マン島TTレースの凄まじいプレスリリース作戦
イベントをどうやって成功させるか?
答えの一つは、いかにして宣伝するか、にかかっていると思います。
というわけで、世界最高峰のオートバイ・ロードレースイベント、マン島TTレースはどのように広報しているのか。
100周年あたりからの、凄まじいまでのプレスリリース作戦には驚かされます。
というのも、ほぼ毎日、何らかのトピックをリリースし続けているからです。
TTレースは年に一回、5月~6月に開催されるイベントですが、イベントが終わった直後も、夏も秋も冬も、ずーっと何らかの情報が毎日リリースし続けられます。
現在のTTプレス担当者が着任したのは、確か100周年の数年前ではなかったかと思います。
敏腕のプレス担当者に変わって、プレス対応も様々に変化していきましたが、バイク雑誌だけでなく、とにかくテレビ、スポーツ専門チャンネル、ラジオ、映画、インターネットなどなど、ありとあらゆるマスコミに分け入っていこうという姿勢は、日本のモータースポーツ界にとって多いに参考になる方法なのではないでしょうか。
で、どう凄まじいのかというと……。
例えば、2013年4月のプレスリリースのタイトルを和訳したものを羅列してみますと。
ニュースアーカイブ 2013年4月2日 TTサイドカーのレギュラーたちが2013年シーズンに向けて準備を始める
3日 TTスターのダンロップ選手が2013年キャンペーンに向けて準備
4日 TT関連の有名な記念品がもう一つオークションにかけられる
スプリットラス・レイモンドチーム、2013年TTに向けて正式参戦発表
5日 興奮のなか2013TT記者発表開幕へ
TT優勝者、優位のままシーズンへ
8日 ハワース選手、TTデビュージョシュ・ブロークス選手、TTに向け決意固く
最高のシーズンへ、TTレジェンドのマクギネス選手
TTサイドカーのいつものメンバーにとってタフなシーズン始まる
9日 TTサイドカーのスターチーム、2つの歓喜
クリツ選手、2013年TTは有名スポンサー得る
10日 TTレジェンドのマクギネス選手とモリニュー選手、栄誉に輝く
11日 2013年TTスーパーバイクのエントリー数が明らかに
モリニュー選手、サイドカーレースのラインナップの先頭に
12日 2013年のライトウエイトTT、より多くのエントリーを集める
15日 カワサキのマン島TTレース・プロモーションビデオが表彰される
4人のマンクスのライダー、TTに挑む
フィル・モリス・レーシングとRLRモータースポーツ、ライトウエイトTT参加取りやめ
前半だけでもかなりの量ですね~。
それでは4月後半のリリースをば。
16日 アライ、TT限定のヘルメットのデザインを明らかにバーチャル兄弟、TTの幸運のあと、驚きの表彰台に
17日 TT公式オークションを生で
18日 マンクスレディオ、TTとマン島モーターサイクリング・フェスティバルをカバー
19日バーバー選手、故リー選手のためにライトウエイトTTに参戦
ホンダ・TTレジェンドチーム、シーズンインまでカウントダウン
22日 BikeSocial.co.uk、ライトウエイトTTの冠スポンサーに
マン島TTのスター選手ら、24時間オークョン
23日 TTスター選手ら、スカボローのスプリングカップで優勢
25日 TTライダーら、クロックスタウンに参戦
29日 新しいTTのアプリであなたの手のひらにレース情報を
30日 マンクスのスター、カミンズ選手、クラシックTTでノートンマンクスに乗ることに
ファークファー元選手、KMR カワサキチーム、TTに尽力
(詳しくはマン島TTニュースアーカイブをご覧ください)
とまぁこんな風に、毎日まいにち、いろんな情報を「ニュース」としてリリースしているマン島TT。
数打ちゃ当たるじゃないけど、情報をどんどんリリースすることによって、どっかしらマスコミが食いつくだろうし、ファンも噂をしたり、ツイートしたり、fbでシェアしたりと、TTの話題には事欠かなくなるわけで。
マン島TTがこれほどまでに情報戦に力を入れているのは、背景に、「IT立国」を掲げているマン島政府のバックアップがあるということもあります。
TTのプレスリリースは、TT公式サイトという強力な媒体を中心に、ツイッター、フェイスブック、メーリングリスト、現地新聞、ラジオ等々、インターネットを中心にありとあらゆるメディアにアプローチしています。
このITを中心とした広報戦略の背景には、世界で一番初めに学校へのIT普及をはかり、世界でもっとも早くブロードバンド化を果たし、IT企業の誘致(その結果、オンラインカジノまで呼び込んでしまったけれども)、技術開発等々をマン島政府が推進してきたということがあります。
マン島という淡路島ほどの小さな島が世界に出ていくためには、ITを利用してグローバル戦略をはかるとともに、マン島を印象付ける何かアイコンが必要なわけで、
TT×IT
という戦略は、マン島にとってシナジー効果を生むためにも必然だったわけですね。
もちろん、レースそのものが素晴らしくなければ、これらのPRは意味を成さなくなってしまうのは当然です。
スポーツはスポーツの中で、経済は経済、ITはITで完結というのではなく、マン島まるごと立国していこう! という考え方からいろいろなモノゴトをクロスさせていこうという姿勢、そしてそれらをことごとく実現させているというのは、世界を見回しても世界最先端のスポーツ文化と言えるのではないでしょうか。
日本のバイクのお祭りと言えば鈴鹿8耐。
8耐のインフォメーションも頑張ってはいますが、TTの勢いには負けるかなー。(でも、ここ数年、ネット上の8耐情報はとてもよくなっていると思う)
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