SRSJ以外の15歳以下にライセンスを取らせない鈴鹿サーキット
鈴鹿サーキットで行われるオートバイーロードレースの地方選手権とチャレンジカップ(旧エリア選手権)最終戦は、伝統的にNGK杯という冠が付いていて、鈴鹿で闘ってきた選手だけでなく、全国各地の地方選手権・チャレンジカップの上位ライダーだけが参加権を与えられる、事実上の地方選手権の全日本大会となっていて、明日の全日本選手権を夢見るライダーの目標となっていた。なっていたはずだ。
そこへ、こんな問題が勃発しているという。
近畿以外の地方選手権でランキング1位と、4位を獲得した12歳の選手が、年齢制限を理由に鈴鹿サーキットライセンス取得を阻まれ、事実上、NGK杯にエントリーできなかったというのだ。
理由として、鈴鹿サーキットライセンスは運転免許を持つ16歳以上でないと取得できないことになっているらしい。
あれ、でもおかしいな。2006年、GP125クラスで優勝したのは15歳の和田卓也選手だった。
その点を鈴鹿サーキットに指摘すると、
「SRS-J(ジュニア)」出身の選手は、特例として鈴鹿サーキットライセンス取得が認められているのです」
と返答されたという。
つまり、16歳以下の選手が鈴鹿サーキットでレースに参戦するには、SRS-Jに所属してライセンスを取得しなければならない、ということになる。
SRS-Jとは、鈴鹿サーキットレーシングスクールジュニアの略称で、鈴鹿サーキットが主催しており、これまでもトップ選手を排出している。
9歳から20歳を対象としていて、年額65万1000円。
これに対して関東で行われている主なジュニア向けレーシングスクールは、ツインリンクもてぎで行われているMFJロードレースアカデミーがある。こちらはMFJが主催で、料金は30万円+ライセンス取得料等で48,125円。こちらも、数多くのトップライダーを排出しつつある。
現在、筑波選手権やもてぎ選手権、SUGO選手権などのとくにGP125クラスでトップを走っているライダーの大多数が、12歳から18歳以下のジュニア層である。なかでも、運転免許の取れない中学生層の活躍は目覚ましい。
MFJアカデミーだけでなく、桶川塾、チームノリックジュニア、大治郎カップなどなど、ジュニア育成に力を入れているサーキット、ショップ、レーシングチーム、ポケバイレースなどがとくに関東地方で増えてきた。
いま、ロードレースの世界で闘うには、ジュニア時代からイタリア、あるいはスペインでレース経験を積むしかないんじゃないか、とあるGP関係者は言う。
「日本は立派なサーキットがたくさんあるけど、走行料が高く、走行機会が少ない。しかも、選手層が薄過ぎる。これでは、世界で闘えるレベルにはとうてい追いつかない」
というのだ。
そんな状況なのに、SRS-Jに入っていない15歳以下の選手に鈴鹿サーキットライセンスを取らせず、地方選手権最高峰のNGK杯出場を、鈴鹿サーキットの権限で拒むとは。
鈴鹿サーキットライセンスには以前もこんな問題があった。サーキットライセンス取得のためには、最低でも3、4回以上鈴鹿に通わないと取れなかったのだ。
1、座学講習会を受ける
2、南コースを予約して数時間走る
3、南コース走行済が前提で、本コースの先導付き走行を行う
この3つのプロセスを踏まないと、本コースの走行予約が取れなかったのだ。わたしも、このシステム時代に鈴鹿サーキットライセンスを取ったので、とても時間がかかったのを覚えている。そもそも南コースもしょっちゅうスポーツ走行日があるわけでないし、ましてや、本コースの先導付き走行日は月に1度もなかったと記憶している。それでもなんとか取得し、スーパーNK選手権に出場した。
この煩雑なシステムは、たとえば鈴鹿8耐にスポット参戦する国際ライセンス所持の日本人ライダーにも適用されていたといい、2000年以前は問題となっていた。さすがに今は改善されて、レースによっては暫定ライセンスが認められたり、他サーキットやMFJライセンスの種類によって即時発行されるようになったとも聞く。
ここでおさらい。
ロードレースをするには、二つのライセンスがあることを知っておく必要があります。
[MFJ競技ライセンス]……レースに出るためのライセンス
・ジュニア……12歳~15歳
・フレッシュマン……サンデーレースや地方選手権だけ出るなら、いつまで経ってもフレッシュマンライセンスだけでOK。何十年レースやってるベテランでもフレッシュマン。国内ライセンスより1500円もオトクな年額8000円のフレッシュマン。
・国内……地方選手権、チャレンジカップに出るなら国内ライセンスを。年額9500円。
・国際……全日本、世界選手権に出るなら国際ライセンス。年額はオンライン上では不明。
[各サーキットライセンス]……サーキットで練習するためのライセンス
・サーキットによって取得条件、料金等は異なる。
MFJ競技ライセンスを取得するには、どこかのサーキットライセンス取得が前提となります。
ということは、鈴鹿サーキットをホームコースにしたい12歳~15歳の選手は、システム上、SRS-Jに入らなければその道は閉ざされているということになります。
MFJ競技ライセンスとサーキットライセンスの二つのライセンスの間には、どちらが教育的要素を持つのか、どちらが練習機会を増やす要素を持つのか、という目的が明確でないという問題がある。また、全国のサーキットライセンス取得について、内容や条件の均衡化がなされていないという印象も受ける。
さて。当ブログをお読みの関係者の皆さん。MFJの方、鈴鹿サーキットの方、NGKの方。レース関係者の方。日本のロードレースの選手は世界に羽ばたかなくてもいいですか。
エントリーは締め切り日が過ぎたとのことですが、有望な15歳以下の選手を今からでもNGK杯に出場させる方策は取れないのでしょうか。
++++++日乗++++++
松岡修造チャレンジを見よ!
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