G-FP2DF1P69Y 第2フェイズに入った「バイクによるまちおこし」埼玉県小鹿野町: 小林ゆきBIKE.blog

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2014.10.01

第2フェイズに入った「バイクによるまちおこし」埼玉県小鹿野町

第5回レディースライダー宿in小鹿野に、今年も参加してきました。

女性ライダー向けスクールの「美・乗・コン(びじょコン)」があったり、地元の特産物をいただきながらトークショーを楽しんだりという盛りだくさんなイベントです。

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今年もトークショーのゲストとして、漫画家の本田恵子さん、“しゃべり屋ライターバイク乗り”の柴田奈緒美さん、そして、わたくし小林ゆきが登壇いたしました。

そして、今回も前回に引き続き「美・乗・コン(びじょコン)」なる女性向けライディングスクールが開催され、二輪車安全運転特別指導員の森田雅人さんのアシスタントとして、僣越ながら講師として参加させていただきました。

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(写真は、交通安全講話をしてくださった小鹿野署の白バイ隊員さん。白バイのヘルメットを借りてまたがらせていただきました)

§7年目を迎えたオートバイによるまちおこし事業§

さて。


全国初のオートバイによるまちおこし」事業を始めた、埼玉県秩父郡小鹿野町。

2008年から始まり、「最低5年以上は官民協働でこのまちおこし事業を続けていく」(埼玉県小鹿野町でオートバイによる まちおこし事業)とのことでしたが、現在は2014年。バイクによりまちおこしは7年目に入りました。

現在、オートバイによるまちおこし事業は「ウエルカムライダースおがの」という活動主体を西秩父商工会に移していますが、当初の目的や理念はなんら変わることなく、息の長い活動になっています。

わたしは2008年にこのオートバイによるまちおこし事業を“発見”し、まずは町役場に電話して詳細を聞き、まずは見てこようとバイクで行ってみたのでした。

埼玉県小鹿野町でオートバイによる まちおこし事業

オートバイによる町おこし事業をしてる小鹿野町に行ってきた

その後、ご縁があって「いちにちレディースライダー宿inおがの」というイベントに毎回、参加させていただくようになりました。

この「いちにちレディースライダー宿」は2010年に第一回目が始まり、昨年は台風の影響で中止になってしまったのですが、今年は第5回(開催回数としては4回目)として去る9月27日(土)残暑も感じる秋晴れの日に盛大に開催されました。

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今年は天気にも恵まれただけでなく、アベノミクスの影響か、はたまたリターンライダー含めのバイクブーム再燃からか、これまで以上の人出(バイク出?)となりました。

このイベントは「レディースライダー宿」と名付けられていますが、男性ライダーももちろん歓迎のイベントで、男女ともに集まるわけですが、今年は本当に女性ライダーが増えたと感じました。

というか、自然に増えた分だけでなく、イベントが定着してきたおかげで、仕掛け人も出てきまして、レンタルバイクキズキさんや本田恵子先生が大量にライターを連れてきてくれたとゆー。

さて、このウエルカムライダースおがの活動もレディースライダー宿というイベントも、活動7年目、開催5年目ともなると、さまざまな変化や課題が出てきます。

今回のイベントに参加してみて、「オートバイによるまちおこし」は第2フェーズに入ったなと感じるところがありました。

というのも、「イベントを開催して外から来るライダーをおもてなしたい」という段階から、「住民自らバイクを楽しみたい」に変化してきたなと感じたからです。

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(バイクによるまちおこしも定着してきて、先日は熊本県の方々が視察に訪れたそう。写真は熊本県相良村の純米焼酎 川辺)

§小鹿野町基礎知識と「おもてなし」§


小鹿野町の人口は約1万3,000人で、この10年で約1000人ほど人口が減りました。

産業構造としては、ちょっと古い平成17年の資料から引くと

第一次産業 8.9%

第二次産業 41.4%

第三次産業 49.7%

となっていて、第一次産業、第二次産業の割合が高くなっています。

産業構造のデータは就業人口をベースとしており、生産額の比率の詳しいデータは出せないみたいなので(事業所1つだけというところがいくつかあり、公開されていない)わかりませんが、観光産業の比率がわりと高くなっています。

じっさい、「平成24年経済センサス-活動調査 事業所に関する集計 産業横断的集計」からひもとくと、

飲食店 事業所数 53

宿泊業 事業所数 14

と、人口1万3,000人の町にしては多い印象。

小鹿野町の第1次産業は、農業・林業・畜産業があり、小鹿野名物として、豚の味噌漬け、しゃくしな漬、わらじカツ、小鹿野こいしや羊羹などの和菓子、秩父ワイン、こんにゃくなどがあります。

ライダーを惹き付けたのは、この「わらじカツ丼」で、ツーリングマップルに紹介されたことがきっかけで、口コミで小鹿野にライダーが集まってくるようになったのだとか。

このような小鹿野ですが、名物は食べ物だけではありません。鉄砲祭りや歌舞伎など郷土文化でも知られています。

また、小鹿野町はジオパーク秩父にも指定されていて、地学や生態系に興味があれば楽しめる場所となっています。

まちおこし」の即効薬として、“観光”は町外にアピールできてよいのですが、一方通行になるばかりで、「おもてなし疲れ」の懸念もあります。

※小鹿野町では今年4月より町役場の組織変更で「おもてなし課」ができた。

※埼玉県では「おもてなし日本一さいたま県」なるおもてなしプロジェクトを行っている。


§観光地小鹿野町の最近の状況§


しかし、ふらっと寄っただけでは、いわゆる「観光」的な町ではないんですよね。小鹿野。

けっこう、ハードル高い。

あるライダーさんが、

「バイクでまちおこしって言うから期待してバイクで行ってみたら、なーんにもなかった」

なんて言ってましたけれども。
いや、それ、あなたの感度が低いんちゃうの、とも思いますけれども。

確かに、小鹿野には全国に名が知られているような大きな施設、歴史的建造物はありません。通称ミューパー、秩父ミューズパークも秩父市と小鹿野町にまたがる公園ですし。誰もが知ってる観光施設や歴史的建造物、名所のようなところはないし(知る人ぞ知る的なモノ・場所はいろいろあるにしても)、ライダーにとっても、誰もが知ってる「○○峠」とかはない。

しかし、小鹿野は良い感じで昭和が残っていたり(「昭和の景色が残る埼玉県小鹿野町を愉しむ」)、何のヘンテツもないけれど花や青葉や紅葉が楽しめるトレッキングに最適なコースがあったりと、ちょっとした秘境のような場所でもあります。

最近は、「観光地化されていな最後の秘境、奥秩父」のようなくくりで、観光客がプチブームのように来るんだそうです。
町歩き系の旅人に言わせると、川越は人工的過ぎる、んだそうな。

確かに、今年は小鹿野だけでなく秩父周辺まで含めて、宿泊予約がとても取りにくかったです。

バイクで日帰りツーリングに来るだけだと、昼食食べてそのまますぐ帰るって感じですが、毎年のように宿泊しながら小鹿野町を散策しておりますと、年々、観光客が増えているのを肌で感じます。

ライダーは早朝から通りがかりますし、今年は特にトレッキング客が多かったように思います。


§今年の「いちにちレディースライダー宿inおがの」§


……そんなこんなで迎えた第5回いちにちレディースライダー宿なんですが。

今年も「ゲスト」として参加したわけなんですが、「ゲスト」のままじゃあ、本当の意味での「まちおこし」に貢献することはできないんだよなって気付きました。

ゲストとして参加する、観光客として小鹿野を訪れる。それはつまり、小鹿野の方々に“おもてなし”を受けるという、受け身の姿勢になりがちなんですよね。

先ほども書きましたように、それだと、おもてなしする側もいつか「おもてなし疲れ」が出ちゃうと思うんです。

実際、イベントはウエルカムライダースおがのという任意団体(母体は西秩父商工会)が主催で行われたわけなんですが、もちろん全員手弁当でのボランティアであり、一人の負担が大きくなって疲れが見える方もいらっしゃいました。

小鹿野町は毎月のようにお祭りや行事が行われていて、みなさん慣れてらっしゃるせいもあってチームワークもよく、設営や撤収は、それはそれは見事なものだと毎回感心しています。
町内の案内図もわかりやすかったですし、当日の道案内や駐車場の案内もわかりやすかったです。
いっぽうで、ステージイベントの進行がうまくいかなかったり、スケジュールがわかりにくかったり、喫煙所が指定されていなかったり、そもそも本部がどこかよくわからなかったりなどなどの反省点もあります。

もし、町という行政が主催しているなら文句を言う先もあるでしょう。イチ民間企業が営利目的で行っているイベントなら営利主義に走ったりするのかもしれません。
しかし、ウエルカムライダースおがの活動、並びに、いちにちレディースライダー宿は、小鹿野町の有志によって支えられている活動です。イベント事のプロがやっているわけではないし、有志と言っても人的リソースに限りがあります。なんたって、人口1万3,000人ですからね。

ならば。

これまで歓迎されてこなかった「ライダー」をウエルカムしようと立ち上がった小鹿野の活動に対し、われわれライダーも恩返しするべき時期に来ているかもしれないな、と。

自分の立場で言えば、ステージイベントは柴田奈緒美さんというしゃべりのプロもいるわけですから、われわれ“ゲスト”が、ウエルカムライダースおがの特別会員として「ステージジャック」してしまえばいいわけです。
進行が上手くいかなかったと中の人に文句言っている場合ではない。手伝えるところは自分らでやってしまえばいいわけです。そしたら、吉田さんのご負担も減るわけで、吉田さんちでまた美味しいコーヒー(わたしはコーヒー飲めないので紅茶でお願いいたします)を飲めることでしょう。

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(これは、美・乗・コンの参加者に参加賞として配られたマグカップで、イラストは本田恵子先生によるもの。サプライズの賞品だったため、当日までぜんぜん知りませんでした)

「美・乗・コン」の方はそういった自発的ボランティアが機能いたしまして、森田特別指導員のお仲間がいらっしゃって、無報酬でコキ使われてお手伝いされていました。

ついでに、学生時代、神保町のガソリンスタンド繋がりでよくバイクで遊んだ古本屋の番頭さん、安達さんにも何十年ぶりかで再会することができ、森田さん様々でした。

メイン会場では出店募集していたわけなんですが、もっともっといろんなバイク関連企業や地元企業がコラボすればいいなぁと思いました。

なんたって、出店料ゼロ!

こうしたイベント出店はたいてい何万円も出店料を取られるのが普通ですが、このいちにちレディースライダー宿inおがのはタダなんです。無料なんです。

ぜひ、来年は小鹿野と御社の企画がコラボできないかどうか、バイク関連企業の皆さま方におかれましてはご検討のほどよろしくお願い申し上げる次第でございます。


§小鹿野町と「バイクによるまちおこし」のこれから§

とりとめもなく書き散らしてきましたが。


そもそも、誰にとっての「まちおこし」なのか、ということを考えますと。

観光振興という意味では、小売りや宿泊など一部のお店などは儲かるかもしれませんが、そうでない住民の方々にとっては、「賑わい」は見えるかもしれないけど、即効的・直接的な経済効果の恩恵は受けにくい。

住民の方も、ご商売の方もWin-Winな関係であるためには、そして息の長い活動にしていくためには、さらなる仕掛けをしていったり、外の方々との繋がりを作る必要があるかもしれません。

そして,わたしたちライダーは小鹿野町の方々に対して何ができるのだろう。

さいわい、小鹿野町はライダーウエルカムの町なんで、「何かしたい!」って思っている方、会社、お店の方々、アイディアがあれば相談してみるといいと思います。

わたしも、小鹿野を足掛かりに何か仕掛けたい! なんて、ちょっと考えているところ。
女性向け超ベーシックスクールなんていいかもな、なんて。
いかがでしょう。

そして、小鹿野町のウエルカムライダースおがの実行委員のメンバーさんが、こんなことをおっしゃっていました。

「そもそも、地元の人間がバイクを楽しんでないとなー」

というわけで、今年から旧バイクの森の駐車場を使って毎月1回、ライディングレッスンを行っているそうです。
(詳しくは、ウエルカムライダースおがのツイッターにてその都度告知)

次回は、間髪入れずに今度の日曜日、10月5日(日)に開催されるとのこと。

このライディングレッスンは、いちにちレディースライダー宿の美・乗・コンのように、ウエルカムライダースの一貫としてよそから来るライダー向けのレッスンというだけでなく、地元の人にもバイクを楽しんでもらおうよ、ということで始めたんだそうです。

小鹿野はもともとバイクに縁のある土地柄というわけでもないですし、ウエルカムばかりするのでは何度も書きますけど「おもてなし疲れ」しちゃう。
やっぱり、地元もバイクを楽しもうよ、という気配が、地元から生れてきた、というわけです。

……長々と書いてきましたが、「オートバイによるまちおこし事業」は7年経ってついに第2フェイズに入ったなと感じた今年の小鹿野町でした。

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こちらは、秩父名物「しゃくし菜漬け」。さわやかな塩味でシャキシャキとした歯ごたえが特徴のお漬け物です。

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普段はバレンタインだけの販売となるハート形の「小鹿野こいし」。他、小鹿野のスイーツ詰め合わせをお土産にいただきました。


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イベントのあとは、旧称・夢鹿蔵に昨年オープンしたライダーズカフェ、MOTO GREEN-Gでお茶をするなど。

転倒防止の意味を込めたてんとう虫のチャーム付きバングルを手に入れました。

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