東京モーターショー、二輪4メーカーブリーフィング雑感の続き
24年ぶりに東京に戻ってきて、名実ともに「東京モーターショー」となった、第42回東京モーターショー。
プレスリリースによれば、延べ来場者数は10日間で84万人超で、前回の37%増と大成功裏に終わりました。
今日は、先にホンダのプレスブリーフィングを聴いての雑感(「東京モーターショー、二輪4メーカー・プレスブリーフィング雑感」)に続きまして、その続きです。
スズキ
まず、驚いたのは、壇上に上がったのが鈴木修会長兼社長ではなく、副社長の本田治氏であったこと。
修氏はじめ、取締役の方々は、壇上には上がらず、脇で整列していただけであり、ぼちぼち幹部交代? を伺わせる役割分担でありました。
その副社長の第一声は、
「技術を担当しております本田でございます」
でした。
まさかのオサム被り!
まさかのホンダ被り!
まさかのVWの対面!
……は置いといて。
「技術を担当している」を冒頭に持ってくるあたり、スズキの性能や技術への取り組み重視が伺えます。これまで、スズキと言えば、廉価路線で成功してきたわけですが、技術だってスゴイんだぞ、のアピールにも思えました。
その言葉通り、ブリーフィングの内容は、「環境への対応性能」「いきいきとした生活を実現するためのクルマ」など、時代と実用に即したアピールが中心。
バイクも、今回コンセプトバイクとして発表されたeレッツなどの紹介が先に来ていて、速さや馬力という“従来型の性能”より環境性能を先にアピールしていました。
今回のモーターショーでは、全体的に、近未来と環境性能を思わせる「白と青」の色使いのブース構成やマシンのカラーリングが目についたのですが、特にスズキブースはその傾向が強く印象付けられる展開でした。
カワサキ
挨拶の壇上に上がったのは、「モーターサイクル&エンジンカンパニーのプレジデント髙田廣氏。
その気になる第一声は……。
東日本大震災とタイの洪水の被災者の方々へのお見舞いの言葉でした。
あと、「Ninja」ブランドのフィロソフィーを語りつつ、ZX-14Rを紹介されておりました。という気がする。
「環境性能」に関しても語っていたけど、敢えてカワサキらしいと言わせていただくと、そもそも原付分野を作っていないカワサキだけに、電気バイク的な分野はもちろんないし、コンセプトモデルも無し。
ちょっと意外というか残念にも思えたのが、今回はカットモデルの展示がなかったこと。
カワサキはたいてい、ショーではフラッグシップマシンのカットモデルを展示してきたわけなんですが、これはひょっとして見せるほどの新技術はないってことか? などと勘繰ってみたり。(←そういうことではないとは思うのですけど。)
普段はバイクに興味がない人びと、あるいは、大学生などバイクのビギナーが数多く訪れるモーターショーなので、カットモデルはエンジンやフレームの内部構造まで見られる貴重な機会ですし、興味を持たせるという意味でも、やる価値があるんではないかなぁと感じた次第。
あと、お触りバイクが一台も無かった、という方向転換は賛否両論あるかと思いますが、出展されていることに意義がある(出展しなかった年もあった)という意見もあり。
個人的には、説明員さん(男性)のライムグリーン×ブラックの制服がカッコ良くて素敵だなと思いました。
ヤマハ
冒頭何が語られていたのか。
ええっと、すいません、実は、ほとんど内容は記憶にないのです。
というのも、音響のバランスが良くなかったのと、スピーカーからの音量が低かったのと、あと社長のあまり抑揚のないしゃべり方、声のトーン、などなどの理由により、とても聞き取りにくいスピーチだったのです。
誰か社内で指摘できる方はいらっしゃらなかったのでしょうか。
なんとか聞こえてきた内容のうち、印象に残った点をいくつか。
「タイからたくさんのプレスの皆さんが来ています、ありがとう」とおしゃっておりまして、確かにブリーフィング中、数十人の東南アジア系の方々をお見かけしました。
ヤマハは全日本ロードレース選手権にタイの選手を派遣したりするなど、タイと日本の親交を深める活動をしていて、今回の大量にタイのプレスが取材しに来ていたのも、その一環なのだと思います。
あと、相変わらず、二輪市場に言及していたのは、4メーカーブリーフィングを聞き比べるとヤマハだけだったような。
東京モーターショーのプレスブリーフィングは、「今、これにチカラを入れてます!」「こんなことを研究してます!」「将来をこういう方向性で」などを語る場だと思うので、マーケットの現状はまた別の機会にすればいいのになーなんて思ったり。
あららーうららー、とか思ったヤマハのブリーフィングだったのですが、静かな闘志というかヤマハの本気度を感じたのはそのあとでした。
4メーカー全てのブリーフィングがヤマハで終わったので、何となくヤマハブース内で業界関係者と雑談大会のようになっていたのですが。
ふと気付けば、ブース内外にはかつて試乗会やらなんやらで見かけた顔・顔・顔……!
ほとんど全ての技術者や開発・商品企画担当者が集結していたのではないかという按配。
業界人同士の立ち話、雑談も耳をダンボにして聴かれているのではないか、というくらい、そちこちに立っておられまして。
もちろん、他メーカーも開発・企画・技術者らは来ていましたが、ざっと見て、ヤマハが一番、密度が高かったのではないかと思いました。まあ、あくまで主観ですけど。
ブースの配置にも、前回、前々回とは変化が見られまして。
ここ数年、ヤマハは趣味のバイク、高性能スポーツバイク押しが強かったわけなんですが、数から行けば、日本のユーザーの大半は電動アシスト自転車だったり原付スクーターだったりするわけです。
そうしたドメスティック市場へのアプローチと、環境性能のアピールの帰結として、「パーソナル・モビリティ」としての「二輪技術」が強く打ち出されたブース構成・展示内容となっていました。
今回のショーは2度、3度と訪れたのですが、このパーソナル・モビリティの思想は、ヤマハが一番打ち出せていたのではないかと改めて感じられました。
* * * * *
このように、4メーカーのブリーフィングを中心に東京モーターショーの雑感を綴ってみましたが、問題は、ショーのあと、どのように実車に展開されていくのか、という部分であります。
もちろん、企業としては売れないとしょうがないわけなんですが、二輪の本質だったり、環境性能にもアプローチしたフィロソフィーだったりという部分は、バイクだからこそ、クルマじゃできない枠で実現できるんじゃないかなと思うのです。
文句つけたり、不平不満を言うのは簡単なんですけど──。
「技術的にはほとんど可能なんです」
と、文脈は違えど、4メーカー全ての技術者さんから、このような言葉を聞きました。
いろんな可能性に期待して日本のバイクメーカーを応援していきたいです。
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