バイクの新車が売れなくなったもう一つの理由、それは……
先日のブログで、二輪車需要の変化(主に減少)の要因を、
①社会構造の変化②産業構造の変化
③大都市部の公共交通機関の発達
④中小都市部と地方都市の公共交通機関の衰退
の4つにまとめました。
しかし、それ以外の大きな要因がもう一つあるのではないかと考えています。
それは、
⑤日本製のバイクが丈夫になったから
もあるのではないでしょうか。
「車両運搬具の法定耐用年数」のうちバイクは3年ということになっていますが、これはあくまで会計上の減価償却期間であって、実際には5年や10年は当たり前。15年、20年前のバイクも普通に現役で走っている現状があります。
なるほど、中古二輪車市場が活況になるわけです。
20年前にこれほどの台数の中古二輪車が売買されていたでしょうか?
今でも20年近く前の年式のゼルビスとか、シングルショックのバリオスなんかが、20万円程度で売買されていたりします。
さすがにフェザーとかVT250なんかは見かけなくなってきましたが、NSR250Rなんかはプレミアが付いたりしてますし、90年代の中古車は普通に選択肢に入ってきますよね。四輪車ではありえない市場です。
確かに、空前のバイクブーム前後、1990年前後のバイクは、やけに丈夫な気がします。エンジンしかり、素材しかり、塗装やプラスチック等の耐久性しかり。
おそらく当時は、設計がちょうど手仕事からコンピュータにとって変わられる時期だったけども、各種のテストはまだモデル(数式等)化せずに実際のテストをしながら開発されていたのが功を奏して、20年の経年であまり劣化しなかった理由なのではないかと推測するのですが、なかの方、いかがでしょうか。
以前、モーターショーで四輪には当たり前のパーツを二輪に初めて応用したプロトタイプかなんかについて説明員の方に「バイクに応用すると耐久性はどうなんでしょうか」と質問したところ、「10万kmくらいまではだいじょうぶです!」とうっかり口を滑らした……なんてことがありました。なるほど、10万km持てばいいモノ作りなのかー、とも思いましたが、実際にはバイクで10万kmも走る人はヘンタイかもしれないので、メーカーさまにおかれましてはあくまでフツーの人相手にモノ作りすればいいので10万kmでじゅうぶんではあります。なんつって。
さて、ニッポンのモノ作りが優秀なのは、このバイク中古車市場が20年前のモデルも含めて活況である、ということからも実証されました。
問題は、ある程度の年式のバイクは、パーツが出なくなってしまうことです。
カウル付400ccのレプリカが欲しい→20年くらい前のモデルしか選択肢がないので中古で購入→壊れたらパーツが出ない→仕方ないので結局また20年くらい前のモデルを中古で買い直す……なんて話を現役大学生ライダーさんから聞きました。
かくいうわたしのバイクも1989年式ですが、すでにブレーキ関連のパーツが出なくなってしまいました。重要保安部品なのに、これは困った。
ともあれ、これ以上、バイク業界低迷を誘導するようなネガティブ報道を招かないためにも、バイク需要は新車・中古車両方の数字を出していった方がいいんじゃないかと思う師走の今日この頃でした。
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