【完結編】いかにして、ただまっすぐ走っていたバイクが突然、目の前で転倒したのか
なんで3週、3回にわたるほどこの話を引っ張ってるのか自分でもよくわかんないんですが、とにかく、目の前を走っていたバイク(スクーター)が、何の前触れもなく突然、転倒した、って話の完結編です。
【遭遇編】いかにして、ただまっすぐ走っていたバイクが突然、目の前で転倒したのか
予告編、遭遇編、そして今回の完結編と合わせてお読みくださいませ。
さて。
しゅるっ!ずりっ!
がしゃ! ずずず!
そんな音を立てながら、オッサン スクーターはなぜか右側に向いたかと思うとハイサイドっぽくもんどりうって、フロントは右を向いて、でもバイクは左側に倒れ、運転者さんはスクーターの下敷きになってしまいました。
という話の続きです。
(「ペイント」を使ってThinkPadのトラックポイントで描きました)
わたしはヴァナゴンというワンボックスカーを運転していましたが、【遭遇編】にも書きました通り、スクーターが転倒するまでに、そのスクーターの挙動がかなりおかしかったため、少し警戒しつつ車間距離を取っており、ブレーキを踏んだ瞬間少しABSが効く程度でおっさんもとい、スクーターと運転者を轢かずに済みました。
対向車も幸い、転倒してから3秒後くらいにちょうど差しかかっていたため、運転手さんの頭は対向車線にはみ出していましたが、轢かずに済みました。対向車は軽自動車で女性運転者だったんですが、あり得ない状況のときって目や口を開いてしまうんですね。その軽自動車は停まってからしばらく固まっていましたが、走り去っていきました。
いっぽう、わたしは後続車を確認してからハザードを出してサイドブレーキを引き、救助に向かいました。運転者がスクーターに挟まれて立ち上がれなかったからです。
「だいじょうぶですか?」「だ、だいじょうぶです……」
「大丈夫なわけないじゃないですか」
まあ、こういうとき日本人なら「大丈夫です」って言っちゃいますよね。
もんどりうってから転倒するまでの一部始終を見ていて思ったのは、明日には首筋とか肩とか背中とか手首とか腰とか、思いもよらない場所が痛くなるんだよねーこういうときってさ。
とか思いつつ、スクーターを起こし、横の路地にスクーターを運びました。
運転手さんはわたしが女だったためか、ちょっとびっくりした様子でしたので、「あぁ、わたしはバイクが専門なんで大丈夫ですよ」などと伝えてみました。
そうこうしているうちに、ものすごく訝しげに、後続のゴミ収集車の人たちが二人、こちらに近づいてきました。
雰囲気としては、スクーターにわたしのクルマが追突するかして転倒させてしまったんじゃ? という風情です。
なので
「あ、事故じゃないから大丈夫ですよ」
と言ったんですけど、よく考えたら単独転倒も事故っちゃあ事故って言いますよね。
すると、収集車の方々が
「いや、そうじゃなくて、そこ、通れますかね、その奥に入らなきゃいけないんですけど……」
とのことで、彼らの訝しげな表情は、単にその狭い路地を通りたかっただけ、ヴァナゴン邪魔だお? スクーターもちょと邪魔じゃん? という表情だったのでした。
そうこうしているうちに、端に寄せたスクーターがひとりでに、右側に倒れちゃいまして。
道路の起伏とサイドスタンドの角度が悪かったらしく。
サイドスタンドちょう危険。というわけで、センタースタンドをかけ直しました。
落ち着いたところで、運転手さんに聞いてみました。
「あの、これパンク してますよね? さっきから動きが変だから、次の信号待ちで教えようかと思ってたとこだったんですよ」
するってーと、
「あ、いやパンクじゃなくて、ホイールがね……」
と言いながら指さしたホイールの状況は……。
これ、誇張でもなんでもなく、ホントにこんな風に見えるほどベコっと凹んでました。
ちょ、おま、どこをどう走ったら目に見えるほどホイールが2箇所も凹んでめくれるんだお!?
「うわー、これ、事故したんですか? こんなんじゃ走っちゃダメですよぉ~」「いやね、ちょっとした段差を超えたらこんなになっちゃって」
最近増えつつあるアジアの海外メーカーの輸入スクーターは、さすがにホイールがペラっペラなのかな、とか思いつつ車種を確認すると。
いや、フツーにスズキのアドレス110かなんかだし。
ちょっとした段差? いやそれ、おさーん、酔っぱらってどっかに突入したとか、段差to転倒to壁に激突、とかそういう風情だぞ、これは。
「ホイールがめくれて空気が漏れちゃってるんで、バイク屋さんに修理に出しに行こうとしてたんだけど……。これ、もう直んないよね? あーもー廃車だなー」
廃車にするくらいなら、タダで引き取るから、わたしにくれ! などと内心思いつつ。
「いや、これ日本車だしフロント周りなら直りますよ、多分。あと、リアのホイールもアクスルシャフトが歪んでるかしてるみたいだから、ちゃんと見てもらった方がいいですよ。いずれにせよ、これ、このまま乗るのはもうキケンですから、すぐそこにスズキのバイク屋さんがあるからクルマ乗ってきますか?」「いや、いいです、このまま乗ってき……押してきます」
* * * * * * * *
以上が、「ただまっすぐ走っていたバイクが突然、目の前で転倒した」の顛末です。
転倒の原因は、そのスクーターの故障にあったわけですが、そのような状況は万が一だとしてもゼロではない、というのが恐ろしい話です。
今回の教訓として、挙動がおかしいクルマやバイクがいたら、細心の注意を払え、ということでした。
もしも、その道路がもう少し広くて、スピードが出ていて、なんとなく車間距離があまり広くとっていなかったり、漫然と走っていたりしたら……。
もしも、対向車がドンピシャのタイミングで、しかも幅広のトラックやダンプカーやバスだったら……。
考えただけでゾッとしますが、そんな状況下でも、なんとかして被害を最小限に留める努力は常にしとかなきゃいけないんだなぁ、と思った出来事でした。
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