政府は4月1日、
『来る超高齢化社会に向けた次世代型超超小型モビリティの超福祉的活用会議』
略して
『超超超超(ちょうヨン)モビ』
を、経産省、警察庁、厚労省を中心に発足することを発表した。
■改正道交法案
主な提言と改正道交法案は以下の通り。
(1) 小型特殊免許で運転できる車両を、電子制御等を使って条件を満たせば時速6キロ以下で歩道走行を可能とする
(2) 歩道走行時は車体全体をブルーのLEDで照らすことを義務付ける
(3) シートベルトのない新型小特車両においてはヘルメット着用を義務付ける
(4) 二輪型三輪車(フロント周りがリーンするもの)、トライク型三輪車(フロント周りがリーンしないもの)も新型小特車両として認める
(5) 新型小特車両の排気量は引き続き無制限とするが、規制速度35キロを車体で制御するものとする
(6) 車椅子型も新型小特として扱えるものとする
(7) 立ち乗り型も新型小特として扱えるものとする
■超超超超モビの社会的背景とは?
この『超超超超モビ』の目玉は、現在の小型特殊免許の解釈を大幅に広げ、福祉的な高齢者のモビリティ車両として活用していこうというもの。
背景には、超高齢化社会と過疎化・限界集落化、公共交通網の限界が上げられる。
将来的に公共交通を高齢化に合わせていくのは政府としては無理と判断。
福祉バスやタクシーの整備・活用も追いつかなくなると予想され、高齢者の運転免許返納までの過渡期に、セニアカー/シニアカーより便利で、軽自動車より機動性があり、原付二輪車より転倒の危険性が少ない三輪・四輪の新型小型特殊車両を活用していく狙いがある。
現在、小型特殊免許は筆記試験だけで実技講習を受けることなく免許が交付されるだけでなく、排気量制限がないこと、車輪数に制限がないこと、農耕作業用車両にあっては最高速度35キロまでと原付より高い速度で走行可能となっている。
今回の改正道交法案では、ITCやETC2.0の次に考えられているETC3.0のシステムを活用し、新型小特車両はIT技術を活用してITC、ETC3.0、衝突防止センサー、傾斜地センサーなどを盛り込むことで、人車往来の少ない歩道においては時速6キロ以下で歩道走行を許可しようというものである。
これは、来る超高齢化社会に向けて、移動を必要としている人が本当は何を必要としているのという議論の中で、AtoBの移動ももちろんだが、ドアtoドア、つまり所用先の入口まで乗物で乗り付けられることが必要であるという結論に至ったという経緯がある。
これまで小型モビリティはトヨタ主導で一般道のみ走れる超小型モビリティの実証実験が行なわれていたが、普通自動車免許が必要であることと、自動車並みの駐車スペースを必要とする点で普及が見込めないとの報告があった。
また、原付サイズエンジンのミニカーに関しても、普通免許が必要だが排気量の問題で十分な速度が出せず、ほとんど普及していない。
今回の超超超超モビ会議では、二輪車メーカー、電動モビリティにも強いターレなどのメーカーを中心にさまざまなタイプの新型小特車両の開発や法整備、インフラ整備を進めていく。
■新型小特が拓く未来
それでは、超超超超モビこと新型小特はどのように活用されていくと提言されているのだろうか。
たとえば、従来、商業施設や病院では自動車は駐車場に停めなければならなかったが、二輪メーカーと駐車場関連企業との連携で入口付近に二輪および新型小特を停められるようにインフラと法整備を進めていく。
出入口付近に駐車できることで高齢者の負担を少なくするだけでなく、駐車場からの歩行移動の際の交通事故を減らす狙いがある。
また、従来は車道しか走れなかった小特をIT制御し自走車椅子程度の速度に規制することで、歩道を走れるようにすると、自宅との出入り、交通量の激しい通りで分離交通化することが可能となる。
制御の方法は、具体的にはグーグルとの協業で十分な広さの歩道を事前に登録。ITC、ETC3.0、VICSなどを駆使して車両に搭載されたマップによって走行できる歩道を自動で速度とともに制御する。
また、衝突防止センサをさらに繊細に設定することにより、人や自転車への衝突を防ぐ。
さらには、遠くから見えやすいLEDライトを車体全体に搭載。歩道走行中は自動で青色LEDが点灯することで、歩行者などからの視認性をよくする。
■二輪メーカーからも超超超超モビに熱い視線が
今回の法改正案策定にあたっては、二輪メーカーが熱い視線を投げている。
特に、原付二輪車の開発終了が噂されるあのメーカーも、前輪2輪・後輪1輪でフロントがリーンするタイプのバイクを新型小特に対応させられるとあって、コーポレートカラーのブルーを全面に押し出し、
「ブルーな超超超超モビでリーン♪」
という販促を展開したいとのこと。
また、前輪1輪・後輪2輪の原付スクーターを30年以上発売している二輪メーカーは、小特だと排気量が自由になるため、かつて軽自動車が360ccから660ccまで規制が上がったのと同程度の排気量にまで拡大したい構え。
自走型電動車椅子セニアカーを発売している二輪メーカーでは、そのままラグジュアリーな椅子型小特を開発していきたいとの考えだ。
また、50cc車両を発売していない二輪メーカーでは、ジェットスキーの技術を応用して「立ち乗り」型の新型小特を開発予定とのこと。
ここに、酸素カプセル「ドリームプラス」の技術を応用して、酸素供給機能を盛り込みたいと意気込む。