「暴走」を親が微笑ましく見守る、の仮説
暴走族の生息については地域性があると思うけど、わたしが住む横浜北部では、世間的には「暴走族」と呼ばれても仕方ない属性の若者集団が存在する。
オートバイやスクーターを媒介とする「暴走族」的な彼らのエスノグラフはこんな感じ。
・昼間は1台づつ「足」としてバイクを使う。服装はもはや「特攻服」のようなのは絶滅していて、テカテカのジャージとか、ヒップホップっぽいのとか。・夕方17時から20時ぐらいにかけて、派手な音を立てて「どこか」に向かう。
・20時から22時ぐらいに「どこか」にたむろ(集合)する。うちの近所では、以前はセルフ式のガソリンスタンド、最近は交番のない駅前広場。
・22時ぐらいから24時ぐらいに集団で「暴走」。
・明け方、ふたたび集団または個人で「暴走」。家に帰ると思われる。
髪形は高校生くらいだとややロングっぽいのも多いみたいだけど、中学生っぽい子だと短髪、パンチ、ソリコミとかもいる。懐かしい。もしかしたら髪を短くしなきゃいけない現場で働いてるのかもしれない。
バイクに乗るとき、原付スクーターとかだとノーヘルが多いけど、ビッグスクーター系とか250cc以上だと、半キャップではあるけどヘルメット率が高かったりする。
あと、意外にナンバーは付けてるな。上向きに折れ曲げてはいるけど。
そんな18歳未満とおぼしき若者が深夜23時以降に徘徊しているのは、神奈川県の青少年保護育成条例にひっかかり、保護者は監督保護しなければならないと定められていると思うのだけど。
そんな彼らを見るにつけ、
「親 は 何 を し て い る の か」
って思ってたけど、最近、ふと思った。
これはもしや、暴走する我が子を親は(あるいは祖父母は)
微笑ましく見守っているのでは?
どうなんだろう。
今の青少年世代の親はまさにどんぴしゃの暴走族全盛期世代。今の40代くらい。その親世代は戦後世代。
「オレも若い頃はヤンチャして~」
などと武勇伝を語り始める世代は戦後世代以降であって、戦中・戦前世代はそれどころではなかった世代。
祖父母の代から、「若い頃の武勇伝」が肯定的に語られるとなると、暴走族全盛期世代だって「多少のヤンチャをしたけど今は更生して~」なんて語ってて、そんな親の子どもがバイク乗ってヤンチャ(というか迷惑だが)している姿は、もしかして
「微笑ましく」
思われているのではないか?
もはや、「暴走」は親に対する反抗でも、社会に対する反抗でもなく、それによって「この支配からの卒業」が見えてくるわけでもない。
だとすれば、21世紀の若者はなぜ珍走するのか? ある若者は学校で部活に励み、ある若者は家でゲームに熱中し、ある若者は渋谷でたむろしたりクラブに行ったりするのと同じように、単なる余暇活動の一つなのかもしれない。
などとふと思ったのは、あるとき冠婚葬祭の場で自分の息子(高校生)がタバコを吸うのを「外で吸うな、家で吸え、家で吸うならいい、と教育している」と豪語する馬鹿親がいたなあ、などと思い出して連想ゲームしてみましたが。
未成年がバイクに乗るなら、
「安全は“自分の”金で買え」
これに尽きると思う。
ちゃんとしたバイク買え。ちゃんと自賠責・任意保険に入れ。ちゃんとしたヘルメットかぶれ。ちゃんと長袖・長ズボン、できればブーツ履け。ちゃんと運転技術磨け。それらを自分の財布でやれ。
バイクに乗るとかいうリスク引き受けとは、本来、そういうものであると思う。
我が家のまわりをブンブン走り回っている世間的には暴走族と言われても仕方のない集団のみんながみんな、保険に入ってないとか自分で金出して乗ってないかどうかは知らないけれども。
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