三輪車の起源
ラグジュアリーな乗り物とは的なブログ記事が続いているピストンさんにインスパイアされて、資料をさらってみました。
二輪車に“サイドカー”を取り付けたタイプの三輪車、今日本語で言うところの「サイドカー」タイプの乗り物の起源は──。
1893年、フランスの新聞社が、乗員を運べる自転車の技術賞を開催しました。優勝者はフランス軍の軍人で、彼によって設計企画されたのは、自転車のフレーム2か所に箱を取り付けるもので(そのうち一カ所はステアリングステム付近に取り付けられる)でした。
それは“サイドカー”の誕生を意味していました。
(Higgins,L.R. 1953 Britain's Racing Motor-Cycles)
訳文は意訳ということで。
自転車が普及したのは、案外、蒸気自動車の普及の頃と変わらなかったみたいです。
空気入りタイヤが発明されたのは1888年ダンロップによるもので、それ以降、爆発的に自転車が普及したそうです。
で、Tricycle(トライサイクル、トライシクル)などと呼ばれる三輪車も案外、モータリゼーション初期に普及が始まったようです。
有名なのは、フランスのDe Dion。
1885年に蒸気三輪車、1896年にガソリンエンジンの三輪車を発売しました。
そのDe DionのTricycleを元に作られたのが、イギリスのBEESTON HUNBER。1898年製の写真がこちら。
(バーミンガムのナショナルモーターサイクルミュージアムにて撮影)
このハンバーは前一輪、後ろ二輪ですが、前二輪タイプは、フロントに御婦人を乗せて、というスタイルだったみたいです。
下の写真の奥に、前二輪タイプのトライシクルが見えます。
自動車のような豪華な革貼りのシートです。
下はもう少し年代が後になりますが、1928年のNer-a-car。
スカートをはいたまま乗れるデザインです。
アメリカでデザインされ、1921年のTTでヨーロッパ初お目見え、とアブストラクトに書いてありました。
モータリゼーション黎明期の1880年代には、ガソリンエンジン、ガスエンジン、蒸気エンジン、電気モーターが混走するレースにトライシクルは出場していたようですし、1896年、いわゆる「赤旗法」撤廃でガソリンエンジンの自動車が合法的に走れることを記念した「ロンドン-ブライトンラン」(現在のロンドン-プライトン・ベテランラン)にもトライシクルは出場しています。
1890年代から1910年代ごろにかけてイギリスで盛んだった「ヒルクライム」レース(多くは公道や公園道などを使った)にもトライシクルのレースがあったようです。
大陸のレースで言えば、1899年のパリ-ボルドー都市間レースにトライシクルが参戦したという記録があります。
19世紀終わりから20世紀初頭にかけては、自動車やバイク、三輪自動車のちょっとした技術がパテントになる時代だったので、逆に普遍的なデザインの乗り物としてトライシクルが生き残れなかったのだろうか、などとも思ったり。
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