高齢者マークとの葛藤
先日、都下のある町をバイクで走行していましたところ。
自分の2台前を走るクルマが、中央線に寄って、というか、中央線にほぼ右タイヤを乗せるようにして、しかも時速10~20キロで動いていました。
そのすぐ後ろについた乗用車は、左側から抜こうというそぶりを見せたり、ときに、右側から煽るようにしていたのですが、前のクルマは一向に中央線をまたいでノロノロと進んでいます。
前車にピッタリくっついて右に左に煽るクルマというのは、よく、高速道路上なんかで1.5トントラックとかがやっているのを見かけますが、そのクルマは黒塗りのハイヤー(東京都ではハイヤーは時間貸しの高級運転手付きのクルマを指します。タクシーではない)でした。
ハイヤーの運転手は、かなり厳しい安全運転教育を受けているはずですから、右に左に煽るような運転はまずしないはずなんですが、それほど、前のクルマの動きは不自然でした。
ちなみに、その道路は片側1.5車線ほどの市道ないし都道で、本来のクルマの流れですと、30~50キロで流れていておかしくない状況でした。速度規制は40キロないし50キロの道路でした。
先頭のノロノロクルマが右に寄って走るものですから、その道路沿いにあるいくつかのスーパーやお店、飲食店に入るのかと思いきや、そうではありませんでした。
結局、時速10~20キロで道路をふさがれるような形でトロトロクルマ+ハイヤー+わたしのバイクがのろのろと渋滞を形成しながら、2~3キロはそのまま進んだのでした。いやはや。
さらに後ろも大渋滞が発生しつつ、右に寄ってトロトロ走るクルマは結局、幹線道路との交差点で右折レーンに入っていきました。
あらかじめ、右側に寄っていた、というわけです。
さて、信号待ちで、いったいどんなドライバーが運転しているのか確かめてみようと覗き込むと……。
運転席には、見た目90歳くらい(若く見積もっても80歳代後半)の老人が、ビン底メガネをかけ、11時05分(または1時55分)の位置でハンドルを握り、助手席には奥様と思われるご婦人が座っておりました。
恐らく、視力、視界、視野ともにおぼつかないのではないかという雰囲気。
クルマはトヨタ系のなんか小さいクルマで(わたし、クルマはうといので車種まではよくわからなかった)、高齢者マークをきちんと付けていました。なので、煽ったり無理な追い越しをしたりしてはいけないのですよね、法律上。
でも……とも思います。上記のようなクルマは地方では見かけたことはありましたが、都内で見かけたのは衝撃的でした。
高速道路なら、最低速度50キロと定められておりますので、文句を言う先もありましょうが、一般道ではそれがない。
あるとするなら、道路交通法の総則に「道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図り」とありますから、当該車両はある意味「道路における危険」を発生し、「交通の円滑を妨げた」ことになるといえばなるかも。
以下は、年齢別免許取得人口と対人口比率の表です。
男性の場合、75歳以上でも運転免許保有率は50%を超えました。
時速10~20キロで中央車線をまたぎながら走っていても高齢者マークを付けていたら温かく見守らなければならないのか、という葛藤。
このような問題は今後、急速に全国に広がると思います。
一方で、先日、歩道を時速30キロほどで走るハンドル付き電動車椅子を見かけました。もちろん違法改造だと思います。運転されていた方は、身体障害者だろうと思われました。
歩道を時速30キロ以上で走る自転車は日常茶飯事に見かけますが、時速30キロで走る電動車椅子は車体が大きく重く見えるので、それはそれでなんだかなあ、なんて思ったり。
でも、彼にしてみれば、免許を取って移動する乗り物に乗ることや、電動クルマ椅子で車道を走るよりは、よっぽど便利で速いのだと思います。
詳細は割愛しますが、車椅子や電動補助車椅子、ハンドル付き電動車椅子の法律上の定義はとてもあいまいなんだそうです。
高齢者マークの罰則規定は「高齢者いじめ」というキャッチフレーズで見事に撤回させるというニュースが最近ありましたが、それ以前に、高齢者や交通弱者(←誰が弱者かって話もありますが)が移動しやすい社会を構築することの方が、社会全体のメリットにつながるのではないかなあと思った“事件”でした。
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