小鹿野町の本気、新生「ウェルカムライダーズおがの」の辛辣な言葉に耳を傾けよ
前年度比減だとか、たくさんあるうちの一つをやめただけで、全て、一切合切、何もかもが終わったかのように言う人がいる。そのようなネガティブな情報は一人歩きし、あっと言う間に事実でない情報が広まってしまう。
例えば、鈴鹿8耐。そりゃあ全盛期は10万人以上の観客が押し寄せてきたころに比べたら、観客数は減ったかもしれないけど、「8耐は終わった」なんて言われたくない。中の人はいつの時代も真剣に取り組み、ファンは変わらず楽しんでいる。
例えば、日本の新車出荷台数。今から30年ほど前のピークに300万台以上売れていた? 今はその10分の1だからバイク業界はもうダメだ?
YH戦争の当時、前年度比倍・倍・倍と上がっていく数字に不自然さを感じないだろうか? 出荷台数のピーク年と登録台数のピーク年に差があることに不自然さを感じないだろうか?
中卒も含め一次産業や二次産業に従事していた人の数の比較は? 鉄道で移動する人の数の増加は? 四輪免許取得者数の推移と、登録台数の推移は? 一次産業と二次産業と三次産業、そこへ通勤する手段はどう変化したのか? バイクがつまらなくなったから、バイクで通勤しなくなったのだろうか?
三宅島のモーターサイクルフェスティバルで、公道“レース”ではなく公道を使ったロードレースマシンのエキシビジョン走行を行ったけども、「公道レース断念」→「公道レース中止」→「三宅島のバイクレース中止」→「三宅島のバイクイベント中止」(←事実ではない)のような伝言ゲーム。
2009年、台風接近により、二日間あった日程のうち、第一日目の午前中で全てのプログラムを中止とした昨年のWERIDE三宅島。事実は台風で途中中止、だったにも関わらず、全ての日程が中止されたかのようなデマ。
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埼玉県小鹿野町(おがのまち)。秩父からさらに内陸に入ったところにある山野豊かなこの地域は、昔から長野県や山梨県、群馬県へ続く道を通りすがるライダーが多かったとのこと。
でも、単なる通過点に過ぎず、小鹿野を目指してやってくるライダーはそれほど多くなかったそうです。
それがあるとき、町の中心部の、でも裏通りも裏通り。看板もないような小さなカツ丼屋さんにライダーが口コミで集まり始めた。
「わらじカツ丼」。
見る人を驚かせる2枚のワラジサイズのカツが載っているカツ丼は、この地域特産の豚肉を、独特のさっぱりとした甘辛ソースでいただく絶品。
それを見ていた地元の方々が、そんなライダーたちを「ウェルカム」の気持ちで迎え入れようと始めたのが、
「ウェルカムライダーズおがの」という町おこし活動でした。(→以前書いたエントリー、その2)
ごく少額の予算でそれは始まり、バイク用の駐車枠の設置から始まって、ヘルメット用ロッカーの設置、屋根付きバイク駐車場の設置、ウェルカムライダーズおがののグッズ販売やテーマソング作成など、「出来る範囲で」コツコツされていました。
昨年は遊休していた温泉を再生し、指定管理者制度を使って「バイクの森おがの」という温泉施設+バイク博物館をオープンさせていた。ところが、「諸般の事情で」ということで閉館したのは周知の通り。
その前後には、宝くじ助成の申請が通り、それを原資に「ライダーピット」という施設を作る計画があったそうなのですが、町長選で首長が交代したこともあり、中止となりました。
バイク博物館の閉館、ライダーピット建設中止の報に、あたかも「ウェルカムライダーズおがの」活動が終わってしまう……そのような言説も多々、見聞きしました。
しかし、ウェルカムライダーズおがの活動はまだ終わっちゃあいません。
ちなみに、小鹿野町では議会の議事録や議事をまとめた「議会だより」をインターネット上でも公開しています。
「オートバイによる町おこし」や、バイクの森、ライダーピットなどについての議論を読むことが出来ます。頭ごなしに反対している人はなく、費用対効果や交通安全の側面、観光振興などを鑑みて、建設的な議論をしていただけているのが、うれしいやらもどかしいやら。単なるバイクのイメージではなく、実体験として皆さん発言されているのです。
そんな中、「いちにちレディースライダー宿(じゅく)」(11月20日(土))開催のお知らせが届きました。
その内容は単なるお知らせではありません。ライダーに向けた辛辣な言葉も散りばめられています。それでも、ライダーをウェルカムしようと頑張る小鹿野町や商工会の取り組み。
ぜひとも皆さんに知らせたいと思い、ここに紹介します。
(一部を抜粋、一部改行改変、強調は筆者による)
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オートバイによるまちおこしを応援いただいた皆様へ「ウェルカムライダーズおがの」初の自主イベントの開催に伴うお知らせとお願いについて
(略)
さて、全国で初めて「オートバイによるまちおこし」事業をスタートし、オートバイファンをはじめとする大勢の皆様方からご支援をいただいてきた小鹿野町ですが、昨年秋の首長交代により一部で本事業があたかも終焉を迎えたかのごとく報じられ、関係各位にはご心配をおかけしているような次第でお詫び申し上げます。
しかしながら、当該事業は本年6月から商工会を主体に組織された新生「ウェルカムライダーズおがの」に引き継がれ、今後は民間の知恵と力を結集し、今まで以上に“ウェルカムライダーズ”の精神を継承し、更にオートバイライダーが「来やすく・居やすく・また来たい」町づくりを推進していく所存でありますので、応援いただいた皆様におかれましてもますますのご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
(略)
初のイベントは、「いちにちレディースライダー宿」と銘打って全国の女性ライダーをターゲットにしたものであります。
(略)
これは、近年のオートバイライダーは良識のある大人のライダーが大多数を占め、そのイメージは社会的にも大分改善されてきていると思われます。
ですが、一部では(一部の無礼者により) まだまだ誤解があるのも事実です。
これまで本町の「オートバイによるまちおこし」では、オートバイライダーのイメージアップにも取り組み、その効果は徐々に現れはじめておりますので、この辺でさらに効果を上げたいと、本企画を実施する運びとなりました。
今回、本イベントを機会に全国の女性ライダーにご参集いただき、女性のもつ華やかで和やかな雰囲気でもってライダーのイメージアップを図ることと、オートバイというものが男性占有物でなくなっていることを世間的にも認知してもらうこと、また、女性ライダーの地位向上と意見交換、地元民との交流促進など様々な取組をしていきたいと思っています。(後略)
(以下、企画書から)
本事業のコンセプトは、長い間、全国で敬遠されていたオートバイライダーを“ウェルカム”の精神で暖かく迎えることで、オートバイライダーにとって居心地の良い町づくりをすることと併せて、町の活性化へ繋げようとすることでした。この事業効果もあり、オートバイライダーの間では小鹿野町の名が知れ渡り、本町へ全国からオートバイライダーが集うようになり、街中に賑わいが生れました。
しかしながら、事業効果が上がるに連れ、町民からは“うるさい・危ない・迷惑”といった声が強くなりました。
(略)また、これまで本町にやって来るライダーの主体が男性だったこともあり、男性ライダーの無骨なイメージが町民に威圧感を与え、敬遠されていたことも否めないと思います。
そこで、活動資金の少ない「ウェルカムライダーズおがの」初の自主イベントとして、経費がかからず、会員の知恵と工夫・手間だけにより…「オートバイライダーのダーティなイメージを払拭してもらうとともに、地元民との交流を図ることで、更なる町民とオートバイライダーとのフレンドリーな関係を構築し、オートバイライダーが“来やすく・居やすく・また来たい”環境づくりの一助とするため…」全国の女性ライダーが一同に会するイベントを実施します。
●本イベントの目標
(略)
⑤女性ライダーを全面に出したイベントを開催することで、「オートバイは男性の乗り物」という概念を是正し、今でも一部にある「オートバイ=不良」というイメージをぬぐい去る。(後略)
まとめますと。
・一部の無礼者・まだまだ誤解がある
・オートバイというものが男性占有物でなくなってきていることを世間的にも認知してもらう
・長い間、全国で敬遠されていたオートバイライダー
・“うるさい・危ない・迷惑”
・ライダーの主体が男性だった
・男性ライダーの無骨なイメージが町民に威圧感を与え、敬遠されていた
・オートバイライダーのダーティなイメージ
・オートバイは男性の乗り物
・オートバイ=不良
辛辣な言葉の数々。そして、これらバイクのイメージや実態を何とかしよう、何とかした上で町おこしにつなげよう、としてくれている小鹿野町の皆さん。本来、バイクメーカーやライダー側がやらなければいけないことなのに。
これはもう、協力しないわけにはいきません。
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