鈴鹿8耐を前に
もう10年も経つのだなあと懐かしく思えるときもあり、しかしあのスタート前のグリッドのサークルで、こだまするアナウンス、頬を撫でる夏の生暖かい風、観客のざわめき、遠くに見えるトップエントラント、そしてシグナル、ライダーの笑顔、ずっしりと重いパラソルと……、そういう皮膚感のような感覚を伴ってつい昨日のことのように思い出すことができる、それがわたしにとっての鈴鹿8耐です。
1999年の8耐取材や、スーパーNK参戦などをきっかけに、わたしはチームを結成して2000年から2003年まで4年間、鈴鹿8時間耐久ロードレースにチーム監督として参戦していました。
いろんなことがありました。
このごろ、モータースポーツやオートバイ界隈の現場に来ると、8耐の経験があるからこそ理解できてることが、けっこうあるなあと感じます。
何がっていうと具体的には説明が難しいのですが、モータースポーツって個人競技(あるいは耐久であればライダー二人、三人組のチーム競技)に思われがちだけど、実はライダー+メカニック+ヘルパー+サポーター(スポンサーやファンの皆さん)が一丸となって挑むチーム競技なんではないかなぁ、そこから派生するあれこれ、それぞれの立場からの内面とかいうような部分です。
4年も8耐をやっていれば、もし今また参戦するとすれば何が必要か、どうすればいいのか、どれくらいお金を用意したらいいのか、ある程度は把握できるでしょう。
でも、きっとあのとき参戦できたのは、人。人でした。協力してくれる人、ライダーもメカニックもヘルパーもスポンサーも応援してくれるファンの皆さんも、あのタイミングでしか集まらなかったのではないかなあと今にして思います。
8耐をやる前は、そういうのはお金でなんとかするものなんじゃないかと漠然と思っていましたけど、お金でなんとかならないことが本当にたくさんある。8耐だととくに。
いろんな期が熟して、8耐を経験することができました。
もしかしたら、8耐を観戦しに行く、そういう経験ですら、期が熟さないと行くことはないかもしれない。
だから。
今年、鈴鹿にいる皆さんが本当にうらやましい。
現場にいるチームの皆さん、関係者の皆さん、ファンの皆さん。
きっと、暑かったり、涼しかったり、雨が降ってきたり、難しいことが起きたり、疲れたり、いろんなことがあると思います。
でも2009年の鈴鹿8耐は今しかなくて、きっと2009年の8耐が何かの糧になって、何か次につながっていくのだと思います。
どうぞ、大事に今年の鈴鹿8耐の時間を過ごしてくださいね。
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