すでに報じられているように、昨日2006年3月23日に国土交通省道路局有料道路課から、「二輪車ETCの試行運用状況と当面の措置について」と題したプレスリリースが発表された。
表題は「当面の措置」となっているが、事実上、二輪車ETC本格運用の公式発表である。(太字は原文ママ)
二輪車ETCの試行運用状況と当面の措置について
平成18年3月23日 <問い合わせ先>道路局有料道路課 (連絡先省略)
国土交通省及び東日本高速道路株式会社等の各高速道路会社は、二輪車ETCの実用化に向け、平成17年4月より首都圏で、平成18年2月より近畿圏、中部圏において、モニターによる試行運用を連携して実施しています。
モニターへのアンケート結果を見ると、二輪車ETCの必要性が高いと回答している方が多数を占めています。
現在、一般モニターの拡大に努めているところであり、今後は運用状況について評価・分析を行い、安全性や通信機器の動作等に問題が無いことを確認した上で関係機関等との協議を進め、二輪車用ETC車載器の市販化にあわせて本年秋には二輪車ETCを本格的に導入する予定です。
なお、本格導入までの当面の間は、各高速道路会社において二輪車の方に対しETCカードのみで料金割引を実施することになりましたので、併せてご案内します。
“二輪車ETC本格導入”というハッキリした発表ではなく“当面の措置”というややボカした後ろ向きの態度を採っているのは、ここまで発表してもなお、未だ本格実施にあたって不明確な部分が多いからだろう。
公式発表から読み取れる不明確な点は以下の部分。
(1)二輪車用ETC車載器の市販化は、いつ・どのメーカーが・どのような機器で(どのような大きさか、アンテナ別体か一体か、本体取り外し可能か否か)・価格は・助成は……というような点がまだ判明していない。
(2)『本年秋』はいつを指すのか。これまで、三度四度と発表がなし崩し的に引き延ばされている。9月なのか、10月なのか、11月なのか。ハッキリしなまま、再び来年以降に引き延ばされる可能性はないのか。
(3)「二輪車の方に対しETCカードのみで料金割引を実施」とあるが、どのような内容の割引策が実施されるのか。二輪車ETC本格実施後のETCカードだけによる二輪車割引はあるのか、ないのか。この割引策に、長年に渡る二輪車ETC八分による不利益の分を還元するだけのお詫び料的な打開策が含まれるのか(例えば、二輪車料金設定など)、否か。
また、モニター試験から懸念されることもいくつかある。
(4)本格運用となっても、一般/ETCの兼用レーンを通らなくてはいけないのか。すでに、兼用レーンへの恒常的な誘導看板が設置されているところを見ると、二輪はノンストップETC運用ができない懸念がある。
(5)二輪車ETCは全国どこでも使えるようになるのか。例えば、スマートICは現状、二輪車は通れないことになっている。理由は、発進制御棒が短棒になっていない、などが挙げられる。また、発進制御棒の短棒化が進まなくとも二輪車はETCを使えるようになるのか。
(6)もし二輪車ETC本格導入が全国一斉に始まらないとすれば、二輪車ETCが使えない出入り口はどのような対応となるのか。(通行の可否、割引策など)
今回の二輪車ETC本格導入のグーグル・ニュース検索結果はこちら。
日経新聞の報道によれば、
運用開始に先駆けて、東日本高速道路など各高速道路会社は、ETCカードを利用する二輪車への料金割引サービスを開始する。システム自体はまだ利用できないが、料金所でETCカードで支払う場合、通行料金の割引が受けられる。割引率などは各社で異なる。
東日本高速道路株式会社などではさっそくプレスリリースで「ETCマイレージサービスの二輪車登録の受付を開始」を発表。
二輪車用ETC車載器が市販化されるまでの間、二輪車をお持ちのお客様に限り、ETC車載器なしでのお申込みを受け付けます。
とのこと。そんなに難しいことじゃなかったじゃんか。
また、キャンペーン中につき、
ETCマイレージサービスの二輪車登録を行っていただいたお客様に、もれなく600ポイントを差し上げます。
※ 600ポイントは、直ちに交換すると2500円分の無料通行分になりますが、さらに400ポイント貯めると、合計1000ポイントを8000円分の無料通行分と交換できます。
なんだそうだ。キャンペーンのリンク先のアドレスがpresentとなっているところを見ると、どうやらこの600ポイント=2500円分が、われわれライダーへのお詫び料のようである。
しかし、ETC機器搭載車によるETCブース通行で受けられる深夜・早朝夜間・通勤割引(30%~50%割引)に関しての記述が今回のプレス発表では見つからない。
首都高と阪神高速に関しては、河北新報社などで、
首都と阪神は4月1日から曜日別、時間帯別で割引を導入する。
と発表された。これなら現状、ETC車載機器でETCレーン通行で受けられる割引策と同等である。
遅きに失した感があるとは言え、二輪車ETC本格実施まで半歩前進したのは評価したい。
これらの二輪車ETCに関する発表を見る限り、まだまだ関係者筋は試行錯誤している様子。意見やらアイディアなどあったら今のうちに当局にご進言申し上げてみてはいかがだろうか。