G-FP2DF1P69Y 中年・高齢者向けに「青年向け」と言ってみる: 小林ゆきBIKE.blog

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2009.03.17

中年・高齢者向けに「青年向け」と言ってみる

ホンダはシルバーウイングを8年ぶりにフルモデルチェンジし、ネーミングに「Gran Turismo(グラン ツーリスモ)」を意味するGTを取り入れた「シルバーウイングGT400」を3月19日から発売するそうです。

産経ニュース(2009年3月9日付け)によれば、

「30~40歳代をターゲットに年間1500台の販売を目指す」

そうなんですが。

旧型と新型のデザインや色を見比べてみると。

Silverwing_2010329
(2001年初代シルバーウイング)

Silverwing_2090309a
(2009年新型シルバーウイングGT400)

(ホンダの公式サイトより引用)

産経の記事を見たときに、今回のキャッチカラーである「キャンディーグレイスフルレッド」がエンジ色に見えたので、これはもしかして

「30~40歳代をターゲットと広告しつつ、実際のターゲットは50~70歳代」

なのではないか? と思ったのですが。

シルバーウイングのサイトをいろいろと見てみると、実際にはもっと鮮やかな赤なのかもしれません。今度、実車を見てみよう。

ところで、マーケティングの手法として、実際のターゲットと、広告文句とはギャップを意図的に設ける、あるいは蓋を開けてみたら想定していたユーザー層とは違った層に売れた、ということはままあることだと思います。

オートバイ関連の仕事をしていて、よく試乗会なんかで聞かれるのは、

「女性の目からみてどうですか?」

ということなんですけれども、いつもこの質問には困ってしまいます。普段、「女性向き」とか意識してバイクに乗っているわけではないので。

とはいえ、質問には答えたいので、物理的に女性的な面──たとえば、多少は腕力、脚力が弱いので、またいだままバイクを起こすときはどうか、とか、押し歩きはどうかとか、わたしの場合、手足が短いので、実際の身長よりも低い身長の人の気持ちがわかるので、150cm台のライダーさんだったら足つきはどうだとか、そういうお話しはいたします。

でも、スクーター以外のオートバイで、特に女性だからと言って、うーん、買い物用のフックが欲しいだとか、乳幼児を乗せるためのシッシーバーが欲しいだとか、化粧直し用の鏡が欲しいだとか、かわいらしいピンク色もいいなとか、もっとデコってるバイクの方がいいなとか、そういう「女性性」を追求するような要望は、「オートバイには」出ないんではないかな。

つまり、女性ライダーがオートバイに乗る理由というのは、「活動的な」とか「自由さ」だとかに集約される

「男性性」

にあるのではないかと。

1980年代後半にいかにも女性ライダー向けという風情のピンク色のフェザーとかVTとかありましたけど、あれは、空前のバイクブーム下において「女性ライダー」の存在がコモディティ化しただけで、そういう上澄みの層はともかく、根本にはオートバイの持つ「男性性」を求めて女性はバイクに乗るのではないかなあ、どうかなあ。ほかの人は違うのだろうか。

で、ハナシは戻りまして。
中年、高齢者と言われる50歳代から70歳代の男性ライダーが、オートバイに乗る理由はなにか。

川島教授の「“二輪車乗車と脳の活性化の関係”についての研究」にもありますように、バイクに乗っていると

日常生活に二輪車乗車を取り入れることにより、様々な脳認知機能(特に前頭前野機能)が向上し、さらにメンタルヘルスにおいてもストレスの軽減や脳と心の健康にポジティブな影響を与えること

ことが実証されたそうなんですが。
気分的にも多くのライダーはオートバイに乗ることに

「若々しさ」「年少性」「juvenility」

のようなものを求めているのではないかと。

仮に、50~70歳代向けのオートバイやスクーターを開発したからと言って、「中高年向け」と謳ってしまうと見向きもされないかも。

そういう意味では、シルバーウイングGTの戦略は至極正しいかもしれません。


でも、もっとも戦略的だと感じたのは、シルバーウイングGTの価格帯でした。
250ccスクーターや400ccクラスが軒並み70万円台、80万円台の価格を希望するなか、あえてシルバーウイングGTは77万7000円~のお値段。

年始のメーカー対談

H (250のスクーターは)結果的に価格が高くなったことで、苦戦を強いられています

との発言がありましたが、GTの77万円というお値段は、それを踏まえた戦略ではないかと。


ともあれ、本来、2月、3月はバイク雑誌やオートバイショップにとって、ニューモデルラッシュで忙しい時期なはずなんですが、今年はさっぱり静かなシーズンインだったので、なんにせよ、フルモデルチェンジのニュースはうれしく感じます。

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