自工会市場調査の凄い中身
夕べから雨が降り続いていますが、名前は本名もひらがなの小林ゆきですこんにちは→
通称・自工会、あるいはJAMA(じゃま)、日本自動車工業会が隔年で実施している2007年度二輪車市場動向調査の結果が発表されました。
調査方法は、
・二輪車・新車購入ユーザー調査→郵送調査法→5,057サンプル(回収率:45.9%)
・ノンユーザー調査→個別訪問留置き調査→1,200サンプル
というものです。
社会調査法の中の量的調査法としてはわりと規模の大きい調査で、とうてい個人や小さな企業、研究機関で気軽に行えるものではありませんから、たいへん貴重な資料であります。
レポート結果は2007年度二輪車市場動向調査として全89ページものPDFで公開されていますから、バイク業界の方はぜひ熟読をおすすめします。
さて、気になる調査結果の中から気になるトピックを抜粋してみます。
●新車購入ユーザー調査・需要形態は、「代替」が55%と過半数を占め、「新規購入」は18%と減少傾向にあるものの「再度購入」は15%、「増車」は11%と前回調査よりやや増加している。
逆説的に、本当に新規の新規ユーザーはまだまだ需要を掘り起こすことができるのかも。
・購入車種の決定ポイントは、「スタイル・デザイン」「燃費のよさ」「扱いやすさ」の順。
使い勝手の良さよりデザイン、が現状ではありますが。四輪より燃費や省スペース性に優れているというアピールが足りないのかもしれません。
・使用用途は、「通勤・通学」48%、「買物・用足し」30%の順で高いものの、時系列でみると「通勤・通学」が減少傾向にあるのに対し、「買い物・用足し」は増加傾向を示している。
予想通りの結果に。バイク需要の敵は携帯電話でもゲームでも趣味の多様化でもなく、ますます便利になった公共交通機関の充実にあるのではないでしょうか。&、所用先のバイク駐車場不足。
買い物、用足しが増加ということは、スーパーやコンビニ、郵便局にはバイクを停められることが多いので、バイク利用を躊躇しない、と考えられます。
・月間走行距離の平均は「254km」で、前回調査に比べ短くなっている(16km減)。
通勤・通学の定期的な利用が少なくなっているので距離にも現れているのでしょう。
・環境変化時の継続乗車意向は、「駐車スペースがなくなった時」「経済的に余裕がなくなった時」に二輪車の保有を中止するという人が4割以上みられる。
たとえば、賃貸住宅(マンション、アパート、賃貸戸建)における駐車スペース保有の調査なんかも必要になってくるかもしれません。
●トピック調査〈二輪車市場の現状と将来像〉
《現状》・1980年代から始まった「三ない運動」(高校生がバイクを乗らない、買わない、免許を取らない)は継続されている状況が確認された。
若い世代(10代、20代)では「三ない運動」はもはや死語になっていると思うのですが、本当の実態を知りたいです。学校に乗ってきちゃいけない、というのと、免許を取ってはいけない、校外活動としてでもダメ、という高校が果たしてどれくらいの割合で存在するのか。
・2006年6月に施行された改正道路交通法により顕在化した二輪車駐車場不足は、首都圏の「駅前」「繁華街」でその影響が大きく、手軽な乗り物として通勤・通学、街乗りで利用されている二輪車の利便性が阻害されている状況が認められた。
とくに首都圏、都心部で深刻な問題になっているのですが、名古屋あたりじゃ全然問題になっていないという印象もあり、地域格差を感じます。
・二輪車に良いイメージを持っているノンユーザーは、「テレビ番組」「新聞広告」「新聞記事」などマス媒体を通じ、二輪車に関する情報に接触していることが明らかになった。
やっぱり地上派でたまたまバイクを見かけた、という影響力は絶大だと思います。
この自工会の市場動向調査は大規模かつ長期かつ結果が詳細なので、時系列調査を分析するだけでも、社会学や経済学、マーケティング系の修士論文に活用できるほどの内容です。
++++++日乗++++++
懐かしい方から電話をいただきました。10年前、たいへんお世話になりました。もう10年、でも何も変わっていないのにという感じです。
→
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