松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その2
新春特別企画としてお届けしてまいります、“走って喋れるモトジャーナリスト”松下ヨシナリさん。
昨日の「松下ヨシナリ・ロングインタビュー~その1」に続きまして、その2をお送りします。
* * * * * * *
甲子園常連校の強豪校でピッチャーとなるも、怪我で甲子園の土は踏めず。その経験が、大転倒による大怪我から長期のリハビリで怪我を克服、二度目のマン島TTチャレンジへの原動力となる──。
「初めて見るコーナーを予測して走るのが楽しかった──」、ツーリングで知ったライディングの奥深さ
──バイク暦はレーサーだけですか?
「いえ、ミニバイクレースをだらだらやってた24から26歳くらいのときに、やっと道路で乗るバイクを手に入れるんです。
(スズキ)グース350。ものスゴイ安物を手にいれて。
125で怪我してミニバイクに戻るくらいに、道路で乗るとまた違うよ、楽しいよ、ってレースしないツーリングライダーの友達に誘われて。
初めて伊豆に行ったんですよ。今でもよく覚えてます。楽しかったねー、ツーリングが。走りまくって。あっちも行って、こっちも行って。
道路のワインディングも、往復とかするとコース覚えちゃうじゃないですか。覚えちゃうと楽しくないんですよ。初めて入る、初めて見るコーナーを、景色とかガードレールの角度とか峠のリズムとかを予測して走るのが楽しかったんですよ。すべて予測が楽しいんですよ。
僕の中で絶対にはみ出さないっていうルールがあって。進入でも立ち上がりでもぜったいにはみださない。速い必要はないんですね。楽しければいい」
──それで、一気にツーリングライダーに?
「でもレースもしながらね。
たぶん、ちょっとレースがつまらなくなってきた頃だったんだと思います。
プロにもなれそうにないし、どうしようかなって。別に警備員やってれば生きてけるし。ちょっと腐った若者になっていったんだと思います。
そこに、ツーリングっていう新しいカテゴリーが入ってきて、バイク楽しいーっ! みたいな感じになったんですよ。
しかも、2000円とか3000円のボルトとか小さなパーツを換えるのさえ楽しかった。つまんないブレーキレバーをつけるとか、ちょっと変わっただけなのに、うーーん、カッコイイな、オレのグース。とか(笑)」
──アルバイト生活からグラフィックデザイナーへの転機は?
「当時、つきあっていた仲間が、パソコンでデザインして印刷物になる時代になるらしい、って言うんです。いわゆるDTPってやつ。マックの7500とかの時代。
で、その人は絵描きだったんですよ。パリとかで勉強して。その人が、オレ、デザインするしパソコン買うから、お前、事務所とパソコンを覚えるアクションをしなさいよ、と。一緒に事務所っぽいことやろうよって誘ってくれたんです。もう、ちょっとレーサーとか無理っぽいなって思ってたし。
絵に関しては、浮世絵やってたんで、絵自体を見るのは好きだったですけどね。バランスを見たりとかは好きだったですけどね。
で、自分を変えられるんじゃないかと思って。なんか、ぜんぜん違うことやりたかったんですよ、仕事になること。サラリーマンをやろうと思えばできるし、アルバイトを続けようと思ったらできる。でもなんか面白くないなって。でも、ゼロからまったく違うことも楽しいなって。まさにいいタイミングだったんですよ。
ちょうどDTPスクールってのが始まったくらいの時代で。でDTPスクールに入ったっすよ。そこで出会った先生がいい先生で。デザインとか印刷の流れとか、全般を教えてくれる先生で。
結局そこでDTPエキスパートっていう資格を取って。そしたら、その先生に、お前面白いから講師やれよ、って言われて、そこで先生もやったんですよ。
──そこで、“ベシャリ”も覚えた?
「しゃべりは、たぶん、秋が瀬(サーキット)で、本山哲くん(レーシングドライバー)のお母さんにちょっと手伝えって言われて手伝ったのが先ですね。
見よう見まねで千年屋さん(千年屋俊幸:元レースアナウンサー)のまねをしたり。そしたら、お前面白いね、みたいな話になって。
そんなのを、DTPのスクール通いながら、講師をしながら、人に教える、しゃべる、実況する、みたいなのを、そのとき自然に訓練されたんだと思います。
ちょうど、同じくらいのタイミングで、当時「モトチャンプ」の編集長さんが、DTPできるんだって、って言ってくれて、出版の世界にもちょっと入ってって。全部、その頃、辻褄が合ってって。27歳ですね。
で、同じタイミングで、当時はメーカーさんの試乗会がいっぱいあったから、鍛えるって意味で、じゃあ試乗会で乗って書いてみなよって。育ててくれたんですよ。乗ってみたら、なんだデカいのも乗れるじゃない、って。当時はモトチャンプも、排気量のでかいモデルの試乗会に行ってたから。
で、書いてみなよ、って。それでどんどん鍛えてくれたんですよ。DTPやって、ライターとしても鍛えさせてもらって、グースとか乗ってツーリングもしてて、そこそこ大柄なバイクも乗って、そういう意味では特殊能力はないけど器用ではあるんですよね。きっと。
突然、今年のボルドール24時間の舞台、マニクールサーキット行って、真ん中くらいのタイムは出ちゃいますから。そういう器用さはあるのかな、と。
そのうち、広告代理業みたいなことになってくるんですよ。
知り合いとかパーツメーカーの社長さんなんかに挨拶にいくと、広告代理店のやつがバイク知らないからいちいち説明しなきゃいけなくてめんどくさいんだよ、なんていう話をけっこう複数聞いていたんで、じゃオレ始めたんでオレやりますよ、って言ってたら話がどんどん入ってきて、事務所が立ち回るようになってきたんですよ」
──ここ10年くらいはホビーレースで活躍されてましたよね
「30歳過ぎて、それこそ、オートボーイさんで武田さんに「もて耐」に誘ってもらったんですよ。実は、あれが初めてのビッグバイクレーサー。2002年? 2003年かな? バイクは(スズキ)RG500ガンマ。あんとき、レベルが高くてさー。予選なんか通るわけないですよ(笑)」
その3に続く!!
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