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