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2011.08.22

競技|プレス|観客、マン島TTレースの場合

F1やインディで走っているドライバー、佐藤琢磨さんのファンの方ブログ、佐藤琢磨×F1 blogの2011年08月22日付けエントリー

トライアル観戦 『それを阻む一部メディアの“壁”』

で、ツインリンクもてぎで行われたトライアル世界選手権の日本人(?)メディア(一部)たちの状況を嘆いておられます。一部を引用しますと──。

観戦している観客の前に平然と立ち、観戦の妨げに。

(中略)

手前に座っているのが実況の方、そしてカメラさえ構えず、
無意味に立っているのがメディア。

(中略)

仕事だからと視界を急に阻まれるのは納得に値しません。

自由に動き回れるメディアと制限がある観客。
観客は一度決めた場所から その場所を離れる時意外は動けません。
なぜなら観客同士が詰めあって観ている為、横に動くスペースは無いのです。

このような状況は、例えば鈴鹿8耐の表彰式でも問題になったことがたびたびありました。

デイトナ200の場合、表彰式が行われるウイナーズサークルは非常に神聖な場所のようにしてあって、メディアでもごく限られた人数の許可された人しか入ることができません。
うまく導線で選手とプレスと観客との壁をコントロールしているな、さすがエンターテイメントの国だな、と感じました。

メディアの撮影場所・マン島TTレースの場合

ところで、モータースポーツ文化では一日の長があるマン島TTレースではどのようになっているのでしょうか。

観客と競技の物理的距離が近い、観客は(わりと)自由にどこでも観戦できる、という意味では、TTはトライアルの観戦スタイルに近いものがあります。

もちろん、コーナーのアウト側など観客が入れないエリアもあって、事前に告知されているほか、現場には看板や規制線が引かれ、現場のマーシャル(日本で言うところのコースオフィシャル)がロードクローズ(道路閉鎖)中は厳重に観客やメディアを管理します。
その管理の方法は、法律で警察と同じ権限を与えるという強いもので、無断で立ち入り禁止エリアに入ったり、コースを横断しようものなら、逮捕されて刑務所行きになったり、何十万円もの罰金という処分が待っています。

TTの場合、フォトゼッケンを付けたカメラマンは観客よりも入れるエリアが多いのですが、一番迫力ある写真を撮れる場所は案外、観客と同じ目線だったりもします。

ですから、観客が多い場所で観客目線で写真を撮ろうとすると、必然的に観客の前で構えることになります。

マン島TTレースは基本的に観戦は無料なわけですが、大陸やイギリス、アイルランドを走って、船に乗って、時間とお金をかけてやってくる観客はプレスより立場は当然、上、ということに暗黙の了解でなっています。

たとえば、

20070604_tt_0037s

こーんなことになっちゃう人気の観戦スポット、バラフブリッジでは──。

20070604_tt_0012s
(手前にしゃがんでいる人たちがカメラマン。後ろに鈴なりになっているのは、柵の外にいる観客)

「カメラマンはしゃがんで下さい」とマーシャルに言われます。気付かない新参者には、マーシャルが注意して回ります。

(追記)写真ではカメラマンたちが腰を下ろしていますが、本来、カメラマンはお尻を地面に着けて座り込んではならないとこになってます。何かあったときに、直ちに逃げられるようにするためです。
原則は地べたに座り込むと注意されますが、このバラフブリッジのこの場所はコーナーのアウト側ですがクリッピングポイントの手前なので、長年の経験でほぼ安全と見なされているのでしょう。(そうでないと観戦もできない)
場所によっては(たとえばラムジーパーラメントスクエアのアウト側)なんかは、バイクが飛び込んでくる恐れがあるので、座り込まないで、と注意されることがあります。


Img_1037

しかし、マウンテンエリアの終わりの見どころ、長い下りから豪快に右にカーブするクレッグ・ニ・バーではこの通り。ずらりと大柄なカメラマンたちが長いレンズを構えています。

彼らの背後はクレッグ・ニ・バーというパブ&レストランで、建物内にはお客さんがいるのですが、観戦を楽しみたいお客さんは建物の2階に上がるので、ここでは問題に付されません。(※2011年の場合、VIPエリアとして事前にチケットを購入した人でないと建物内に入れなかったので、さらに問題は少なくなりました)

競技>観客>プレス

レース中、カメラマンだけでなく、観客も、カメラのストロボ(フラッシュ)を光らせてはいけないことになっています。
これは、フラッシュの閃光がライダーの眼を惑わせる、という理由で、かなり昔からそういう決まりになってます。
自動的にフラッシュを炊いてしまうコンパクトカメラに対しては、マーシャルがストロボをふさぐ黒いテープを持ち歩いて、見つけるとふさだり、マーシャルが「フラッシュ禁止」の看板を持って練り歩いて注意喚起する場所もあります。

また、給油などを行うピットエリアには、原則的にはカメラマンは立ち入ることができません

たとえば、TTのスーパースター、Relentless Suzuki by TAS Racingのゼッケン3番、ガイ・マーティンのピットイン時もこの通り。

Img_2137s

テレビクルーもスチールのカメラマンもいません。
写真に写ってないですけど、フレームの外側に安全確認のためのレースオフィシャルが数名います。

先日、鈴鹿8耐のドキュメンタリーを放送した「紳助社長のプロデュース大作戦!」の中で、ピットインしてきたマシンに轢かれそうになっていたカメラマンがいて唖然としました。
有力チームがピットインしてくると、そこにテレビやスチールのカメラマンが群がる、といった構図は、メディアスポーツ化したモータースポーツでは日常茶飯事の光景なのですが、マン島TTにあっては、そのようなことはまず起こりません。

明確に、競技>観客>プレス、という優先順位が実践されているからです。

「なんでカメラマンはピットに入っちゃいけないの?」とオフィシャル(日本で言うところの運営事務局とか競技監督的なポジションのこと)に尋ねると、

「電気式のカメラは、ガソリンに引火する恐れがあるから」

とのことでした。
もちろんそれは、今となっては大義名分のようなもので、本当のところは、レースの進行を妨げないことと、グランドスタンドからピット作業がよく見えるように、との配慮なのでしょう。

デイトナではある年からピットの屋根が無くなりました。グランドスタンドからピット作業が見えやすいように、との配慮なのだそうです。


とはいえ、こんな迷惑オッサンカメラマンもいるこたぁいる

でも、マン島にだって、中にはこんな迷惑なオッサン カメラマンもいます。

Img_2166
(「何だよこのオッサンら…」とガンを飛ばす(嘘)松下ヨシナリ選手)

TT最終日のメインレース、シニアTTが終わり、グランドスタンド側に向いている表彰台で表彰式が始まったところ、数名のカメラマンが塀の上へよじ登っている……。もちろん、レース運営で禁止されている事項ですから、マーシャルが注意するのですが、どく気配がありません。

余談ですけど、TTはレースが終わっていなくても、とっとと表彰式を始めちゃいます。ですから、国歌が流れている間も、背後ではエキゾーストノートがそれをかき消す、なんていうシュールな光景となります。レースが続行されているわけですから、ピットロードの塀によじ登るだなんて言語道断なわけです。

話を戻しますが、TTのピットロードはこんな風になっていて、上側の観衆はグランドスタンドの有料チケットを買った客さんたち、下の柵越しに鈴なりになっているのはパスを持っているチーム関係者などです。

Img_2165
(マン島のグランドスタンド。上が観客席、下の柵越しは関係者)

ちなみに、プレスは原則としてグランドスタンドで撮影することは許可されません。

で、またまた話を戻しますが、この塀の上のカメラマンたち、とくに柵越しで表彰式を待っていた関係者からどくように文句を叫ばれてました。あくまでジェントルな内容でしたけど、

「カメラマンは特権じゃねぇ!」

「チームや観客がいなけりゃ、オマエの仕事は成立しねぇんだぞ!」

みたいな感じ。
何人かはその声を受けて、塀から降りたので、「あんたはジェントルマンだ!」「あんたは本物のカメラマンだ!」などと讃えられていましたが、右側の人は最後まで降りることはありませんでした。

んで、この方。公道レース界では大御所のカメラマンで、何冊も素晴らしい写真集を出版されている方です。
この表彰式のあとも、さらに困った行動に出ておられました。

Img_2191
(左がガイ・マーティン選手、右が勝ったジョン・マクギネスマギネス選手)

この写真はメインのシニアTTを終えての記者会見の様子ですが……。大御所さんが、選手のいるテーブル前でどーんとカメラを構えるもんですから、壁際に並んだ他のカメラマンさんたちが困惑すること、困惑すること。

ちなみに、記者会見会場はこんなレイアウトになっています。

2011ossan
(いつものように、左手マウスで描くマイクロソフト・ペイントによる図)

入り口側に選手が並び、中央にはラジオや雑誌記者など。壁際にテレビクルーとカメラマンなどが並んでいました。
……なのですが、なぜかこの大御所さんだけは、選手席の真ん前に陣取って動かない。ずっと動かない。動かないのにフォトセッションもない。いや、あったかもしれないけど。表彰式のフォトセッションでも、選手と50cmくらいの至近距離まで近づくオッサン大御所さん。

いつ殴り合いのケンカになってもおかしくないのですけど。

暴力的な解決をさせないためには、オーガナイザーがそこまで面倒みないといけないのかな、なんて漠然と思っているところです。

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