【岡国】モトルネ・ストカフェ、存続の危機に
長年、レースエントリーのDMを送り続けてくれているのは、もはやモトルネことモト・ルネッサンスとストカフェ(またはスカトロ)ことストリートカフェトロフィーだけとなった。いつの間にやら、筑波の草レース系のDMは送られなくなったし、鈴鹿のレースのエントリー用紙は自分で請求するかインターネットでダウンロードすることになった。
さて。
TI改め岡国こと岡山国際サーキットで開催されているモトルネ&ストカフェのダイレクトメールが来たのだが、開けてびっくり。
「重要なお知らせ」として10月のストカフェ、11月の秋のモトルネの開催調整についてと、来年以降の中止がほぼ決定について書かれていたのだ。
以下、お知らせから引用。
昨年より株式会社岡山国際サーキットと共同主宰にて開催して参りましたモト・ルネッサンスとストリート・カフェ・トロフィーですが、再三イベント開催における調整を行なって参りましたが、サーキット側との折り合いが付かず、現状岡山国際サーキットでは来年以降、開催しない予定となりました。毎回楽しみにして頂いておりますご参加者、ご来場者の皆様には大変申し訳なく存じます。 また、本年度の「ストリートカフェトロフィーRd2」及び「秋のモトルネッサンス」に関しても、現状はサーキットと協議中で御座いますので、決まり次第皆様にご案内致します。 なお、別途皆様との意見交換の場を設けたいと存じております。つきましては、個別のお電話、メール等お問い合わせにはお答え致しかねますのでご了承下さい。
存続の危機と言えば、筑波サーキットで行なわれている草レース、バトル・オブ・ザ・ツインやテイスト・オブ・フリーランス、ビンテージバイクイベントのタイムトンネル(昨年はFISCOで開催)も同様の状況にある。
また、鈴鹿サーキットで行なわれていた草レース、ルーツ・ザ・レースは開催終了してしまった。
そうした中、昨年秋にはモトルネッサンスin筑波サーキットの開催を見越した走行会もあって、次の展開を期待していたところだった。(過去記事「モトルネの関東開催に期待すること」参照)
背景には、これらの草レースは収益を上げることが必要なイベント会社が主催していること、そしてサーキットの貸し切り料金が莫大なことが上げられる。
選手権レースだけでなく草レースが下火傾向にあったこの10年では、例えば筑波サーキットのツーリスト・トロフィーや、鈴鹿サーキットのFun&Runなど、サーキット主催の草レースも増えてきた。“もてロー”と愛称を付けたツインリンクもてぎの地方選手権も草レース要素を絡めたクラスを交えての開催としているから、サーキット主催の草レースと言ってもよいだろう。
サーキット側が主催することで、前述の「莫大な貸し切り料金」問題は回避することができる。
また、レースを開催することで、ライセンス料が発生したり、レースに挑戦するライダーたちが練習走行に来たりするので、副次的にサーキットの活性化が促せるというわけだ。
つまり、文化的事業と言っても過言ではない。
さて、これまでその文化的事業を担ってきたイベント会社主催の各地の草レースだが、ここにきて、関西でも関東でも存続の危機に直面している。
しかし、もはやバイク界は草レース黎明期ではない。そろそろ成熟したモータースポーツ文化なのだということを当事者が認識してもいいのではないかと思う。
モータースポーツ文化先進圏のヨーロッパやアメリカではどうか。
例えばデイトナのビンテージレースで有名なAHRMA(アーマ、と発音する)は、エントリーするライダーたち(往年の名ライダーなども多数参加している)から運営存続のための寄附を募っている。その寄附金額は公表される仕組みになっていて、より多く寄附したライダーはリスペクトされるというわけだ。
また、マン島TTでは、TTRA TTライダーズアソシエーションという協会があって、TTを走ったライダーで組織し、その会費は開催中のTTのために寄附されたりしている。寄附行為はTTではたいへん盛んで、TTMA (TTマーシャルズアソシエーション)という日本語で言うところのフラッグオフィシャルの協会などがエマージェンシーヘリコプターファンド(救急ヘリ基金)の募金をしていたり、開催そのものが多数のボランティアから成り立っている。
ところで、サーキットでの肝心のレースイベントが飽和状態だというのに、本格サーキットは続々と誕生しようとしている。那須モータースポーツランドがレッドバロンによって復活することになったり、千葉県や愛知県に建設中のサーキットもある。FISCOが新装開店したり、鈴鹿ツインサーキットがオープンしたり。
どこの新しいサーキットも、一刻も早くレースイベントでライセンスホルダーの囲い込みをしたいのは山々だろうが、実績の積み重ねがある既存のレースイベントもまた一日の長があるのは確か。
利益集団であるイベント会社主催のレースイベントだからお金の問題、会社経営の問題、参加者には関係ない、で済まされるときなのだろうか。
われわれ当事者(参加者、ライダー、応援者、スポンサー、オフィシャルなどなど)ができることとはなにか。
サーキット走行人気が復活の兆しが見える今こそ、考えるべきときなのかもしれない。
走る場を失って困るのは、言うまでもなくわれわれライダーだ。
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コメント
ご存知かも知れませんが,筑波と富士で開催されているMAX-10という草レース(というより主催者に言わせれば走行会)を1度取材してみませんか?
これ,大層盛り上がっています。
私もレース(スプリント)初参加なのですが,この8月からデビューしようかと思ってます。
衰退する過去の権威に対して,何か違うところ,何かヒントになるところが見つかるんじゃないかと思いますが…。
投稿: nozzzy | 2006.06.28 14:36