G-FP2DF1P69Y 【お知らせ】自工会のJAMAGAZINEに「仕事・生活のバイクの現状とこれから」について寄稿しました: 小林ゆきBIKE.blog

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2010.08.13

【お知らせ】自工会のJAMAGAZINEに「仕事・生活のバイクの現状とこれから」について寄稿しました

一般社団法人 日本自動車工業会 (略称:自工会、またはJAMA)が発行している『JAMAGAZINE』(ジャマガジン)の2010年7月号の巻頭特集・「バイクの“乗り方の魅力”さまざま」に寄稿しました。

紙の発行物は、自工会に問い合わせてご購入いただけるほか、自動車図書館などで閲覧できるかと思います。

また、自工会のJAMAGAZINEのサイトでも閲覧可能になりました。

わたしが担当したのは「仕事のバイク・生活のバイク」という実用のバイクのくくりで、論文をという依頼でしたので少々、文章がかたくなってはいますが、趣味のバイク以外の側面をまとめました。ぜひご覧ください。

さて、今回の論文執筆にあたっては、バイクの販売台数や保有台数の増減と、他の社会的側面との相関関係・因果関係を分析しようと試みたのですが、たとえば女性の社会進出とバイク需要減との明確な相関関係を見いだすことはできませんでした。ただ、そこに軽自動車の販売台数と女性の免許取得率などを勘案すると、わずかですが説明できる部分もありました。

いっぽう、都会の鉄道網の発達と、地方の鉄道網の衰退とは、明確に因果関係を見いだすことができました
東京圏・大阪圏に限りますが、鉄道網が増えたり相互乗り入れが増えている地域では、バイク需要が明らかに減っています。

これに対して、相次いで鉄道路線やバス路線が廃止されている地域では、バイク需要が減っているのに対して自動車需要が増えています。

今回、分析に使ったのはパーソントリップ調査という昭和43年から続いている調査で、どこからどこまで・どのような移動手段で・どのような目的で・どれくらいの時間をかけて移動しているかを詳細に調査しているものです。

今回分析したのは東京都市圏のデータだけですが、それによると、千葉・茨城はバイク需要がおおむね減っているのに対し、川崎や横浜では鉄道網が発展しているにも関わらず増えている事実がありました。原稿にも書きましたが、バイク駐車場の整備と、山坂がきつい地形という地勢的状況が影響しているのではないかと考えられます。

あと、1時間以内の移動時間なら、すべての交通手段(クルマ・鉄道・バス・徒歩・自転車)に対してバイクの方が移動時間が少ないというのは意外な事実でした。

この20年ほどで激減したバイクの国内新車販売台数のほとんどは、原付ですから、原付ほど激減しておらず、ここ10年は横ばいに推移している「趣味のバイク」の側面、つまり126㏄以上の軽二輪・小型二輪の排気量に関して「なぜバイク需要が減ったのか」を語るのはちょっと的外れかなと思います。

さて、今後の課題としては、次のようなデータも分析せねばと思っています。たとえば、

●三世代同居率……(第二世代が第一世代の介護をしているかどうか。同居の有無に関わらず介護の必要があると、複数人数乗車可能でたくさんの荷物が積載可能な乗用車に需要が移行していくと考えられる。逆に、同居しておらず複数の子どもがいる場合も保育園への送迎などにバイクではなく乗用車が必要になってくる。いずれも地方の場合。)

●鉄道やバスが廃止されたことによる移動距離との相関……(だいたい5km以上になると自転車移動がなくなり、10km以上になると原付バイクの移動がなくなるが、それとバイク(原付)需要との関係性があるかどうか。また、鉄道やバスの廃止で個人商店がなくなり、遠くの大型スーパーしか買い物の手段がなくなり、必然的に買い物目的の移動距離が長くなったのではないか)

などなど、まだまだ検討する余地はあると思います。

いずれにせよ、原付需要が減ったのは、若者のバイク離れ──携帯ゲーム機や携帯電話の普及とはあまり関係ないのではないか、というのが現在のわたしの考えです。


わたしが考える「バイクの魅力」はいずれまた。
バイクの魅力は一つではないし、ひと言ではとても言えないし、増してや1時間では言い尽くせないのですけど、いずれにせよ、先日の初めてのラジオの生放送出演では、いいたいことの10分の1も言えなかったなあ、「伝える技術」というのはある種の芸なので、それはそれで磨かないといけないなぁ、と反省中であります。

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