G-FP2DF1P69Y 小林ゆきBIKE.blog: 2006年10月

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2006年10月

2006.10.31

バイク・コンシェルジュ

ある大手バイク用品店の社長さんが以前、こんなことを言っていた。

「いつか、“バイク・コンシェルジュ”を置きたいんですよ。コンシェルジュに聞けば、パーツやウエア選びから、レースにどうやってエントリーすればよいのか、とか、バイクの不調をどうすればいいのか、とか、聞けば何でもわかってご案内できるような、バイク・コンシェルジュ。」

ふむふむなるほどーと思うとともに、今のバイク用品店の悩みを端的に表しているなぁ、と思って聞いていた。

確かに、今のバイク用品店店員に求められる知識は膨大で、何にでも長けている人ってのはそうそういないと思う。

1990年代半ばから後半にかけて、全国で大きなバイク用品店が誕生し、バイク用品の買いかた自体が変化した。
それまでは、その用品やウエアを見るには、せいぜい上野のバイク街に行くか、その用品やウエアの直営店に行くか、バイク雑誌に載っている通販で現物を見ないで購入するか、そんなところだった。
ところが、大きなバイク用品店が出来ると、みんなそこで現物を手にとって見ることができるようになった。
でも、扱っている商品点数は膨大で、あるショップなどはほとんど商品説明は行なわず、顧客がスーパーのような買い物カゴを手に自由に買い物をするスタイルを開発した。これは、バイク業界にとって画期的なことだった。それと同時に、ユーザーは商品知識を自分で仕入れなければならなくなった。

インターネットの普及も、バイク用品の買いかたに変化をもたらした。

1.ネットで商品を調べる
2.大手バイク用品店に現物を確かめに行く
3.そこで買わないで、ネットで一番安いところで購入する

こんな風に変化してきている、というのである。

とはいえ、ユーザーのバイクの知識とバイク用品の知識というのはバラバラで、全体を見て最適なものを探す、というところにまでは至らない場合も多い。

そこで、バイク・コンシェルジュである。

バイク用品店の店員さんに求められる知識は今でも膨大である。同じ業種間の転職もよく聞く。
関係業界団体は、バイク・コンシェルジュ2級(用品・ウエア・バイク文化の各特化資格)、バイク・コンシェルジュ1級(2級を全て取得してなんでもわかる人)などの資格を創設して人材確保につとめてはいかがだろうか。

お客さん「今度、○○って草レースに出るんですけど、ゼッケンありますか?」

コンシェルジュ「ありますよ、2階のあのあたりに。今後もレースに出られますか? それならゼッケンナンバーを買うより、カッティングシートをお買い求めになって自分で作った方が安上がりになります。チェーンガードはもう装着しましたか? ○○ってレースはチェーンガード装着義務が今年からありますから、××ってメーカーのものがお客様のマシンには適合するので、準備されるとよいですよ。アシストフードはもうご準備されましたか? 義務化されてますんで、これも必要になってきますね。今後も○○サーキットを走られる予定はありますか? 練習されるなら○○サーキットのライセンスをお取りになると1時間▼▼円で練習することができますけど、あんまり通わないなら■■さんや□□さんのサーキット走行会が30分×2回で◆◆円のが◇月◇日と△日にありますから、そういうのを利用されるのもよろしいかと思います。もしお怪我をされたときの保険はどうされてますか? 練習走行もレースも保険が付いてますけどそれでは不十分なので、++ってとこの掛け捨ての保険などいかがでしょう。お連れの方はいらっしゃいますか? もう寒い季節ですから、サーキットコートなんかをご準備されるとよろしいかと思います。行き帰りに使うガソリンがオトクになるカードもありますんでご検討ください……(以下省略)」

なんだか押し売りみたいだけど、1聞いて100返る、みたいな。
既存のバイク店ではもうやっているのかもしれないけど、団塊世代大量流入が予想される今、大型用品店でもこのようなやり取りのできる高級用品店がそろそろ出現してもいいかもしれない。

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2006.10.30

バイクは趣味の乗り物か、コモディティか

ケルンのINTERMOT(インターモト)で、とある日本メーカーのプレスカンファレンスで気になる発言が。


MC「今回のニューモデルはどの部分から開発が始まったのですか? エンジン? シャーシ? デザイン?」

メーカー開発者「いえ、マーケティングです(にこっ)」


これには我が耳を疑った。そこで発表されていたのは、紛うことなくスーパースポーツというカテゴリーのバイクだったからだ。
スーパースポーツとは、性能を追究して極めたものがスーパースポーツではないのか。


このメーカーは東京モーターショーでこんなことも言っていた。

エライ人バイクは趣味の乗り物ですから」


これにも我が耳を疑った。趣味にするかどうかはユーザーが決めることではないのか。
企業側がバイク“趣味”と規定してしまえばマーケットは拡大しないではないか。


この二つの矛盾しているとも思える理論を、自分なりに納得させる帰結。それは、

スーパースポーツはもはやコモディティ化している


スーパースポーツは1998年ごろから始まり、2000年あたりのブームを経て、すでに既存のマーケットには浸透した。
あまり考えたくはないが、今ときの(ヨーロッパや北米の)ユーザーは、レーサーっぽいデザインで、前傾姿勢のきついセパハンで、1000㏄で、ハイパワーで、センター出しアップタイプのマフラーで、タイヤが太ければ、ヤマハでもホンダでもスズキでもカワサキでも、赤、青、黄、緑、白、黒、シルバー、なんでもいいのだ。売っている店が自宅から近ければそれでいいのだ。他メーカーより安ければそれでいいのだ。清成龍一選手がイギリスのスーパーバイク選手権でシリーズチャンピオンを獲ろうが、関係ないのだ。
考えたくはないが、きっと、たぶん、おそらく、そんなところにまでスーパースポーツというカテゴリーは到達してしまっているのだろう。


「マーケティングから開発しました」という、世界の二輪ジャーナリストさんたちを失望させるようなメーカーの本音は、意外にも、世界における日本メーカーの立ち位置を端的に表している。
かつて強烈な個性を放っていたBMWが、トライアンフが、 ドゥカティが、KTMが、日本メーカーのお家芸であったマルチ・カテゴリー展開に追従し始めたからである。

何でも屋が跋扈し始めたとき、もはやバイクは白物家電化するしかないのか--。

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2006.10.29

モトGP最終戦、地上波は今晩1時50分日テレ系

現在、フジテレビ系ジャンクスポーツで天才14歳バイクロードレーサー中上貴晶選手が、オカンの鉄拳特訓を暴露したりしているわけですが

MOTO GP最終戦バレンシアの模様は地上波は日テレ系、25時50分(今晩午前1時50分)より日テレ系にて放送されます。

ネタバレ書き込みはご容赦願います。。。

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2006.10.27

Web2.0的地図情報サイト

みんなでつくろうYahoo!地図情報”は、Web2.0的な地図情報サイト。
アトラス社のオンライン地図を利用し、ユーザーの情報、たとえば最近ここにお店がオープンした、とか、このコンビニはもうありません、みたいな生情報が最短3日で掲載される。

最短3日、ということは、中の人が手動で頑張っているはずなわけで、それってWeb2.0なんだろうか?という気もするけど、グーグルブックサーチも手動で本をバラバラにして1ページごとにスキャンしているらしいので、やっぱり人力の情報ってスゴイ、というわけで。

まだ実装されてないけど、タグが利用できるようにして、「バイク駐輪場」「二輪駐車場」みたいなタグで検索できるようになるとより実用的かと思われます。

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2006.10.26

スズキのグミ

スズキのグミ

ケルンのインターモトで配られていたスズキのノベルティ。バイク型グミキャンディです。

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2006.10.25

法定最高速度見直しへ検討委員会立ち上げ

警察庁は1963年から変わっていない法定最高速度が現代の交通事情にも適切かどうか検討することが明らかになった。

♯まだまとめ切れてないので箇条書きによる下書き

朝日新聞10月21日付け記事のウエブ魚拓によるキャッシュ
グーグルニュースによる“警察庁”+“速度”の検索結果

●背景

・交通事故死者が半減目標まであと1000人ほど。6000人台まで減った。
・第二東名・名神の設計速度はたしか140km/h。凍結されたはずの第二名神が結局着工されることになり、実現させるためにも最高速度規制を上げたい?
・バイパス路などですでに実際に現行60キロ→70キロに昨年、実験的に引き上げられた実績があり、事故が余計に増えたということもない。
・二輪車、軽自動車の高速道路での最高速度が80キロ→100キロに引き上げられたが、とくに事故が増えたということはない?
・大型自動車の90キロリミッターが義務化され、今後は大型自動車による死亡事故は減るという予測
・来年より大型自動車・中型自動車・普通自動車というように四輪車の免許は3分割になるため、大型自動車免許が取りにくくなり、大型自動車による事故は減ると予測
・特に北海道で速度規制見直し論が高まっている。
・死亡事故原因の第一因はスピード超過ではない。
・無駄な制限速度がイライラを発生させるという学術的研究結果も。
・ヨーロッパやアメリカなど先進諸外国に比べ、日本の法定速度は著しく低い。

●反論
・川口の保育園児4人死亡の事故が起きた道路は歩道もガードレールもない生活道路だったが、特に速度規制はなかったので法律上、法定最高速度の60キロだった。(ソース:ライブドアニュースPJオピニオン)
・最高速度引き上げとともに、引き下げが必要な道路も。同時に議論すべき。
・先進諸外国のうちイタリアとフランスは最高速度が日本に比べて高い(例:高速道路130キロ、郊外一般道80キロなど)が、人口対交通事故死者の割合は日本の約2倍→けれどもイギリスは郊外の最高速度は高いにも関わらず日本とあまり変わらず低い
・高齢ドライバーの激増から事故が増えると予想され、このまま規制しておいてもいいのではないか

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2006.10.24

阪神高速では二輪ETC購入支援キャッシュバック

ORSEのサイトはユーザビリティがもう一つなんですが、ぶつぶつ。
二輪車ETC取付店一覧とか二輪車ETCリース制度からホームページへ戻るリンクがない。ま、それはともかく。

阪神高速では、二輪ETC機器購入支援キャンペーンとして、先着3000名に現金1万5750円(税込)をキャッシュバックするキャンペーンをはじめると発表しました。総額4725万円のキャンペーンです。
期間は11月24日から2007年1月31日まで。
阪神高速二輪ETC購入支援キャッシュバックについての詳細はこちら、ただしpdf

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2006.10.23

二輪ETCもリース制度が。ただし……

11月1日から全国で使えるようになる二輪ETC。
ようやく販売店、セットアップ店が発表された。(ORSEの二輪ETC車載器セットアップ取扱店一覧)

さて、四輪のETCでは5250円割引になるリース助成制度があったが、二輪車ETCにもリース助成制度が発表された。

それによれば、2回分割以上のリース、割賦、クレジット販売に対して、ななななんと、助成額1万5,750円が割引される、というもの。
助成受付日時締切は、平成19年1月31日午後5時までで、台数に制限はない。

すでに発表されている二輪車ETC機器購入支援キャンペーンで2000ポイント(1万6,000円分)のマイレージサービスと合わせて結果的にタダ同然(原資は必要だが)で手に入れることができる? と思ったら甘かった。二輪車ETC Q&Aによれば、購入支援キャンペーンとの併用は出来ない、とのことだった。残念。

ただし、今後、二輪車車載器の予価3万1500円(税込)を値引きで1万5,000円程度で販売する業者が出てこないとも限らないし、四輪ETCであったような、クレジットカード新規契約と抱き合わせで10円×2回の20円で販売やリースを行なう業者が出てこないとも限らない。

ま、いずれも 楽観的な希望的観測ですが。

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2006.10.22

TBS報道特集でバイク盗難が特集に

たった今、17時半からTBS系報道特集で『高級バイク窃盗団!手口巧妙 犯罪の瞬間』という特集が報道されます。


追記:なかなか始まらないのでGT見てたら、けっこうオートポリス、観客入ってましたね~

追記:MC恩田さん、決死のオトリ!

お金になる抜け穴がある、ということが、盗難という犯罪を生んでいるような気がしました。

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2006.10.20

「泣いちゃダメ」なのか?~事故後のトラウマ・ケアとPTSD予防

トルコで日本人観光客を乗せたバスが横転、一人が亡くなり重軽傷者多数を出す事故となった。(グーグルのニュース検索結果) 亡くなった方のご冥福とともに、怪我をされた方々の怪我の回復をお祈りする。

さて、トルコバス横転事故のテレビ報道を見ていて、気になることがあった。怪我をされた方が病院に搬送される映像の中で、付き添いの人が、

泣いちゃダメ! 泣いちゃダメ! みんな頑張ってるんだから、泣いちゃダメ!

大声で声をかけているのを見た。おそらくその人は医療従事者でないか、医療従事者であってもメンタル・ケアの知識がない人だったのだと思う。心のケア、メンタル・ケアの面からいうと、これはまったく間違った対応と言わざるを得ない。

命に関わるような事件・事故に直面した人に、身近な人の間違った対応で急性ストレス障害が起きるばかりでなく、PTSD(心的外傷後ストレス障害、Post-Traumatic Stress Disorder)を発症させる恐れがある。

PTSDとは、「家庭の医学」によれば、

PTSDの症状は、[1]外傷的な出来事の再体験(フラッシュバックや苦痛を伴う悪夢)、[2]類似した出来事に対する強い心理的苦痛と回避行動、[3]持続的な覚醒亢進(こうしん)症状(睡眠障害、ちょっとした刺激にも反応を示す、集中困難、過度の警戒心、過剰な驚愕反応など)です。これらの症状が、心的外傷後、数週間~数カ月の間に発症し、数カ月~数年続くというものです。外傷的な出来事としては、大きな自然災害(地震、洪水、火山の噴火など)、人工災害(原発事故、航空機事故、列車事故、大きな交通事故、火災など)、犯罪(殺人事件、人質、強姦〈ごうかん〉、虐待〈ぎゃくたい〉など)があります。

とある。
PTSDについては、「Dr林のこころと脳の相談室」や、「ヤフーヘルス 家庭の医学」、また9.11テロのときに作られたサイト「メンタル・サポート・イン・クライシス」の資料室「PTSDとは何か?」に詳しい。

オートバイに乗っている皆さんにとって、交通事故はクルマのドライバー以上に、見たり、聞いたり、あるいは自分自身が、家族が、恋人や知人が直接関わる経験が多いと思う。
交通事故だけではない。モータースポーツにおいても、悲しい事故に直面することはある。しかし、日本ではモータースポーツにおけるトラウマ・ケアはまだ提唱されていないし、自助グループもない。遺族は黙って事故の風化を待つほうがいい、というような風潮さえ見受けられる。

それだけに、今回のトルコバス事故の件の報道を見て、事故後、身体的な怪我からの回復だけでなく、精神的な回復のためにも、オートバイに関わる皆さんに知って欲しいことと思い、このエントリーを書いている。


それでは、命に関わるような事件・事故に直面した人に、身近な人はどう対応すればよいのか。
先のトルコの事故の件では、「泣いちゃダメ」と付き添いの人は言っていたが、その人は辛いときに人前で泣いてはいけない、と育ってきた世代なのかもしれない。かくいうわたしも、そういう親を持つ世代だ。
しかし、事件・事故は日常ではない。異常事態なのだ。辛さや悲しみの感情は「泣く」という行為で表出させた方がいい。

当事者にしてみれば、親しかった、あるいはこの旅で親しくなった人が目の前で亡くなったのだ。もしかしたら自分も死んでいたかもしれない。怖い。悲しい。得たいの知れない不安。次に襲ってくるのが、自分を責める気持ち。旅に出なければよかった。自分があそこの席に座っていればあの人が犠牲になることはなかったのに。自分のせいじゃないのにこんな目に遭って。怒りの感情すら沸いてくる。

「みんな頑張っている」なんてどうでもいいのだ。今、自分は辛い。それを誰かにわかって欲しい。その人と一緒にいることは安全なんだと理解したい。
「泣いちゃダメ」は、自分の感情をぶつけられないジレンマ、自分の感情を共有してもらえない、その人といても安全ではない、という発想に結びつく。
事件・事故後の周囲の間違った対応は、事件・事故のトラウマを大きくし、第2の被害をもたらす。

かくして、心は休まらない。

事故の模様が繰り返し、繰り返し、フラッシュバックする。それは自分自身の精神では止めることのできない、恐ろしい体験である。努力ではなんともし難い。言葉、音、しぐさ、文字、全てのことに過敏になる。そして身体的不調が襲ってくる。やがては精神的不調に陥る……これがPTSDの発症メカニズムである。

PTSD予防のための対応については、「メンタル・サポート・イン・クライシス」の中にある大人向けの「危機状況に対する心のケアのための救急処置」も参考になるが、自我が発達していない子ども向けの「子どものPTSDに対する応急処置」が当事者、周囲の人、互いの理解を助ける。

要するに、起こった事件・事故は異常事態であること、そのことによってさまざまな身体反応・精神反応が出るのは普通のことである、を理解する、というものだ。

また、具体的にどういう対応をし、どういう言葉をかけるべきで、どういう対応をしてはいけなくて、どういう言葉をかけてはいけないのか。
PTSD.infoというサイトに書いてあるものを、ある編集者の気になるノートでまとめたものが参考になる。(以下、再構成)

続きを読む "「泣いちゃダメ」なのか?~事故後のトラウマ・ケアとPTSD予防"

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2006.10.19

次はやっぱりミニモト?

10年以上、ケルン・ミュンヘン・パリ・ミラノなどヨーロッパの国際モーターサイクルショーに通っている。すると、明確にその年のトレンドが見えてくる。

1998年ごろからはっきり傾向があったのは、スーパースポーツブームだ。ブームはすでに収束し、2006年の今まで、さまざまな大小のブームがあった。

たとえば、2001年ごろはスクーターブーム。これは、ヨーロッパの主な国々で自動車免許で125㏄までのバイクにも乗れる規制撤廃が行なわれたため。125㏄までのスクーターはもちろん、その流れで250㏄やそれ以上のビッグスクーターがこぞって開発・発売された。

その後、H-Dの台頭が明確になってBMWや日本メーカーが追従する形でクルーザー(アメリカン)のブームも来る一方、スーパースポーツは軽量化・超ハイパワーの開発合戦が続く。

クルーザーやスーパースポーツで従来のバイク乗りを満足させると、次に来たのは2003年ごろのスーパーモタードブームだった。それこそ、どこのブースに行ってもイメージモデルがモタードになっちゃうほど、どこに行ってもモタード、モタード、モタード。しかし、オフロード車ベースのモタードはヨーロッパの街でさほど普及することなくブームは小休止、というより、モータースポーツ(ただし観戦)としては定着して今に至る、とわたしは見ている。

昨年2005年のトレンドは、たとえばスズキGSRやカワサキERシリーズなどに代表される、“ネオ・ネイキッド”とでも言うべき丸目ヘッドライトではない現代的なデザインのネイキッドだった。

それでは今年2006年のトレンドは何だったか。はっきり言っちゃうと、それはミドル・レンジであったと思う。要するに、スーパースポーツはもう一般ユーザーの手にはひと通り渡り切ってしまったということだ。次に獲得すべきはビギナーや女性だから、ヨーロッパにおけるミドルレンジ、600㏄クラスが充実してくるのは当然の帰結なのかもしれない。

こんな風に見ていると、次に来るのはナニか? という命題だが、アメリカではすでにブームになっているというミニモトが来るだろう、とあえて予言。ハズレたらごめんなさい。
♯ここでのミニモトの定義は、4ストローク125㏄以下のバイクとしておく。

とある情報によると、不二雄さんもミニモトに夢中、らしい。ニッポンが世界に誇るマフラー・レーシングパーツメーカーが本気を出すときっと面白いことになると思う。

問題は、ヨーロッパは公道におけるバイク文化は成熟しているが、一般人がモータースポーツに慣れ親しんでいるかというと日本ほどでもない、ということだ。日本の方が実は簡単にモータースポーツの扉を開けることができるのだ。
ヨーロッパにおいてモータースポーツ観戦人口が多いのに、参戦人口がさほどでもない理由として考えられるのは、

1.ヨーロッパにおけるバイクユーザーの中心は50歳以上であり、なかなか自分自身がサーキットに挑戦しようとは思わない。
2.そもそもサーキットが日本に比べて少ない。
3.日本よりバイクの値段や税金が高い。

こんなところか。
しかし、もっともネックなのは、現在の日本のミニモトブームはもてぎのDE耐や鈴鹿のMini MOTO耐久などレースが牽引役になっている、ということだ。決して、街乗りの利便性からブームが生まれたわけではない。

そう考えると、ヨーロッパでミニモト系レースがブームになっているかというとそうでもないので、ここは一つ、来年秋に開催見込みの三宅島TTレースでは、開催クラスをミニモトとし、海外有力ライダーを招致するなどしつつESPNあたりに三宅島復興放映権を売りつけ全世界に配信、ニッポンのミニモトの威力を見せつけて欲しいものだ。
かつて、マン島TTが世界選手権だったとき、日本人で唯一のマン島TT優勝者・伊藤光夫さんを50㏄クラスで生み出したように。

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2006.10.18

トンデモエンジンその2~LPG-ガソリンハイブリッド

球形ロータリーエンジンに続くトンデモエンジンシリーズ第二弾。

Image1lpggas

中国のバイクメーカーによる、LPGとガソリンのハイブリッドエンジンです。
「世界初!」とニコニコしながら技術説明してくれましたが。。。

中国はガソリンエンジンに規制をかけているところが多いので、LPGエンジンのバイクもけっこう普及しています。

エンジンがガソリンとLPGのハイブリッドであるメリットはあまりないと思うのですが、法規制の対策としてはこのハイブリッドもアリ、なのかもしれません。
環境への影響、というのなら、単純にLPGだけの方が理に適っているわけだし。

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2006.10.17

横浜市で商業施設にバイク駐車場義務化

横浜市では来年5月を目途に、大規模商業施設や業務ビルにオートバイ専用の駐車場設置を義務付けるため、市駐車場条例の改正を検討していることがわかった。(2006年10月17日(火)朝日新聞朝刊第二神奈川版 13版より)

Yokohamabikeparknews_1

全国の市町村で二番目の人口がある横浜市には、いわゆる自転車条例で自転車と原付自転車の駐輪場は行政が整備しているが、125㏄以上のオートバイ/バイク/自動二輪/二輪車の駐車場/駐輪場は無きに等しい。
ごくわずかではあるが、横浜駅西口ハマボール前の実験的駐輪場や、市が尾駅前の東急電鉄運営の駐輪場、また黙認ではあるが金沢八景駅横浜市立大学側の市営駐輪場は自動二輪も停められる、という事例がある。
しかし、人口360万人の分母に対しては受け入れ台数が少な過ぎで、東京都に比べて取り組みかたも遅いと言わざるを得ない。

横浜市では元社会党党首飛鳥田市長時代から「市長への手紙」という市民の声を汲み上げるシステムがある。直接、市長室へ手紙が届く、という仕組みは画期的だった。
現在は「広聴」という名前に変わり「市民からの声」「市民からの提案」「市長陳情」を受け付けている。また、その回答はインターネットで公表しており、分野による検索が可能となっている。(横浜市広聴の公表の検索はこちら

たとえば「バイク 駐輪場」と検索窓に入れてみる。すると、市民ライダーの悲痛な叫びが聞こえてくる。(「バイク 駐輪場」の検索結果はこちら)

投稿要旨を挙げてみる。太字は筆者による。

●6月から駐車違反の取締りが民間へ委託され、取締りが厳しくなることが予想されますが、バイクの置き場所に困っています。現在街にある駐輪場は排気量が125cc以上のバイクは駐輪させてもらえないところがほとんどです。もちろん駐車場も断られるところがほとんどです。大型バイクの置ける駐輪場を作ってください。作れないのであれば現在の駐輪場に置けるようにしてください

●公営の大型バイクの駐輪場がありません。結果として路上駐輪が多くなっています

●250ccのバイクに乗っています。先日、港北区日吉駅付近で駐車違反を切られました。日吉駅付近には125ccを超えるバイクを止められる駐輪場がないにも関わらず、駐車違反を取り締まっている現状に対して非常に憤りを感じています。今横浜駅西口で試験的に125ccを超えるバイクを止められる駐輪場を設営しているそうですが、満足な検証結果が得られたとして、各駅付近にバイクを止められるようになるのは、いつごろになりますか?それまで125cc以上のバイクに乗っている人たちはどうすればよいのですか

●大阪の阿部野橋には自転車、バイク用の無人駐輪機があります。大型バイクも利用可です。前輪を入れて料金を投入すると一定時間ロックされます。場所は道路とビルの間の遊歩道スペースの真ん中です。一定以上の土地スペースがないので中型バイク駐輪場が作れない、という横浜市の対応と比べ、大阪市では柔軟な姿勢です。みんなお金を払って利用しています。横浜市にも導入を検討してください。

●駐輪場はたくさんあり増設にも積極的なようですが250cc以上のバイクの駐車に関しては何もないように思えます。唯一可能性のある北幸の駐輪場は12台分とのことでそれも125ccまでだとのこと(管理している人によって説明がばらばらですが)。川沿いにできた駐輪場は自転車3台しか駐まっていないにもかかわらず駐輪できず断られました。駐める気はあるのですが駐めるところがないため駐車し切符を切られる始末です。自転車、原付だけでなく違法駐車しているバイクも最近急増しているように思いますので駐輪場の制限を撤廃していただけないでしょうか。

●元町中華街駅駐輪場に125cc超バイクを駐輪できるようにしてください。125cc未満に限定する理由を教えてください。最近は250ccと遜色のない大きさのものも出てきています。250ccバイクが同駐輪場を利用できないために、駅付近に路上駐輪されているケースがあり、歩道利用者の歩行の妨げになり事故が発生する可能性が否定できません

スクーターで駐禁の切符を切られました。周辺を探したところ定期利用の駐輪場しか見あたらず路上に停めた為です。勿論罰金は払いますが、納得がいきません。東口交番の方に聞いたところ、やはり横浜駅東口には定期利用のみの駐輪場しかないとのこと。西口の駐輪場は駅から遠く、私も西口を利用する際は一時利用しますが満杯になっていることもしばしばです。利便性がよいとはとても言えません。6月からの民間委託で発見次第即駐禁になるのでは、余計に「取り締まりをするならまず駐輪場等の環境整備を先にするべきではないか」との思いを抱かざるを得ません。早急な対処をお願い致します。

●月極ではなく、バイクの一時置きができる有料駐輪場を設置して欲しい。

以上のような市民ライダーの叫び嘆き諦め、声に対して、回答はこんな感じ。

●市営自転車駐車場は「横浜市自転車等の放置防止に関する条例」に基づき、主に通勤・通学等により駅までの移動手段として使用される自転車とバイク(125cc以下)を対象として自転車駐車場を整備している。

●駅周辺での自転車・原付バイクの利用が多い中で、ご要望の自転車駐車場の中に大型バイクを置けるようにするのは、現状では困難。

●横浜駅西口第六自転車駐車場の隣に自動二輪車駐車場を実験的に整備し運営を開始。

●今後も、積極的に放置自転車対策を実施していくので、ご理解とご協力を。

●125ccを超える自動二輪車駐車場については、四輪用駐車場と同様に民間による整備を中心に考えている。

●横浜駅周辺は民間駐車場オーナーの皆様の意向を確認しながら自動二輪車の受け入れ等をお願いしている。

ちなみに、横浜市はほとんどが多摩丘陵に位置していて、山坂がほんとうに多い。自転車は役に立たず、自転車駐輪場とは名ばかりの原付駐輪場と化しているところもあり、他の市町村よりバイクの利用者が多い土地柄だ。

現在の市長はサカナくん≒cocco≒中田市長で、日産本社招致やTV番組を持つなど、民間活力重視のヒト。
今回の条例改正は、条例改正施行後に建てる施設が適用対象となるといい、現在、完成間近で2007年3月開業予定の大型商業施設・ららぽーと横浜には適用されない可能性が高い。

東横インの障害者駐車場事件では市長が厳格な対応を取ったことで、迅速に対策が進んだ。
二輪駐車場義務化と合わせて既存の商業施設や業務ビルにも積極的な駐輪場開発を指示しなければ、違法(と言われるのも癪だが)駐輪問題はなくならないだろう。

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2006.10.16

球形ロータリーエンジン?

国際モーターサイクルショーに行くとたいてい“トンデモバイク”に出会える。

今回、2番目に驚いた、というか何の意味があるのか?と思ったのは、中国メーカーの世界初『LPG&ガソリンのハイブリッド』スクーター。


もっとも驚いたのがコレ。

『SUPERBALLMOTOR』。

Superballmotr

球体ロータリーエンジンとでも言おうか。
ブースではモデルエンジンが電気でくるくる回っていて、中国人エンジニアが興味深く見ていました。

PERAVESというスイスの会社が発明(?)したもので、サイトに行くとエンジンの仕組みの動画を見ることができます。実際に積んで走った、という写真もあるけど、このエンジンにどれほどの実用性とメリットがあるのか……。

全国の当ブログをご覧の世界の精鋭技術者の皆さん、ゆっきー(サル)でもわかる解説をひとつよろしくお願いいたします。

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2006.10.11

ケルンメッセ広過ぎ

今日はケルンショーのプレスデーでした。
それにしてもミラノに負けず劣らず広過ぎ。まだ10分の1も見れてません。
今年は日本のプレスの方々が多いような気がします。

目玉と言えば…。
それは帰国してからまた。

全体にわりとオーソドックスな感じがします。

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2006.10.10

ケルン着きました

目の前がケルンメッセ。
行く前に宿が決まってるだなんてオトナになったな~しみじみ。
でもケルンメッセは巨大で、明日まず目指すプレスセンターへは歩いて約30分。。。

それにしてもドイツ人はみな親切でほんと助かります。涙ちょちょぎれちゃう。

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2006.10.09

アムステルダム経由ボン行き

アムステルダム経由ボン行き

デイトナ、デルタ縛りがあるので航空会社はスカイチームのKLMです。前回こうして空港で写真を撮ったこと思い出すとあれこれ思い出しちゃいますね

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ケルンINTERMOT に行ってきます

今日から土曜日までドイツの巨大バイクショーに行ってきます。報告はまた来週。

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2006.10.06

北海道に移住したカメラマン

9月に帯広・十勝地方で行なわれたWRCを観に行ったとき、偶然の再会があった。
初日、パウセカムイという林道を利用したSSに行ったときのこと。
シャトルバスで観戦場所に移動しバスを降りたそのとき……。

「ゆきちゃん? 久しぶりー」

背後から聞き覚えのある声が。
振り返ると、私が新米バイク雑誌編集者だった頃からよくお仕事をご一緒していた市川潔カメラマンが立っていた。

実は、北海道に向かうほんの一週間前、バイク屋さんで偶然鉢合わせになった徳永カメラマンからちょうど市川君のことを噂していたところだった。最近、東京で見かけないなぁ、と思っていたら、北海道に写真を撮りに行くため移住したのだとか。

もちろん市川君はでっかいレンズを着けたカメラを抱えていて、ラリーの取材で来ているとのことだった。
仕事の邪魔になってはいけないので、ほんの10分ほど立ち話をしただけだったが、元気そうでなによりだった。

ツーリング雑誌時代は、予算が少ないにも関わらず、よく一緒にツーリング取材に行ったっけなあ。
私がクラブマンに移籍したあともたびたび市川君に撮影をお願いした。
市川君はカメラの世界に入ったころ、どっかのレーシングチームに同行しては「走り」の写真の腕を磨いていた、と聞く。
その成果は、スリーブを見ても明らかだった。例えば36枚撮りのフィルムでサーキット走行を撮った場合、素人なら1~2割、撮り慣れているカメラマンでも7~8割使える写真があればいい方だが、市川君の場合、36枚全部“当たっている”ことが多かった。
こんな風に書くと、機械的にカチカチとした写真ばかりのように思われるかもしれないが、私がよく市川君を指名していた理由の一つは、彼の撮る写真の「柔らかいタッチ」が好きだったからだ。
それと、彼は自分でも「鉄っちゃん」だと言っていたが、仕事以外に「作品」を撮ろうとするそういう写真に対する姿勢が好きだった。

そんなわけで、帰浜してからコッソリ名刺に書いてあったアドレスを開いてみると、そこには彼の人柄がにじみ出るホームページが広がった。

K'S FACTORY

そこには、バイクやクルマの写真はもちろん、鉄道の写真がいくつも公開されている。
中でもお気に入りは、

全校生徒7人の小さな小学校がある「太陽」という北海道の集落に神奈川から単身移り住み、写真を撮り始めたオイラの写真日記です。

と紹介されている「太陽日記」だ。
そこには田舎暮らしのあれこれが日々綴られ、毎日のように素晴しい、素晴しい、なんて陳腐なひと言で言うのもなんだが、心打つ写真が添付されている。

このごろは、ちょっとしたココロのオアシスとなっていて、毎日のように癒されてます。

人当たり優しく、芯はしっかり。ちょっとタレ目でとっても優しそうな甘過ぎるマスクなのに、なぜか市川君、独身なんだそうだ。こんないい男、なかなかいないと思うけどなー。なんつって。

市川君、これからも楽しみにしてます。

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2006.10.05

地球温暖化でバイクブームが来る?!

先日、国際的にご活躍されているビジネスマンさんとの会食があり、バイク話に花が咲きました。
右へ左へとローリングする話題の中で、もしや、と思ったネタ。

「北海道行ったら9月なのにツーリングライダーいっぱいいたよ」
「寒くなかった?」
「いや、記録的に暑かった。釧路はこの夏最高くらい25度くらいあった」
「やっぱ地球温暖化かな」
「東北とか雪国でもバイク乗る人増えてるんだって」
「温暖化で乗れる時期が伸びてきたからねー」
「じゃ需要喚起は東北・北海道?」
「いや、甘いでしょ、これからはロシアでしょう、ロシア」
「マーケットでかっ!」
「日本のメーカーも中国・東南アジアマーケットがバイクからクルマに移行しても、ロシアとかモンゴルがあるから、まだまだ安泰だね」
「地球温暖化でバイクブーム?!」
「冷房温度は23度に設定して冬でもバイクに乗れる?!」

続きはミクシで。

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2006.10.04

三宅島TTについて週刊新潮でコメントしました

Shukanshincyo

今発売されている週刊新潮(2006年10月12日号)の136ページ TEMPOタウンのコーナーの記事『話だけが疾走する三宅島周回「バイクレース」』の記事にコメントしました。

ちょっとだけ誤解を受けそうな表現があったので、追補。

「マン島の予算は70億円ともいわれています」(週刊新潮に掲載された私のコメント)

さまざまな経済効果を試算するとだいたい60億円から80億円くらいなので、「予算」というよりは「経済効果」でありました。
行政側の予算、に誤解されそうな表現でした。すいません。訂正します。

ちなみに、マン島政府観光省がTTウィークに支出した額は、2004年は181万5259ポンド(1ポンド=200円として、約3億6300万円)だそうです。

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