バイク・コンシェルジュ
ある大手バイク用品店の社長さんが以前、こんなことを言っていた。
「いつか、“バイク・コンシェルジュ”を置きたいんですよ。コンシェルジュに聞けば、パーツやウエア選びから、レースにどうやってエントリーすればよいのか、とか、バイクの不調をどうすればいいのか、とか、聞けば何でもわかってご案内できるような、バイク・コンシェルジュ。」
ふむふむなるほどーと思うとともに、今のバイク用品店の悩みを端的に表しているなぁ、と思って聞いていた。
確かに、今のバイク用品店店員に求められる知識は膨大で、何にでも長けている人ってのはそうそういないと思う。
1990年代半ばから後半にかけて、全国で大きなバイク用品店が誕生し、バイク用品の買いかた自体が変化した。
それまでは、その用品やウエアを見るには、せいぜい上野のバイク街に行くか、その用品やウエアの直営店に行くか、バイク雑誌に載っている通販で現物を見ないで購入するか、そんなところだった。
ところが、大きなバイク用品店が出来ると、みんなそこで現物を手にとって見ることができるようになった。
でも、扱っている商品点数は膨大で、あるショップなどはほとんど商品説明は行なわず、顧客がスーパーのような買い物カゴを手に自由に買い物をするスタイルを開発した。これは、バイク業界にとって画期的なことだった。それと同時に、ユーザーは商品知識を自分で仕入れなければならなくなった。
インターネットの普及も、バイク用品の買いかたに変化をもたらした。
1.ネットで商品を調べる
2.大手バイク用品店に現物を確かめに行く
3.そこで買わないで、ネットで一番安いところで購入する
こんな風に変化してきている、というのである。
とはいえ、ユーザーのバイクの知識とバイク用品の知識というのはバラバラで、全体を見て最適なものを探す、というところにまでは至らない場合も多い。
そこで、バイク・コンシェルジュである。
バイク用品店の店員さんに求められる知識は今でも膨大である。同じ業種間の転職もよく聞く。
関係業界団体は、バイク・コンシェルジュ2級(用品・ウエア・バイク文化の各特化資格)、バイク・コンシェルジュ1級(2級を全て取得してなんでもわかる人)などの資格を創設して人材確保につとめてはいかがだろうか。
お客さん「今度、○○って草レースに出るんですけど、ゼッケンありますか?」
コンシェルジュ「ありますよ、2階のあのあたりに。今後もレースに出られますか? それならゼッケンナンバーを買うより、カッティングシートをお買い求めになって自分で作った方が安上がりになります。チェーンガードはもう装着しましたか? ○○ってレースはチェーンガード装着義務が今年からありますから、××ってメーカーのものがお客様のマシンには適合するので、準備されるとよいですよ。アシストフードはもうご準備されましたか? 義務化されてますんで、これも必要になってきますね。今後も○○サーキットを走られる予定はありますか? 練習されるなら○○サーキットのライセンスをお取りになると1時間▼▼円で練習することができますけど、あんまり通わないなら■■さんや□□さんのサーキット走行会が30分×2回で◆◆円のが◇月◇日と△日にありますから、そういうのを利用されるのもよろしいかと思います。もしお怪我をされたときの保険はどうされてますか? 練習走行もレースも保険が付いてますけどそれでは不十分なので、++ってとこの掛け捨ての保険などいかがでしょう。お連れの方はいらっしゃいますか? もう寒い季節ですから、サーキットコートなんかをご準備されるとよろしいかと思います。行き帰りに使うガソリンがオトクになるカードもありますんでご検討ください……(以下省略)」
なんだか押し売りみたいだけど、1聞いて100返る、みたいな。
既存のバイク店ではもうやっているのかもしれないけど、団塊世代大量流入が予想される今、大型用品店でもこのようなやり取りのできる高級用品店がそろそろ出現してもいいかもしれない。
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