G-FP2DF1P69Y 発生率〇%に関係なく、備えよ常に: 小林ゆきBIKE.blog

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2011.05.11

発生率〇%に関係なく、備えよ常に

「30年以内に東海地震が発生する確率は87%」

こんなデータを根拠に、中部電力浜岡原子力発電所の稼働を中止する、というニュースが駆けめぐりました。

原発はひとたび事故が起きれば、その影響の大きさたるや計り知れないわけですが、現代社会においては原発だけでなく、あらゆる「事故のリスク」に対して常に憂慮しなければならないようになりました。

それでは、われわれライダーに身近な話題として、「交通事故に遇う確率」とはいったい、どれくらいなのでしょうか。

少し古いデータですが、2002年に国土交通省の社会資本整備審議会が発表した資料によれば、次のような数字が挙げられています。

・1年間に事故に遇う確率は0.9%

・人生で交通事故に遇う確率は約47%。言い換えると、一生のうち交通事故に遇う人は2人に1人

もっとも、この計算式は、年間の交通事故死傷者数÷日本の総人口=1年間で事故にあう確率=0.9%とし、一生を80年と仮定した上で導き出した「1年間に事故にあわない確率」を53%としたという「確率」を表したもので、年齢層の分布や、複数回数、交通事故に遇う場合、運転者のスキルなどは考慮したものではありません。

どれだけの人か交通事故に遇うのか、という統計については、たとえば、

・国民の●人に一人は一生のうち一度は事故に遭う

・国民の●人に一人は交通事故で死亡する

・1日に●件の交通事故が発生している

・1時間に●件の交通事故が発生している

・1日に●人が交通事故で亡くなっている

・1日に●人が交通事故で負傷している

・●時間に1人、交通事故で亡くなっている

・●時間に●人が交通事故で負傷している

のような文章で表されることがあります。
これらは、独立変数と従属変数を、日本の人口、交通事故死者数、交通事故負傷者数、交通事故件数、1年間、一生のうち、などにそれぞれ当てはめて数字を均したものです。

しかし、それらの数字は、わたしたちが理解しやすい「1年間」や「1日」「1時間」という単位の中に、これまた理解しやすい「人数」という概念を当てはめて、感覚的な理解を促すためのものであって、単純に「意外と交通事故に遇う確率って高いんだな」などと知るための指標に過ぎません。
確率とは統計の中央値を示すものではないので、交通事故の傾向を知ることはできないし、対策を立てることもできない数字なのです。

(ですから、上記の黒ベタ丸には敢えて数字を当てはめていません)

警察署によっては、「交通事故に遇いやすい星座」なる統計まで発表することがありますが、これはあくまで交通安全に対する国民の興味を掘り起こすための「ツカミ」的なツールと考えてよいでしょう。

交通事故の起きやすい傾向を知るには、人数や時間など積み重ねた数字ではなく、場所や道路の形状、時刻、曜日、月、天候、年齢層、状態別(どんな車両を運転していたか、または歩行者か)などミクロのデータを、クロス集計したものが役立ちます。

たとえば、よく知られているのは「交通事故の起きやすい時間帯」です。地域特性によって異なる場合もありますが、朝夕の通勤ラッシュ時は交通事故が起きやすい時間帯です。とくに、夕方は帰宅時間帯で交通が集中するだけでなく、日が沈んで薄暗くなり視界が狭くなることも事故が起きやすくなる要因の一つであると考えられます。

ここから考えられる対策としては、まずは、クルマやバイク、自転車は早めのヘッドライト点灯。道路施設は街路灯を増やして道路を明るく照らす。歩行者は明るい服装や反射材を使った服、靴、バッグを使用する、などの対策が考えられます。これらの対策は、「交通事故に遇う確率○%」なる数字からは想定できないものでしょう。

同じように、交通事故の起きやすいモノゴトを警察庁の統計などから探ってみますと……、

・場所(交通量の多い道路、中央分離帯のない道路、見通しの悪い狭い道路など)

・道路の形状(交差点、カーブ、道路の出入り口など)、曜日(運転に不慣れなドライバーが多く運転する土日祝日、
交通量が増える月曜日・金曜日・祝日前日など)

・月(引っ越しなどで交通量が増える3月、雨で路面が濡れる6月、行楽客が増える8月など)

・天候(雨や雪、霧など)、年齢層(初心者、高齢者など)

・状態別(歩行者、自転車など)

など、交通事故発生には、ある程度の傾向があることがわかります。

もしも交通事故が起きたとして、最小の被害にくい止めるための方法も考えていかなければなりませんが、道路構造や防護するための装備を整えるにも限界があります。

たとえば、バイクの場合、固い構造物にぶつかることで被害が大きくなるということが分かっています。ならば、ガードレールなどを無くせばいいのか。ガードレールがなくなったら歩行者はどうなるのか。
ならば、ライダー側で防護すればいいのではないか。革ツナギを着る、ネックガードをする、チェストガードに脊髄パッド、肩パッド、肘パッドなどを装着する……。しかし、鎧を被っているようで運転しにくくなるし、夏場は暑くて運転に差し支えそう……。

このように考えてみると、交通事故は事故の要因と起こりうる結果に関係する因子が多過ぎて、いったい、どうリスクを評価し、どうリスクをマネジメントすればいいのか途方に暮れてしまいます。

それでも。
有体な言葉ではありますが、スカウト(ボーイスカウト、ガールスカウト)のモットーであるこの言葉を掲げたいと思います。

備えよ、常に

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