G-FP2DF1P69Y 階段から転落、流血、頭にホチキス顛末記: 小林ゆきBIKE.blog

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2007.12.14

階段から転落、流血、頭にホチキス顛末記

ものっそい頭になんか刺さってる感が(苦笑)。

先週土曜日、西宮のバイクディーラーさんのイベントに招かれて、いざ出番、というときに階段の上から下まで落ちまして。始めは情けない気持ちばかりが先にたったのですが、「血が!」と叫ばれたとたん、自分に起きている事態を把握しました。救急車で病院に運ばれまして、頭を13~15針ほど縫いました。

明日の抜鈎(ばっこう)・抜糸の前に、自分を戒めるためにも備忘録。関西と言えば中島らも氏ですから、こうして笑って顛末を書けるのはラッキーだったかもしれません。

昼食時やグロに弱い方はご注意ください、生々しい表現が続きます。


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あとで読む これはひどい 流血 階段から転落

イベントの数日前からちょっと体調が悪くて、いつもなら西宮程度ならバイクで行くのですが、その日は新幹線で行くことにしました。

新幹線の中でも吐き気などして体調が悪いところ、隣席のサラリーマンがよりによってワゴンサービスの紙コップのコーヒーを注文しやがる。わたしはコーヒーが大の苦手でして、匂いだけでも吐き気、頭痛が起きます。そんな体調のとき、隣席のサラリーマンは浜松あたりで駅弁を広げ始めました。うー、体調悪いときの駅弁の匂いってけっこう辛いものがあります。最悪だったのは、名古屋の手前でそいつはコーヒーをお代わりしたのです、どうせなら缶コーヒーにしてくれよぉ、ポットのコーヒーは匂いがキツイんだよぉ、うー限界……と思い、薬を飲みました。そして後半は眠りにつき、なんとか新大阪に到着しました。

思えば、この薬が階段転落の発端でありました。新大阪から乗り換えて大阪~梅田。自分でも自覚できるほど足元がふらついているのがわかりました。あとで薬のパッケージを見ると、「副作用 ふらつき」とありまして。

モトラッド阪神さんのある門戸厄神駅から記憶を頼りに歩いて向かったのですが、近所の人に道を尋ねると、歩行者は線路を越えるには遠回りしなければならない、とのこと。跨線橋を越えてすぐ、ほんの数百mだったんですが、体調のこともあり、タクシーを捕まえて店に向かいました。

店にはゲストの山田純さんが先に到着していて、あとから竹田津キャプテンも来ました。簡単な打ち合わせをして、イベント開始を2階のバックヤードで待ちます。
開会の挨拶が聞こえ、お店の方が「そろそろ出番です」と呼びに来ました。3人は階下に向かいました。

そのときです。多分、足元がふらついたのでしょう、階段を1段、2段と踏み外し、そのまま仰向けの体勢で転落していきました。あとで聞いたら、十数段は落ちたそうです。
落下していく数秒間考えてたのは、
「イベント前なのにかっこわるいなー、恥ずかしい、情けない」
「スカートはめくれてないだろうか」(珍しく、スカートを履いていったのです。一張羅のマンクスタータンを着たくて)
「手足を怪我したらバイクに乗るのに支障が出てヤだなー」
そんなことでした。

店の人が口々に「大丈夫ですか」と聞きます。
幸い(?)着地点でスカートを見るとめくれてはいませんでした。手足も折れたり捻挫したりはしていないようでした。
しかし、頭がガンガンに痛く、「いってぇ……」と言いながら右手を頭にやり、そのまま動くことができなくなりました。

男性の声だったと思います。

あ! 血が!

そこから、場が騒然とします。
手を頭から離して確認するまでもなく、真っ赤な血は白いセーターをどんどん染め、階段を濡らします。
とっさに思い出したのは、「トマトジュース」の件でした。(参考記事:トマトジュースと救命救急

180ccくらいの出血は見た目はどぎついけど、案外、たいした出血じゃないんだったよなー……、ん? トマトジュース1本分どころじゃないやんけー!! などと思いながら、店の人がばたばたとあれこれしているのが聞こえます。

「救急車! 救急車!」

「お客さまの中にお医者さま、いらしたよな?」
「えーっと、○○さん、お医者さんちゃうかった?」
「○○さんは歯医者さん! 歯医者さんじゃあかんやろ?」

なんか、ドラマに出てくる飛行機の中みたいだな~。あ、でも今回のパーティはBMWとドゥカティとトライアンフの合同パーティだからお客さまの中にお医者さまがいらしても不思議じゃないよな~。でも正直、歯医者さんでもなんでもいい、はよ血よ止まれ~、この出血はせっかくパーティにいらしたお客さま、どん引きやろー、と、痛さよりなにより、情けない思いが交錯しました。

救急車が来るまでかたわらに付き添ってくれていたのが、お店の女性でした。
「大丈夫ですからねー、じきに救急車来ますからねー、痛いとこありますか?」
といいながら、そっと肩を抱いていてくれました。
わたしはとっさに、「この人は救急の心得がある人だ!」と安心することができました
あとで聞いたら、もうすぐ看護士さんになる方らしかったです。
見るからに具合が悪く大丈夫そうじゃないとき、「大丈夫ですか?」のことばより、どういう状況かを尋ねることばのほうがありがたい、というのが身に沁みました。
と同時に、身体のどこかに触れていてくれるというのは、こんなにも安心感をもたらすものだと実感しました。

何度も交通事故に遭遇していますが、よく見る光景のは、流血してたり意識がない人に近寄れない人たちです。確かに経験や訓練を重ねていないと怖く感じるというのと、触って状態が悪くなったらあとで裁判になりやしないか?という都市伝説がまかり通っているからかもしれません。最近は免許取得の際、応急救護の講義が義務付けられていますから、交通事故における救命率が上がっているのはそのせいかもしれませんね。

いずれにせよ、バイク屋さんに心得のある人がいたというのは、たいへん心強いことでした。

とはいえ、みるみる間に階段2段ほどが血溜まりになってきました。もってきていただいた新品の真っ白なタオルも真っ赤っかになり、絞れるくらいです。タオルからもどんどん血が滴り落ちてきます。
自分自身、こんなグロい光景はパーティのお客さまに見せてはいけない、と思ってたんですが、お店の方々が階段付近をブロックしていただいたみたいで、人垣を感じることはありませんでした。
以前に交通事故に遇ったとき、野次馬に囲まれて、野次馬たちが口々に勝手なこと言っているのって、倒れてても意識があればけっこう聞こえるものなんですよね。だから、人垣を作らせない、という配慮はとてもありがたいものでした。

幸い、手足や腰のダメージは少なかった(と思われた。実際には全身あざだらけでしたが)ので、救急車到着前に、1階のバックヤードに歩いて移動しました。椅子に座って救急車の到着を待ったのですが、その間にも、タオルをどんどん換えなければいけないほど出血は続きました。

サイレンを鳴らしながら救急車が到着。救急隊員さん二人が毅然とした雰囲気でやってきました。自分としては意識があったので大丈夫ですーとか言ったかもしれないのですが、救急隊員さんたちが若干、慌てた素振りだったので、ああこれはそんなに軽傷ではないのだなーと自覚しました。

まずはトリアージが行われました。
「お名前は? どうしましたか? 吐き気は? 視界は? 頭以外に痛いところは? 歩けますか?」
そんなことを次々に聞いてきます。これで、一次救急、二次救急などが決まるのだなと思いました。

ひと通り質問されたあと、一人は救急車に戻り(?)運ぶべき病院を手配してくれたようでした。

もう一人は、お店の人に血液の付いたものの扱いについてレクチャーしていました。感染を防ぐため、使い捨ての手袋を使ってビニールに破棄すること、手袋は裏返して自分に血液が付着しないように捨てること、などです。
わたしは最近たまたま、とある検査をしたことがあり、C型肝炎、B型肝炎、HIVなどなど感染は無し、との診断を得てたので、別に大丈夫ですよーと心の中で叫びましたが、声に出せるほどもう元気が残っていませんでした。

やがて運ぶべき病院が決まったようで、担架が運ばれてきて横になります。それまで服に血が付かないか心配していたのですが、すでに着ているものは血まみれ。あれこれ考えている余裕はありません。
高さが変えられるストレッチャーだったので、ERとか救命病棟24時でおなじみ、
イチ、ニっ、サンっ!
を生で聞くことができました。

救急車の中では、さらに意識レベルを調べるためか、名前、住所、生年月日など聞かれるのですが、しゃべると頭が痛い! お腹に力が入らず、声も小さくしか出せないので、結局、手荷物の中の免許証を見せました。

普通のハイエースよりはサスペンションがいいのでしょうが、こういうときはやはりギャップを拾うとダイレクトに傷口に伝わるのがわかります。
サイレンを鳴らしながらどんどん交差点を通過し、あっと言う間に病院に着きました。
病院では医師と看護士が待機し、またもや「イチ、ニっ、サン!」の合図で病院のストレッチャーに移されました。
施術室に行くほんの数十mでも、救急隊員さんたちと医師らはあれこれ容態を確認しています。
なんか、もう大丈夫、とほっとしたものでした。

医師は傷口を見ながら、「どうやって転びました? どこにぶつけた?」と聞いてきます。
とっさに、階段の梁にぶつけたと思う、と答えましたが、今考えると、どこにぶつけたかはあまり記憶が定かではありません。

CTスキャンとレントゲンを取り、アタマの中身はひとまず異常なし、ということになりました。問題は出血です。

治療はてきぱきと進む中にも、温かいことばをかけ続けていただきました。
切ったのは5cmほどで、基本的にはホチキスのような医療用ステイプラーでバチン、バチンと留めていきます
「消毒したいけど、出血を止める方が先ですから」とか、ホチキスの説明とか、こうした救急の場であってもインフォームド・コンセントをしっかりしていただけました。

あまりにもやりづらそうにしていたので、「髪の毛、切っちゃってもいいですよ」と言ったら、「髪の毛切ったり剃ったり抜いたりすると、ハゲちゃうことがあるからね、女の人はね」とのことでした。結果、傷口に髪の毛が入っちゃってるみたいですが(汗)。

看護士さん(女性)がかたわらで手が空くと必ず肩を抱いていたり手を握っていてくれたりしたのが心強かったです。タオルを持ってきて顔を拭こうとしたので、てっきりまだ血がだらだら垂れているのかと思ったら、涙を拭いてくれていたのでした。ホチキスや針で縫うあいだ、痛みと仕事を不意にしてしまった情けなさ、申し訳なさでポロポロ涙を流していたんです。

横浜からの来阪だったので、転院のための紹介状もたいへん丁寧に書いていただきました。

ひと通り処置をしていただき、頭に包帯を巻いて外へ出ると、店から付き添ってくれていた女性がまだ待っていてくれました。そのあと、ホテルまでタクシーで送っていただき、血まみれの服のままホテルに入ったのですが……。

さて、血まみれの服、頭に包帯のままどうしよう、と思ってたんですが、持つべきものは友だちですね。病院から関西在住の友人に連絡を取ったら、さっそく駆けつけてくれ、たいへん助かりました。

ホテルニューアルカイックの皆様にもたいへん親切にしていただきました。
服のクリーニングについて相談したところ、(本来、やってないかもしれませんが) 夜間やってるクリーニングサービスに出していただけることになり、朝には何事もなかったかのようにピカピカになって服が返ってきました。

翌日、もう一度病院で処置してもらい、包帯姿で新幹線で帰浜しました。
西宮渡辺病院で会計を待っているとき、10歳くらいの男の子が来て
「なぁ、アタマ、どうしたん?」
おもむろに聞かれまして(苦笑)。
ありゃ、関西デフォルトなんでしょうか、気になったことはとりあえず聞くとゆー。
とっさになんかボケようと思ったけど、ふつーに「あんな、階段から落ちとー」(神戸弁気味)と答えると、その男の子は一緒に来てたおじいさんに「あんな、階段から落ちたんやって」と報告してました(苦笑)。
なんなんだ、カオス関西(苦笑)。

月曜日に地元の病院にかかったんですが、ことばの一つ一つが丁寧で的確だった西宮渡辺病院さんとはうってかわって……。
「いくらお酒飲んでたからってねー」「うっわー、きたねー!」と抜かしやがります(苦笑)。お酒は一滴も飲んでませんってば。くっそぅ、あの脳神経外科医、ぜってーゆるさねー(苦笑)。なんて思って顔に出しちゃったら、明日の抜糸・ばっこうで痛い目に遇うかなあ。

1、2日経つと、思いがけない部位の打撲に驚きましたが、幸い、関節部はなんともなかったのでよかったです。ただし、当分、ヘルメットはかぶれなくなりました。
3日間くらいは、身体がオドオドしている感じでしたね。全身打撲の影響でしょうか。
昨日あたりから、普通に階段を昇り降りできるようになってきました。

アタマの傷も日に日に良くなっている感じがします。毎日写真を撮ってますが、あまりにもグロなんでここには掲載しません(苦笑)。ステンレス(?)のホチキスの針がストロボに反射してキラキラと輝いています
1週間で裂傷ってくっつくもんなんですね、人間ってすごい。
しっかし、何か刺さってる感アリアリですが。

そんなわけで、ご心配おかけしましたが、ボチボチあたまは復帰しております。


++++++日乗++++++
タカタさんとケガ友。

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12月にこんなことになりまして。 階段から転落、流血、頭にホチキス顛末記に詳しく事情を書いたわけですが。 その後、アタマの傷がばっくり割れないよう慎重に生活しつつ、本日、最後の検査を受けてきました。 全部で十数針縫ったりステイプラーで留めたりした傷のばっこう・抜糸は、怪我から約1週間後に行いました。 年明け、念のため脳の中に異常がないかMRI検査を行うとのこと。脳膜硬化症などの後遺症がないかどうか... [続きを読む]

受信: 2008.01.12 20:12

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