G-FP2DF1P69Y 身体障がい者に福音、AT限定二輪免許: 小林ゆきBIKE.blog

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2004.04.15

身体障がい者に福音、AT限定二輪免許

バックナンバーでもお知らせした通り、警察庁は自動二輪のAT(オートマチック)限定免許の導入を予定し、道路交通法施行規則の改正試案をまとめた。
予定通り二輪のAT限定免許が導入されれば、

・教習時間の削減により、より免許取得が身近になる
・リターンライダー、女性ライダーなど取得しやすくなる
・スクーター特需によるバイク業界の活況化が見込まれる

などの利点が考えられるが、もっとも福音となるのが、身体障がい者の皆さんへの貴重な移動手段を、オートバイにも広げられるという点である。
クラッチ付き自動二輪で困っているのは、特に左腕、左手、左足の肢体不自由者。試験されなんとかなれば、クラッチレバーやシフトペダルに煩わされることなく、大型スクーターに乗れるのに、これまでAT限定免許が法的に整備されてこなかったことで、移動手段にクルマより気軽で、かつクルマより経済的なスクーターに乗りたくとも、たいへんな困難があったわけだ。どんな風に困難かは、このサイトに詳しい。
身体の不自由なライダーのオートバイの部屋

AT限定免許がこれまで存在しなかったわけではない。
指定教習所の教習や検定試験、あるいは運転免許試験場の試験車両は原則的に『貸出車両』である。つまり、持ち込み車両での教習や試験もOKなのである。これが一般的ではないのは、道交法による試験車両の規定の細則が実にめんどくさく、持ち込み車両を教習・試験用に改造しなければならないためである。詳しくはこのサイトを読んでみて欲しい。取得までの体験記が書かれている。
自動二輪免許奪還記録!身体障害者によるオートマチック限定自動二輪取得

教習所や試験場の車両を思い出して欲しい。ヘッドライトの周りにセンスの悪いライト類がゴテゴテと付いていたでしょ。あれは、シフトタイミングや速度を表示するライトで、法律で決められているのである。
これらの規定をクリアした車両を用意し持ち込めば、試験場で『貸出車両料』を取られることはない。
ちなみに、神奈川県運転免許試験場の『車両使用料』は普通二輪・大型二輪ともに1回 1100円。

しかし、持ち込み車両による教習や試験はあくまで“特例”だったため、面倒を嫌う教習所や試験場は門前払いするところが多かったのではないだろうか。
ちなみに、東京・神奈川・埼玉に4校を持つコヤマドライビングスクールは、肢体不自由者だけでなく、聴覚障害者、視覚障害者(視野が狭いなど)、外国人など、さまざまなハンディキャップを持つ人たちを、積極的に受け入れている。お近くの方で免許取得で困っている方は、一度相談されてみてはいかがだろうか。

というわけでトラックバックしていただいたhanaqさん、

いくら教習内容をATに特化したところで、事故率なんぞ変わらないとhanaqは思う。
ましてや教習時間が減るとは何事か!危険をばら撒く者を安易に公道に出さないでくれ。

お気持ちはわからないでもない。私も事故率が減るとは思っていない。むしろ、相対的にAT限定免許のAT車が増えれば、自ずと事故も増えるだろう。
教習時間については、クラッチ操作の部分が省略されるだけなので、危険をばらまくかどうかはわからないのだけれど。クルマで言えば、普通四輪にAT限定免許が導入されてから、あるいは、教習時限が大幅に増えて以降、死亡事故は減ったが、事故件数は増え続けている。一体、何が事故死者や事故件数に因果しているのかさっぱりわからない、というのがジャーナリストとしての実感だ。

しかし、たいせつなのは「選択肢が増える」ということだと思う。AT限定免許が導入されることによって、身体障がい者の方々がよりアクティブになれればなあ、と切に願う。


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コメント

もし自身が免許を取得したいのに身体的事情で諦めざるを得ない状況だったと考えてみると、今回の改定は非常に明るい話だと思います。結局、公道に出てからには個々の資質による所が大きいのでしょう。当たり前ですが。
ばらまく云々に関しては、乗り手の傾向に対する個人的主観です。浅はかな感情論にわざわざコメントまでいただき恐縮です。

投稿: hanaq | 2004.04.16 03:55

hanaqさま、コメントありがとうございました。
今後ともよろしくお願いします。

>個人的主観

個人的感情論こそ、交通問題には大切なことだと私は考えています。
今、社会学を学び直しているのですが、「質的調査」「量的調査」という主な調査方法があります。
主観とか感情論とは少し違うかもしれませんが、質的調査は具体的な事象を参与観察(傍らで眺める)するとか、個々にインタビューをして(アンケートではない)それを分析していくというものです。
運転するということは主観的、感情的な部分が大きく関係してくることですから、hanaqさんの感じている部分というのはたいへん参考になりました。というか、本音を申せば私の意見も同じです。

投稿: YUKKY | 2004.04.17 16:04

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