ついに逮捕者~バイク駐車問題のエントリーに絡んで。
私が通っている大学は自動車・オートバイ等の通学を禁止している。以下、大学のサイトから。“学生生活ハンドブック”という立派な学生手帳にも明記されている。
自動車・オートバイ・自転車による通学は原則として禁止です。キャンパス周辺における違法な駐車・駐輪は近隣および通行人の方々に迷惑となるばかりでなく危険を伴います。自動車・オートバイ・自転車での通学はやめましょう。
うちの大学は都心の住宅街にあり、地下鉄やバスなど公共交通機関も発達しているため、一見、やむを得ないようにも思える。
だがしかし。バイク通学そのものと、違法な駐車・駐輪を禁止することとは分けて考えなければいけないと思う。
最近、当ブログ姉妹ブログのバイクゼミナールBlog版で交通にまつわるいろいろな考え方を書き殴っているのだけど、書いているうちに、移動には3つの要素が伴うということがわかってきた。
すなわち、
A:(人の)居住地、ないし(乗り物の)保管地。
B:(人、または乗り物による)AからC地点の移動
C:(人の)目的地、ないし(乗り物の)一時的留め置き場(駐車場、駐輪場)
移動には、A-B-Cの場合もあるし、C-B-Cの場合もあるが、物体的移動だけを移動と捉えるのは社会学的には論点がずれてくるかも。物理学的には正しいかもしれないが。
うちの大学がいう「自動車・バイク等通学禁止」という文言は、まるでBの、AからC地点への移動そのものも禁止しているかのように読める。実際には、Cの一時的留め置きを違法にするな、迷惑にするな、ということなのだが。
四輪車の場合、大学のすぐ前には四輪用のコインパーキングが3つほどあるし、白山通り沿いには道路上に時間駐車することができる。
合法的に駐車できる場合までクルマ通学そのものを禁止してよいものかどうか。
バイク・自転車の場合は深刻だ。大学側は立派な地下駐輪場を用意してくれているが、4月にバイクの場合は車検証や自賠責保険証、免許証のコピーと共に申請をし、理由が認められた場合に抽選で許可が出される。
うちの大学の場合、セメスター制度があって、10月に入学する人もいるし、多くの大学1年生は夏休みにバイトして免許を取ってそれからバイクを購入するだろう。車検証や免許証が申請の条件となれば、後期からバイク通学したい学生は申請することすらできず、必然的に路上駐車ないし歩道駐車するしかない。
じゃあ、合法的にバイクを停めるところがあるかと言うと、文京区には一つもない。後楽園にバイク駐輪場があるにはあるが、後楽園や区役所を利用する人向けの施設だ。また、池袋駅地下に駐輪場があるが、そこからバスで大学前まで通うとなると、30分以上のロスとなる。現実的ではない。
つまり、大学がバイク通学を禁止すると、禁止しているはずの違法・迷惑駐車を自ら生み出してしまう、という矛盾。
大学側は迷惑駐車を無くそうと、数名の警備員を近隣に配置している。そのような予算はあるのに、年2回の申請受付を行なわないというのは、単に学生部が仕事を減らしたいだけなんじゃないだろうか。
とはいえ、実際には、二十歳そこそこの学生というのは想像以上にガキで、そこらにタバコやゴミや唾をポイポイ捨てるし、理由もなくエレベーターを使うし、大声で狭い路地を闊歩したりして、学生という存在そのものが迷惑となっているのは事実だ。警備員は、このような名前を書いただけで大学生になったようなガキンチョを規制するためにも配備されている。
さて。
私の場合、自宅が駅から遠く、講義が終わる9時20分に大学を出ると、終バスには間に合わない。歩いて20分のところに地下鉄駅があって利用することもできるが、殺人事件が数件起きたりしていて、防犯上、夜間に駅から歩きたくはない。また、通学時間は電車の場合1時間30分ほど、バイクの場合は45分ほど。およそ半分に短縮される。
このように、居住地の立地条件によってやむを得ず自動車・バイク通学を選択せざるを得ない学生はいるんじゃないだろうか。
また、うちの大学は古くから二部があり、最近は社会人向けの夜間開講大学院も充実させている。働きながら学べる大学、を売りにするならば、せめてバイク・自転車通学は「禁止」ではなく言い方として「許可制」とでもしておいた方がいいんじゃないだろうか。実際、バイク便や新聞配達を職業としている学生もいるのだし。
それと、うちの大学は障がい者も積極的に受け入れている。というか、分け隔てなく入学試験を行なっているため、目が不自由な学生、耳が不自由な学生がたくさんいる。また、障がい者に対してノートテイクや手話通訳のボランティアも昔から盛んに行なわれている。
自動車・バイク通学を「禁止」という言葉ではなく、「許可制」とすれば、ちょっと足が不自由だけどスクーターなら通える、とか、近隣に駐車場を借りればクルマで通学できる、と思う障がいをお持ちの方は入学意欲が沸くんではないだろうか。
最後に。自家用車通学や通勤を禁止する理由は、危機管理以外にあってはならないと私は思っている。いわゆる、「モビリティ」の観点だ。モビリティとはすなわち、「移動しやすい社会」のことである。個人交通はもはやエゴでも贅沢でもない。憲法で認められた当然の権利だし、場合によっては、個人交通はすでに公共性を帯びている。
業務の滞りを管理するため、航空会社はパイロットをタクシーやハイヤーで空港まで送迎するのが慣習となっている。公共機関に遅れが生じたり、個人交通を使うことで事故に遭ったりすることを防ぐ目的だ。タクシー会社というワンクッションを置くことで危機管理をしているのである。それでも、先日、神戸空港で遅延が生じたけど、あれは二重三重に回避策を取らなかった会社がワルい。
話は逸れたが、市街地でバイクの駐車場が社会システム上ないことが原因で社会問題化しているのは明確なのだから、法律を変えるのは当たり前だ。
駐車違反の取り締まり方法が変わるのは6月で、バイク駐車に関する駐車場法が改正されるのは秋以降。約半年のズレがあって釈然としないが、ライダーの皆さまにおかれましては、駐車場所に関する努力をしているんだ、という姿勢を世論に見せていって欲しいと思う。