「電動スクーター」と聞いたら、どんな乗り物を想像しますか?
ちょっと必要があって、電動バイクのことを調べていましたら、気になることが出てきました。
当ブログでも何度か触れたように、動力源を電気モーターに頼る二輪車の呼称は定まっておらず、
電動バイク電気バイク
電動二輪車
電気二輪車
電気動力バイク
Electric Motorcycle
E-Bike
などなど、さまざまです。
検索していきますと、○○+バイク、●●+二輪車、という呼称のほかに、「○○+スクーター」(電気スクーターとか、電動スクーター、eスクーターなど)という呼び方があることに気付きました。
わたしはてっきり、「電動スクーター」とは、ヤマハ パッソルLやEC-03、ホンダEV-neoのように、
・車両が第一種原動機付き自転車である・運転するには、原付免許が必要
・運転する際には、ヘルメット着用義務や50cc相当の場合、二段階右折が必要
な、原付の二輪車、すなわち、原動機付き自転車のことを想像していました。
ところが……。
CiNiiやGoogle Scholarなどで学術論文を検索して読んでみますと、電動スクーターと呼んでいる乗り物は、
いわゆる「ハンドル型電動車いす」を指しているものが少なからずあることがわかりました。
ハンドル型電動車いすのことを「電動スクーター」と呼称している論文は、たとえば福祉系ですとか、都市工学系でパーソナルモビリティ系の研究に多かったです。
ハンドル型電動車いすは、
・四輪ある・みなし歩行者である
・したがって、運転免許は不要
・最高速度は6km/h以下
のような乗り物です。
それらの論文が発表された当時はまだ、「ハンドル型電動車いす」という呼称は一般的ではなかったかもしません。
ヤマハパッソルLが発売されたのは2005年のことで、それ以前は東京R&D等の開発でヤマテ工業が製造していたES600が発売さたのが1993年。
ちょうど、90年代後半から2000年代半ばまでは、文字通りの「電動スクーター」の空白期間でした。
英語で「Scooter」と言うと、広義には、腰掛けて乗るタイプの乗り物や、フットステップ式の乗り物(キックスケーターのようなものなど)、そして電動カートや福祉系電動車いすのことを指すこともあるみたいです。
とはいえ、日本では一般的に、「スクーター」と言えば、原付スクーターに代表されるような、フットステップ式の二輪の乗り物を想像するのではないでしょうか。
なんでもかんでも、法律用語が正しいとか、統一すべき、とは思いませんが、呼称が定まっていない乗り物について書くときは、できるだけ冒頭でその定義を示しておいたほうが良さそうだ……とは思いました。
電動スクーター=ハンドル型電動車いす、の一件は、新聞やテレビで原動機付き自転車のことをいまだに「ミニバイク」と呼ばれて、なんだかもやっとする感覚に似ているなぁ、とか思いました。
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