身体論とバイク
アカデミックな世界では「身体論」が盛んである。
有名どころでは、明治大学教授の斎藤孝氏とか、神戸女学院大学教授の内田樹氏あたりが研究されておられる。
身体論とは何か、という問いに答えるのはけっこう難しい。生理学的とか医学的とか体育学的に身体がどのように動くのか、という研究ではなく、身をもって体験することが哲学にどう影響するのか、みたいな話しだ。理系思考ではなく、文系思考の中で身体論は盛んに取り上げられている現象が、面白いと言えば面白い。
最近では哲学のみならず、社会学や文化人類学の中でも身体論を結びつけて考える研究者もある。身をもって体験することが社会にどんな影響を与えているのか。社会の動きは身体論からどう説明できるのか。そんな話である。
けど、それもどうかな、と思う部分もある。個人の身体で体験することを文系の定式化だけで説明するのはちょっと違うかも、と感じるからだ。
とはいえ、バイクに限っては身体論は成り立つのではないか、とも思う。
バイクを経験すると、夏は暑い、冬は寒い、雨はしんどい、のように天候をあからさまに体験することになるし、転べば痛いし、事故を体験したり見聞きすることで怪我や死をダイレクトにとらえるようになる。
そうした経験を重ねることで、他人の痛みを理解するようになるのではないかと思うのだ。
PRONWEBのThe Cutting Edgeというコーナーに「3歳からのバイクのおけいこ」というコラムを書いた。ここ数年、とみに盛んになってきている子ども向けのバイクスクールやモーターサイクルスポーツについてをまとめたものである。
3ナイ運動世代は16歳になって初めてバイクに接し、教育者から禁止というムチを与えられて大人になった。
平成生まれのバイク世代は早ければ2歳や3歳からバイクに接している。彼らはもうすぐ公道を走るようになる。そうなったとき、道路交通はどのように変わっていくのだろうか。もしかしたら、バイク事故は激減するかもしれない、という身体論的な淡い期待を持ちたくもなる。
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