松下ヨシナリ・ロングインタビュー~最終回
松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その1
松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その2
松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その3
松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その4
松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その5
新春特別企画としましてお届けしております、松下ヨシナリさんの超ロングインタビューも、いよいよ最終回。
再起不能かと思われた大怪我を克服し、二度目のマン島TTレース挑戦を果たした彼にとって、マン島TTとはいったいどんな存在なのか。
“走って喋れるモトジャーナリスト”松下ヨシナリさんへの超ロングインタビュー最終回をどうぞ。
* * * * * * *
──二度目のマン島、走り終えての感想はどうでした。
「「良かったなー」って思いました。
それこそ、実は学チャンとショーヤが死ぬ間に、ミニバイク時代の友だちが癌で死んでるんです。
あの年、3人死んでて、超、悲しくって。でも、お前らやったぞって感じだったっすね。
あと、母親も父親も死別していないんで、むかーし、死んだ友だちとか、なんとなーく走りながら思い出して、よしよしもうちょいもうちょいって思って。無理せず行こうって思って。
今回、ほんとに無理せず行こうって。かなりリスクを冒さない方向で。
で、きっと前だったら、あんなガタガタになってたら、イライライライラしてどんどんどんどんアクセル開けちゃったりしたんだけど、押さえるところは押さえて。
だから、タイムも遅かったし。まぁ全体に1年目より上がってるんですけどね。
でも、自分の目標というか、イメージよりタイムは遅かったなー。あの体制で、あのコンディションのオートバイだったら、ぜんぜん18分台で回れてると思うんだけど。上言ったらね。キリないけど、レースってのはそういうもんなんだけど。
でも、一応、自己ベストは4秒以上更新して。19分30秒フラット。まあまあ良かったのかな、と。
でも若干、中途半端な気持ちなんですよね。だからそれが、TTレーサーが毎年、あそこに挑む理由なのかもしれない。
あそこで、オレはもう少しこうできたかもしれないとか、そういう後悔が、ちょっとずつ蓄積されて、また次も行ってしまうんですよ、あそこには。で、やり甲斐があるし、何かをかけるべきところだし。すごくいいオートバイの島だし。夢のようなところじゃないですか。
そういうことが総合的に合わさって、またTTライダーを次の年にTTに向かわせてしまうんじゃないかなって思う」
──今後の目標は?
「今後の目標は決まってないです。
今年、24時間に2回も挑戦させてもらって、一回も完走できてないので、来年はもしチャンスがある状況に自分でもっていけるなら、どちらかの24時間に出て必ず完走したいですね。それは絶対にやらなきゃ気が済まないですね。
ほんとに悔しかったんですよ。完走できなかったのは。
マン島TTは、出たいという希望は捨ててはいません。出たい……なぁ(笑)」
──あなたにとってのマン島TTとは?
「一周として同じ周回がないんですよね。必ず毎周コンディションが若干違うんですよ。
それは、なんか海とか山に似てるなあと。
別にオレ冒険家でも登山家でもないし、サーファーでもないけど。絶対に同じコンディションがないという意味では、ほんとに冒険だし。
で、僕はほんとうにもう、いろんな人に言ってるけど、あれはもうレースじゃないですよ。モーターサイクルレーシングからは逸脱した存在で、あれはもう冒険カテゴリーですね。エクストリームだと思ってるから。
順位は別にいいんですよ。でも、順位はいいけど、自分への挑戦だから、前のラップより自分を高めたい、タイムを削りたい、っていうのが必然的に順位と平均タイムに現れるだけの話。
完全に山登りに近いですね。
なんであんなところに苦しい思いをして登るのか、僕は意味がぜんぜんわからないですけど、でも、トレッキングとかハイキングとか好き。やっぱり、あの登り切ったときの達成感っていうのは、何ものにも変えがたいものだと思うし、とくに、高峰を登った人とか、困難であればあるほど、その人はアドレナリンが出ると思うし、それに限りなく近い存在なんじゃないかと思うんですよ。
そういうのを、ロードモデルのオートバイで表現できる唯一の場所だと思うんですよ。
唯一、最高のオートバイで冒険ができる、世界でたった一つの場所であり、フィールドなんだと思うんですよ。誰に聞いてもそう言うと思いますよ。
でも、デブのおっさんとかに負けるの悔しい(笑)。BMWのおっさん、アイスバレーの(※マン島TTレースだけでなく、アイルランド公道レース選手権の各地で参戦を続けている、とあるライダーのこと)。
悔しい~。あれ、キレのあるデブなんだなー。なんであんなのに負けるんだろう(笑)。目と感覚が違うんだと思う。
あいつ、やっつけたいなぁ(笑)」
(完)
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