以下は、2004年にもて耐練習で体験した熱中症に関するエントリーの再々UPです。
3回目のUPとなりますが、今年も暑い日々が続いておりますので、参考までにサーキット走行時に体験した熱中症の一部始終をUPします。
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情けないことに自分が当事者になってしまいました。
今日は、その顛末を。
走行前日の様子
8月5日(木)、もてぎ7耐の公開練習の日。朝7時ごろもてぎ集合だったので、朝4時に目を覚ましたのですが、このところ月二日づつくらい襲ってくる過労状態となり、まったく全身が動きません。起き上がって水を飲みに行くことすらしんどい状況だったので、辛くも5日の走行はキャンセル。夜8時ごろ、翌6日(金)の走行のためにもてぎ入りしました。
5日の晩はもてぎのバイキングでしっかり栄養補給。翌日に備えて早めに寝て、6日の朝もちゃんと朝食を食べ、走行に備えました。自分なりに、熱中症対策をしているつもりだったのですが。
当日1本目の様子
11時半からの1回目の走行は、燃費を計るのと、実は今季2回目のフルコースの走行だったので、1時間の走行枠をできるだけ長く走ることに。結果、約10分間の赤旗中断(4コーナーの立ち上がりのライン上にチェーンが落ちていた(!)のです。しかしオフィシャルさんの判断は3周もかかってたのが残念)を除き、約50分弱走りきりました。
タイヤが限界に近かったため、2回目の走行までにタイヤ交換をすることにしました。今回乗るドゥカティ999は私の力ではどうにもならない部分が多いため、一緒に来ていた某氏にほとんど手伝ってもらい、交換しました。
私は見守ることしかできないため、しゃがんで見ていたのですが……。実は、これが裏目に出てしまいました。
2本目走行中に異変が……
2回目の走行は午後4時から。ツインリンクもてぎは、ち~っとも涼しくなりません。「熱中症に気をつけなければ」ということで、朝からお茶2リットル、水1リットルほどを飲んで、2回目の走行に備えていたつもりでした。ところが……。
1回目の走行で17秒だったので、2回目はもう少し頑張ろうかなとチャレンジしてみたのですが、なかなかペースが上がりません。それどころか、5周を過ぎたところで、自分は頑張っているのに、どんどんタイムが落ちるのです。
しまいには、23秒台まで落ち、自分でも「これはオカシイ!」と思いピットインを決意したころ、アタマが朦朧としてきました。
イカン、イカン、早くピットに戻らなくてはと思っていると、今度は背中から腰、そして脚がしびれて全く動かなくなってきてしまいました。その時点で最終コーナー。ダメと言われているショートカットしてでもピットに戻りたかったのですが我慢しました。
辛うじてスロットルとクラッチワークはどうにかなったので、慎重にスロー走行してピットイン。
ピットに倒れ込む
ところで、この日、もてぎへは自分一人で行き、現地でチームの関係者と合流しました。しかし、この日がほとんど初対面のような感じで、ピットインしたときも、スタンドをかけようとしてくれるのですが、ホンネは「スタンドはいいからバイク支えて私をバイクから降ろさせてくれ~!」だったのでした。
スタンドを立てるほんの1分がすごく長く感じ、めまいを覚えながらピットに倒れ込みました。
仰向けに倒れたのですが、事前に熱中症について勉強してあったので、
「頭を低くしてはいけない」
ということだけは分かっていました。
熱せられた血液が頭に回ると脳が茹だってしまい、命の危険があるからだそうなのです。
私のツナギはRSタイチのコブ付きです。ですから、そのまま仰向けに寝てると、頭が極端に下がってしまいます。
そこで、どうにかしてブーツの片方だけ脱ぎ、枕にしました。しかし、そこから先、手足がしびれて全く身体が動きません。
チーム関係者や隣のチームの人が次々に「大丈夫?」と声をかけてくれるのですが、声も出にくい状況で、
「大丈夫じゃないです……」と答えているのですが、みんな、ただバテているだけと思うらしく、すぐに視界から消えてしまいます。
さらに、
・だんだん目の前が真っ白に
・頭痛がしてきた
・手足がしびれている
・過呼吸を止めることができない
・吐き気がする
ってな具合に、もう、先週勉強した“熱中症の症状”そのままのことが、自分に起きています。
チームの人や隣のチームの人がコースを向いて立っているのですが、辛うじて動く左手を振り、「すみません、すみません」と振り絞って声をかけるのですが、何しろ走行中ゆえ、なかなか気づいてもらえません。
しばらくして、チームの人が気がついてミネラルウォーターを買ってきてくれました。
「身体起こさないと飲めないぞ」
とおっしゃってくれるのですが、身体がまったく動かず、そのまま頭からかぶりました、もったいない!
でも、その異常な行動で何となく周りが気がついてくれ、ようやく「ブーツ脱がせて下さい」「上半身起こして下さい」とお願いすることが出来ました。
なんとかツナギを脱ぎ、隣のチームの人にいただいた氷水と氷をかぶり、しばらくするとなんとか立ち上がれるくらいに復活しました。
医務室で冬ソナ?
私は精神的にタフなせいか、よく人から健康で元気と思われるのですが、実は小さいころから身体が弱く、それゆえ、人一倍、体調管理には気をつかってきたつもりだったのですが、正直、こんなに急激に不調になったのは初めてでした。
そこで、大事をとって、医務室に行ってみることにしてみました。何しろ、自力で横浜まで帰らなければならないので。
「すみません、熱中症気味だと思うんですが、休ませてもらえませんか?」
女性の看護士に伝えると、
「ヘルパーさん? 車で休めないの?」
と言われてしまいました。
え~っと、車ですか…車に戻るのもしんどいんですけど…車冷えるまで待てないっス……とココロの中で思っていると、
「血圧くらいなら計れるけど」
とおっしゃるので、血圧を計ってもらうことにしました。
128-84。
普段、低血圧な私としては、極めて健康的な数値が出てしまいます。
37.0℃。「お熱はたいしたことはないわね」
さっきまで氷を挟んでいた腋の下にしては、ずいぶん高い体温です。リンパを冷やすというのは、熱中症コラムを書くために勉強していたので知っていました。
そうこうするうちに、医師らしき人がやってきました。
「今、どんな感じ?」
「頭が痛くて、頭がもうろうとしていて、手足がしびれてて、吐き気がします……」
「ああ、熱中症だねぇ、点滴準備!」
(だから、最初っから熱中症ってゆってるぢゃないですかー……)とココロで叫びますが、医務室の中心で熱中症と叫んだわけではないので、点滴までたどり着くまでが長かったです、トホホ。
やっと助かったと思いました。
だいぶ気をつけてたんですけど、と今日の顛末を話すと、どうやら2本目までにタイヤ交換で日なたを動き回ったのが効いたらしい。後頭部や首筋に直射日光が当たると、熱中症になりやすいそうです。
ところで、点滴中に急激に元気に回復したのは、点滴を打ってくれたのが先ほどの女性看護士ではなく、イケメン看護士だった、なんてことは内緒です。
トップライダーからのアドバイス
はてさて、あれこれ終わりまして、死の淵から生還した私の前に表れたのは、サーキットアドバイザーのお二人、“コニタン”改め“コニー”こと元GPライダー、2004年の鈴鹿8耐で総合7位獲得の小西良輝選手と、 DyDo MIU Racing Teamの監督(当時)、五百部徳雄さん。
ことの顛末を話すと、GPや8耐という熾烈な戦いを走り抜いてきた人らしいアドバイスをいろいろと頂きました。
1)暑いときのレース前は、クーラーをかけないで暑さに慣れる
2)クルマでもクーラーを効かせない
3)サウナに入ったり出たりして、汗をかく練習をする
4)ウォーキングや軽めのランニングで代謝力を付ける
5)レース直前は筋力トレーニングよりパワーを付けるほうが大事
6)水分の取り方→ガブ飲みはダメ、1日のうちにコマメに取る
7)しんどくなったら、酸素ボンベもかなり効く!
1、2、6は実践してましたが、5は自ら感じていたことではありました。実は、現在、体脂肪率17%と女性としては少ない方で喜んでいたのですが、日に日にパワーが落ちてきたと感じていたところだったのです。
今回の教訓
ワガママを言えるヘルパーを連れて行くことも、ライダーの自己管理の一貫なのだと痛感しました。
確かに、去年まで4年間参戦していた鈴鹿8耐では、ライダーは二人とも気の置けないヘルパーを指名してましたし、自前でドクターとナースも雇うほど慎重にしてました。
それと、自分がもし逆の立場だったら、単純に「大丈夫?」とだけ声をかけるのではなく、倒れ込んでいるライダーの口元に耳を近づけて、最後までライダーの要求を聞くべきなのだな、と再認識しました。
「大丈夫?」よりも、
「何して欲しい? 何か欲しいものはある?」と聞くべきなのだな、と。
実は昨年の鈴鹿8耐でライダーの一人が重度に近い熱中症になったのですが、後で聞いたら、お子さまプールに入れられて身体を冷やしていたとき、一番言いたかったのは「水が欲しい」ということだったのに言えなかった、とのことでした。そして、我々チーム員も、お子さまプールに入れているということで、飲み水まで気が回らなかったのでした。
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今、思い出してもゾッとする危険な熱中症体験でした。