マン島は英領、英国領ではありません。
マスコミにそう報道されるたびに指摘してはみるものの、なかなか認識が改まらないのは、日本人の概念にクラウン・ディペンデンシーがないからだと思われれます。
それでも堂々と客を募っているのは、このサイトの運営会社が英領マン島にあるからだ。グレート・ブリテン島とアイルランド島の間に浮かぶこの島では、オンラインギャンブルは合法で、世界中のサイトが拠点を置いている。
(2008年11月7日 読売新聞)
マン島は「英領」ではありません。
二酸化炭素を排出しない電気や水素を燃料とする二輪車レースが来年6月12日に英領マン島で開催される。
(2008年11月20日 時事通信)
マン島は「英領」ではありません。
ただし、当初は英国領マン島にならった「国内初の公道レース」の看板を掲げ、運営費も3億円と、離島で行うイベントとしては突出していため、開催まで曲折を重ねた。
(2008年11月5日 J-CASTニュース)
マン島は「英国領」ではありません。
では、マン島とは政治的にはどんな島(国)なのか。
マン島政府は以下のように説明しています。
The Isle of Man is situated in the heart of the British Isles. The country is an internally self-governing dependent territory of the British Crown. It is not part of the United Kingdom.
マン島は、イギリス諸島の中心にあります。この国は、英王室に属する一つの自治領です。、イギリス連合王国の一部でありません。
私はマン島のことを政治的に説明する場合に、「英王室属独立自治地域マン島」と表現することにしているけれど、「英王室」「英国」「属」「自治」「領」などの言葉がまた日本人にとっては馴染みがないのでややこしい。
まず、「英王室」はRoyalとかCrownなどで表されるけれども、「英王室≠英国」であります。英王室は英国ではない。「英国王室」という表現は果たして正しいのでしょうか。
次に「英国」。
「英国」の日本語訳はいろいろあって、単なる「イギリス」と表現されることが多いけど、この「イギリス」の範囲がやっかいです。
国としての「イギリス」の正式名称は外務省によれば、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」です。
略称としては英国。英語の略称はUnited Kingdom の略なのでU.K.。
単に「連合王国」とか「イギリス連合王国」とか「英連合王国」とか言う場合もありますね。
地勢的には、大ブリテン島と北部アイルランド地域なので、日本人(時にイギリス人がEnglandと言う場合も)が単純に「イギリス」と言った場合、大ブリテン島の南側、とくにイングランド、ウェールズあたりを総称して「イギリス」と言っていることもあります。
この当たりは文脈と発言者の認識によるところが大きい。
次に、「領」とか「領土」とか「領地」とか「属」とか「属国」、「植民地」について。
日本語的な「領」は政治的に支配されている国または地域を指すことが多い。「属国」の場合、強い連合がある場合を指すことが多いように思います。「植民地」は完全なる支配下にある国、または地域を言います。
政治学的な領・属・植民地と、地勢学的な領・属・植民地の用語の使い方は異なるかもしれないけれど、マン島の場合は政治的に完全に連合王国とは分離されているので、どちらかと言えば「属」、しかし連合王国にではなく、英王室に属する、と表現するのが正しいと思います。
マン島の政治的形態は「クラウン・ディペンデンシー」の「セルフ・ガバニング」、すなわち「英王室属」「自治政府」です。
しかしながら、マン島の正式名称はIsle of Man、すなわち「マン島」です。
日本の正式名称が「日本国」であるように、そこに政治的な統治形式を示すもの。(例:中華人民共和国、とか)
は何もないのです。
というわけなので、マン島をどのように表現するかについて、「英領」「英国領」と表現するのは、政治的支配関係から言って完全に誤りです。
あえて、マン島がイギリスや英王室との関係が深いことを表したいのならば、
「英王室属独立自治地域(または独立自治国)マン島」
あるいは、地勢上の場所を示しつつ
「イギリス諸島にあるマン島」
「大ブリテン島とアイルランド島の中間にあるマン島」
などと表現するのがいいのではないでしょうか。
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