二輪ETC実用化の見通し
さて、高速道路割引案が11月に実現しかし二輪は恩恵を受けられないという現状をふまえ、二輪用ETCシステムはどうなってしまうのか。
今わかっている情報をまとめてみる。
まずは、国土交通省の報道発表から。
高速自動車国道に係る料金認可について ~本日、日本道路公団に対し、認可しました~平成16年9月24日
<問い合わせ先>道路局高速国道課(内線37722)TEL:03-5253-8111(代表)
高速自動車国道の料金割引については、道路関係四公団の民営化に関する政府・与党申し合わせに掲げた「平均1割程度の引き下げ」の実現に向けて、パブリックコメントの実施により国民の皆様からご意見をいただいた上で、9月16日に開催された「今後の有料道路のあり方研究会」において具体的内容を含む考え方がまとめられ、日本道路公団から具体的な高速自動車国道の料金変更申請があったところですが、本日、申請どおり認可しましたのでお知らせします。
一部の割引については11月から実施することとされており、その他のメニューも順次実施して来春には全てのメニューをそろえることとしています。(参考)料金割引の基本的内容
(1)平均1割引に加え、別納割引(約2,200億円)の廃止、ETC前納割引等(約600億円)の移行を踏まえた新たな割引を実施
(2)高速道路の利用促進や有効活用を図る観点から、機械的な一律の割引でなく、弾力的で大胆な割引を実施
(3)割引対象はETC車
(4)料金割引の種類
1)深夜割引
深夜の料金割引(30%)を実施し、高速自動車国道の夜間利用を促進
2)早朝夜間割引
大都市近郊区間の早朝深夜の料金割引(50%)を実施し、高速自動車国道の昼夜バランスを適正化
3)通勤割引
通勤時間帯の料金割引(大都市近郊区間外を50%)を実施し、高速自動車国道を有効活用
4)大口・多頻度割引
大口、多頻度利用者に対し、利用実績に応じて割引
5)マイレージ割引
一般利用者に対し、利用頻度に応じてポイントを還元する方式により割引
(5)新たな割引制度は、車種や地域の利用実態に即した割引を実現
国土交通省側では、まったく二輪ETC問題に触れていない。
それでは道路公団はどうだろう。
プレスリリースによれば、別添資料として
・高速自動車国道にかかる料金認可申請案(概要)
・ETCによる料金割引の実施に向けた必要措置
・総裁コメント
この3つがPDFで公開されており、特に2番目の「必要措置」の項目でバイクユーザーに深く関わることについて言及している。
ETCをご利用できない必要措置今回の料金割引案は、ETC車を対象とした内容となっております。このため、国を挙げての緊急の施策として、ETCの普及促進に取り組まなければなりませんが、国におかれましても、ETCの普及を全力で推進いただきますとともに、ETCをご利用できないお客様への対応等ETCの普及に関する諸課題の解決に向けた関係機関の連携強化にご尽力いただくことを期待しております。
JHだけではどうにもできないことを吐露されてらっしゃるようだ。
1.JHによるETCカードの発行クレジットカードをご利用いただけないお客様にもETCをご利用いただけるようJH発行のETCカードを遅くとも民営化までには発行できるよう検討します。具体的には、一定額の保証金を事前にお支払いいただいたうえでご通行いただいた料金をお客様の銀行口座から引き落とすなどの保証金(デポジット)方式を検討します。なお、当面JHによるETCカードの発行がなされるまでの間は、回数券、ハイウェイカードの取扱いを継続します。
おっとっとっと、大事なことがたくさん含まれている。
ETCカードを「遅くとも民営化までには」発行する、とは、「2005年10月1日をメド」(ソース:日経新聞社)のことらしい。
来年10月1日までの約1年間、待っててよ、と。
2.二輪車のお客様への対応現在、学識経験者、国、関係公団、関係団体からなるETC普及活用検討委員会において検討を進めていただいておりますが、今後、早急に対応方針を固めていただくとともに、来春までには基本方針が示されることを期待します。なお、導入までに時間を要する場合には、遅くとも民営化までには、JHによるETCカードを用いて、マイレージの割引が適用できるよう対応を進めます。
なんだか歯切れが悪い。
「今後」「早急に」「来春までには」「遅くとも民営化までには(2005年10月1日)」。
2004年半ばをメドだったはずなのに、これから考えるのか。
んでもって、2005年3月ごろまでなのか、それとも2005年10月1日までなのか、目安さえつかない。
なのに、2004年11月から始まるETC割引は全てバイクユーザーは置いてけぼり。
そんなところに、国土交通省からやや前向きな情報が届いた。
ETCを活用した割引を実施しているところであり、二輪車へETCの早期導入を図る必要があると認識しております。 (~中略~) (1)現行ETC活用方式については、 ・開閉バー接触等安全面への対応が必要 ・車載器の防水、防塵、振動面での対策が必要 (2)非接触ICカード方式(タッチ・アンド・ゴー方式)については、 ・料金所での一旦停止が必要 ・都市高速道路において出口のチェックが不可能 等の課題が指摘され、二つの方式についてさらに検討が必要とされております。これを踏まえ、国及び道路関係四公団においては、現行ETCを活用した二輪車ETC車載器の可能性について検討を行っております。
四輪用車載器の技術を転用する方向で二輪車特有の防水、防塵、振動面の対策を行い二輪用車載器の開発を行えば、市販価格は安価になるものと考えており、二輪及び車載器メーカーに意見を伺っているところです。
また、並行して、日本道路公団においては、開閉バーへ接触等に対する安全面での検討を行っているところです。
これらの検討を踏まえ、年内を目途にできるだけ早期に、二輪車ETCへの対応方針を示したいと考えているところです。
「現行ETC方式を活用し年内を目途にできるだけ早期に」という考え方も国土交通省にはあるらしい。
おや? ちょと待てよ。国土交通省は現行ETC方式、日本道路公団はデポジット方式と言っている。
その差は、案外、「駅員72人処分、15人は解雇 イコカ不正乗車でJR西」(ソース:朝日新聞) ココにあるのではないだろうか。
身内の不正が怖くて、イコカ・スイカ方式のデポジットカード導入に二の足を踏んでいるのではあるまいか。
そのとばっちりが二輪ユーザーに飛んでくるわけですが。
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コメント
二輪ETCの話、よく整理されており為になります。
ひとつあまり話題にならないが気になっている事が
あります。二輪のETCを推進、これはこれでいいと
思うのです。便利、渋滞解消には有効ですからね。
が、料金割引が適用できない件については
現状、車にETCをつけている人は前払いでのデポジット
がETCでも使えるのです。これができるのなら、車のETC
との関係を切り離し、バイク単独でも使えるようにすれば
いいのにと思うのですがね。もっと拡大して入り口通行券
を提示すれば二輪でもマイレージや各種割引などに対応
できるようにすればいいと思うのですがね。不可能そうに
思えないのですが、なぜこういう方向では話が進まない
のでしょうか?
投稿: HIDE | 2004.10.04 17:59
外国を例に出したくはないんですけど、北米の北東部
ではEZPassってのがありますよね。二輪でも全然問題
なく使用されてるんですが、なぜ日本では防水だのゲート
だの理由を付けてやろうとしないんですかねぇ。つーか
やる気ないだけなんでしょうけど・・。
http://www.ezpass.com">http://www.ezpass.com
投稿: けーえる | 2004.10.05 22:06
もう既にみなさんご存知なのかもしれませんが、先日バイクで横浜から浜松までツーリングに行った時に、東名高速の料金を既に四輪車で前払いで使用しているETCカードを出したところ、これで支払いが可能でした。帰宅してからETCのHPにて課金状態を確認したところ、きちんと車両タイプが5で前払いの5万8千円のほうから二輪料金が差し引かれていました。ですから、二輪でも、ノンストップの恩恵は受けられないけれども、料金割引は利用出来ると言うことですよね。ひょっとしたら、自動車でETCを付けてる人だけが利用出来るのかもしれませんが。。。
投稿: モンタ | 2004.12.28 11:24
モンタさん>
書き込みありがとうございます。
おっしゃる通り、自動車のETCカードを二輪車で使うためには、自動車でETC用機器を取り付けてセットアップ済みのETCカードしか他のクルマやバイクで使えないようです。
システム上、 現状はETCカードのみ発行して使用することはできない(機器購入とセットアップが必要)ようです。
投稿: 小林ゆき | 2004.12.28 11:33
よくよく読んで見たら、既にHIDEさんが情報を書き込んでくれていたのですね。すみませんでした。
先日、バイクで東名の青葉インターで降りてクルマのETCカードで支払いをした時に、なにやらはっきりとは聞き取れなかったのですが、料金所のおじさんがぶつぶつ言っていました。ひょっとしたら、登録した車両以外で使うなと言っていたかもしれません。クルマで前払いしたETCカードをバイクで使うと言うのは、本当はいけないことなのかもしれませんね?それとも正式にアナウンスされていてOKなのでしょうかね?
投稿: モンタ | 2005.01.04 11:47