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2006.11.21

回避できない交通事故

日本では任意保険の過失割合という妙なものがあって、「両方動いていたらどちらにも過失が生じる」という不思議な常識がある。
しかし、法律を遵守して走っていたとしても、絶対に避けきれない交通事故というものは確かにある。

以下、自動車ニュース&コラム(2006年11月19日号その2)のまとめ記事から。太字は筆者による。

◆自転車の高1死亡事故、「回避は無理」と会社員(29)無罪。徳島地裁

 「走行車線が青信号の時、 運転手は横断歩道の赤信号無視で人が横断してくる事まで予想して走行する注意義務はない」、「交通法規を順守していても事故を回避できなかった」として、無罪(求刑禁固8月)を言い渡した。

 徳島地検は当初、不起訴としたが、徳島検察審査会は「車が赤信号を無視した可能性がある」との遺族の訴えを受け不起訴不当と議決。同地検は再捜査の結果、「信号は青だったものの、安全確認の注意義務を怠っていた」として在宅起訴していた。

 判決理由は「60km/hの場合、衝突地点の約32.75m手前で急ブレーキを踏めば事故は回避できたが、検証によると、被害者の姿をかろうじて認識できるのは27.55m地点であり、事故の回避は不可能だった」、「制限速度50km/hを守って進行したとしても、被害者の姿を認知することは難しい。 いずれの義務を尽くしても、事故を回避することはできない」とした。

しかし、問題点も残る。毎日新聞11月18日付けヤフー経由の記事のウエブ魚拓によるキャッシュ

毎日新聞の報道にもあるように、自転車の運転手が死亡しているため、この判決は自動車の運転手の言い分のみを採用している、という部分だ。
たしかに、われわれライダーにとっても「死人に口なし」という問題は常につきまとう。
結局のところ、ドライビング・レコーダーやライディング・レコーダー、はたまたサイクリング・レコーダーやウォーキング・レコーダーを持ち歩いて記録して万が一に備えるしかないのか? それとも、国中に監視カメラを設置するしかないのか?

事故がこの裁判の判決通りだったとすれば画期的判決と言えるし、真実が違っていたとすれば空恐ろしい判決である。

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コメント

回避できない交通事故 と書かれた交通事故で死亡した当時高校生の姉です。いろいろ調べていましたらここにたどり着きました。あなたのおっしゃるとおり、疑問が残ると思っていただいた方がいらっしゃることに感謝します。6年間私たちは独自に調べ目撃者も見つけましたが刑事事件は疑わしきは被告の利益にと言う言葉がありますように信号での立証は困難とされ争点は前方不注視義務違反のみになりました。加害者は前方のゆっくりとした車を左から抜いて弟を跳ね飛ばしました。前方の車は出てきていません。この判決は画期的とおっしゃられますが、被告にとても寛大な判決でしかないです。追い越し違反も事実だが事故との因果関係はなしとわけのわからない判決理由となっています。この交通事故厳罰化の動きがみられる時代に昭和45年の事故の前例を取り上げてきてとても時代に沿わない判決で悔しいです。

投稿: この事故の被害者遺族です | 2006.11.22 23:55

赤信号無視での事故はお咎め無しというのは信号を守っている者としてはありがたいとも言える判決です。また、多少の制限速度超過についても不問というのも現実に即していると言えるでしょう。実勢に合わない無闇に低い制限速度を基準に議論されると、結果として速度だけが悪者扱いされて、本質を見失いかねません。同じような判決が大阪の自動車同士の事故でもあり、信号無視はやはり極めて重大な過失だとの認識で良いかと思います。ただライダーとしては結局自分の身を守るために、信号無視を想定したライディングをすることになるのですが。
少し気になったのは制動に必要な距離で、空走距離を除いたものとしては60km/hで30m以上というのは長すぎるように思えました。

投稿: JDR | 2006.11.25 15:26

車やバイクで公道を走行するという行為は、他人を傷つける可能性を常に持っています。信号や制限速度は安全への最低限の約束事であり、それを守っていれば誰も傷つかないという事ではないのです。道を利用する者がお互いを思いやりお互いの命の尊さを再認識する事が必要だと思いました。自分の運転はどうなのか、考え直す機会になりました。乱文失礼致しました。

投稿: tomo | 2006.11.29 01:52

 私は自動車共済で査定をしている者です。
 交通事故の裁判には刑事裁判と民事裁判の二つがあります。今回取り上げておられるのは刑事裁判で「疑わしきは罰せず」との原則の当てはまる分です。
 一般的に免許が必要な交通機関同士の事故は赤・青信号の場合はおおむね100%との判断が出ます。これは俗に言う「信頼の原則」に基づいて出されるものですが、相手が免許が必要ない歩行者や自転車の場合、自分の車線側から飛び出したものか、反対から横断してきたものか、飛び出しが急であったか等によって判断が異なります。免許を持つ者に取っては青信号は進めではなく「安全なら交差点に進入してよい」であるからです。
 以前、私が担当した死亡事故は、信号無視で中央分離帯の植え込みの陰から横断した歩行者との事故でしたが、検事が被告に被害者の傷が少し不自然だったためにかなり執拗に反対側からの横断ではなかったかと聞いたそうです。反対からの横断なら時間的に回避措置が取れたと判断されるからです。
 この件は結果不起訴処分となりましたが、免許を持つ者にとって青信号でも絶対なものではありません。
 
 次に、任意保険では「動いていたら双方過失」の件です。これは民事の係争となりますが、特に民間保険ではその傾向が強いようです。
 査定窓口の女性担当者(女性の小林さん失礼)は特にその傾向が強く、何でもかんでも入口では上記のフレーズを主張するようです。われわれが見ても「これは100%やむなしだろう」の事故であっても主張されます。話し合いが進み男性職員(上司かな)が出てきてやっと100%を認める事がしばしばあります。
 しかし、民事の判断で基本的に100%は追突・信号無視・センターラインオーバーの3つのパターンのみで、これらも急ブレーキとか信号の代わり際とか左に避ける余地があった場合とかには100%にならない場合がままあります。
 ともあれ、免許を取り道路を使用するという事は、それなりのリスクを負うことであり、バイクでも体重の何倍かの鉄の塊、4輪に至っては1.5トンもある鉄の塊を数十kmの速度で動かすわけですから、相当覚悟と心構えが必要ではないでしょうか。
PS
 事故を起こして特に自分の過失を認めない傾向の人は、同じパターンの事故を繰り返す事が多いようです。

投稿: kei (奈良) | 2006.12.04 02:18

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