« 首都高の二輪料金・二輪ETCへの見解が一歩前進 | トップページ | ツーリングを楽しくするマピオンブログ »

2005.11.08

モータースポーツの事故報道のありかた

日々のニュースをどうやって収集しているかというと、案外、みなさんの検索ワードで気付くことが多い。今回も、

もてぎ 死亡

この二つの単語が突出していたので、もしや、と思って検索したら、先日の全日本ロードレースST600クラスの予選で転倒したライダーが後日亡くなったことを知った。

すでにリンク切れとなっているが丹念に調べていくと、読売新聞のYOMIURI ONLINEで報道されていたことがわかった。

死亡の直接原因として、

コース脇のコンクリート壁にぶつかり、(中略)多発外傷で死亡した。

と同紙は報道している。さらに、ツインリンクもてぎでの事故について、

1997年8月のオープン以来これで6件、6人目。いずれも2輪の事故で、うちレース中は2件目だという。

事故が起きた場所は、

楕円(だえん)コースの下をくぐる「第2立体交差」の右側コンクリート壁に激突した。この立体交差は、幅が12メートルと、最大幅15メートルの同コースの中では最も狭く、コースから右側壁までは約5メートル。右に90度カーブした直後の直線で、レーサーにとっては加速しながら体重移動をして体勢を整える所だという。99年8月、オートバイ7時間耐久レース「もて耐」の決勝で起きた単独転倒死亡事故も、今回と同じ立体交差付近で起きた。

としているが、99年8月の事故は場所は同じであっても、事故原因や事故形態おそらく異なるし、死亡の直接の原因は全く違う。
ところで、読売新聞の記事の画期的なところは、全日本ロードレースの統轄団体であるMFJに取材していることだ。以下、読売新聞の記事の引用。

2輪レースの安全基準の指導や事故対策を行っている、日本モーターサイクルスポーツ協会(東京都)副局長の隠岐直広さん(48)は「直線部分のコース脇の壁に激突する事故はまれで、すぐに対策をとることは難しく、事故原因の究明を待ってから安全対策を検討したい」と語る。(2005年11月5日読売新聞)


さて、統轄団体であるMFJではどのようなコメントを発表しているのか。MFJのサイトを見てみると。
どうやら、ひと言も事故には触れていない。

それでは、ツインリンクもてぎのサイトはどうか。
こちらも、事故にはひと言も触れていない。

ひょっとして、後日、MFJ会員にはMFJライディング誌で何らかの発表がされるのかもしれない。あるいは、ツインリンクもてぎのレース参加者にはライダーブリーフィングで何か言われるのかもしれない。

けれども、もはや、対外的に事故を発表しないことは隠蔽体質と取られても仕方ないのではないか。

参考までに、今年のマン島マンクスグランプリでの死亡事故についての報道や統轄団体の発表はこのようなものだった。

MGP RIDER DIES AFTER PRACTICE CRASH

EXPERIENCED Manx Grand Prix competitor Geoff Sawyer died in a crash in Union Mills during Wednesday evening's practice session.The 55-year-old interpreter from Ipswich, who had competed in 33 MGP races and won seven silver replicas – including finishing 12th place in last year's Junior and Senior Classic races – was riding a 500cc Classic Matchless.
The MGP organisers confirmed flag marshal Claire Cooper, stationed at Ballacraine during the session, suffered an ankle injury, although no details were given of how.

要約すると、いつ・どの場所で・どんなライダーが亡くなったか。年齢・職業・過去のレース歴・昨年の成績・今回の参加クラス。フラッグマーシャルの報告・事故の詳細はわからないこと。以上を新聞は伝えた。

この事故に対して統轄団体のマンクスモーターサイクルクラブは直ちにスペシャルアナウンスメントを発表。

2005 Manx Grand Prix ・Special Announcement 25/08/2005 The Manx Motor Cycle Club, organisers of the Manx Grand Prix in the Isle of Man, regret to announce that a competitor was fatally injured in a crash during Wednesday evening痴 practice session. Fifty-five-year-old interpreter GEOFF SAWYER, from Ipswich, lost control of his 500cc Classic Matchless at Union Mills. Mr Sawyer was a regular competitor in the Manx Grand Prix, having competed in 33 previous races and winning a total of seven silver replicas, including finishing in 12th place in last year痴 Junior and Senior Classic races. The Club wishes to express its deepest sympathy to the family and friends of the late Mr Sawyer.

要約すると、残念なお知らせ、年齢・職業・名前・出身地・事故の場所・参加クラス・マシン・事故原因、故人のレース歴、団体として遺族への哀悼の意、以上を公式発表した。

また遺族は事故1週間後に関係者に礼を述べるコメントを発表。

Message from Kath Moore, Geoff Sawyers partner 02/09/2005 Following Geoff痴 death at the Manx Grand Prix, Kath would like to send her heartfelt thanks to everybody involved in the organisation of the racing which Geoff enjoyed so much over many years. The Isle of Man has always been a very special place and the many kindnesses of officials, medical staff, airport staff, our racing friends and the people of the Isle of Man were very much apreciated.

ところで、今年のマンクスグランプリ(マン島TTではない)では、6名の死者を出し、国内外で議論となった。以下はマン島政府のコメントの記事

MGP DEATHS 'WORST EVER' A GOVERNMENT minister has described this year's Manx Grand Prix as the worst he can remember in terms of fatalities.Six competitors died on closed roads and Trade and Industry Minister Alex Downie, who is also a long-standing marshal, said it was the 'worst MGP I ever remember'. The number of deaths equals the most ever in either the TT or the MGP. Tourism and Leisure Minister David Cretney – a former MGP competitor himself – said: 'My thoughts are with the families and friends of the riders involved in tragic accidents during the races. 'As a former road racer I know clearly how the immense pleasure of the competition on the TT Mountain Course outweighs substantially the obvious risks involved but, if anything can be learned as a result of the accidents, by the organisers, that will of course receive priority.' 05 September 2005

さてこれを読んでみなさんはどう思われただろうか。これだけやっても死亡事故がある公道レース。事故を報道してない日本はイギリス(マン島ではない)に比べてそもそもロードレースの死亡事故件数が数分の1と格段に少ないのだからこのままでいいのか。
過去から学ぶことこそ大切だと私は考えているが、さて。

|

« 首都高の二輪料金・二輪ETCへの見解が一歩前進 | トップページ | ツーリングを楽しくするマピオンブログ »

「スポーツ」カテゴリの記事

「バイク」カテゴリの記事

「モータースポーツ」カテゴリの記事

コメント

ご無沙汰してます。
その、全日本最終戦の予選で転倒して亡くなったライダー氏は、僕の知人でありました。
事故があってから、亡くなるまで少し間があったので、訃報を知ってから色々調べたけれどその時の状況が良く判らなかったんです。
間接的とは言え、やっと多少とも状況を知る事が出来ました。ありがとうございました。
さて、確かに、レース専門誌でも、余程の高名なレーサーでもない限り最近は訃報を報じる事が殆ど無いように感じます。死亡事故記事だけを見て「レースは危ない、バイクは危ない」という外野の声を嫌っているのでしょうか?それとも… 何か意図的なものを感じるのは僕の気のせいでしょうか?

投稿: てっちり | 2005.11.09 01:28

国民のメンタリティの差です。
コノ国の低レベルの国民とソレを煽動する低俗マスコミは、ともすれば、通り魔に刺し殺された通行人と、セミプロのレーサーの走行中の死亡事故を同等の死亡事件としてあつかっちゃうのであって、そんな曲解のされかたを解かっていて、積極的に公開なんかできないでしょう。

投稿: aki@神戸 | 2005.11.10 00:05

まぁ別に公開してもいいけど安全性向上とかモータースポーツの社会性確立とか絶対ありませんから何のメリットもないでしょう。JR西日本をあれだけ連日叩いていたマスコミがいまその話題をしていますか?結局熱しやすく冷めやすい報道姿勢が信条のマスコミだらけですから。海外と同じにすればなんでもOKというわけではありません。

投稿: sato | 2005.11.10 16:23

2003年鈴鹿で起きたmotoGPの事故だって
結局殆どのマスコミは詳しく報道しなかったし死亡したその日のスポーツニュースなんて全然取り上げない。サッカー日本代表がどうだの、K1がどうだのって・・・
世界戦の最高峰クラスで戦ってるって考え方変えたら日本代表と同じだと思う
そんな悲しい事故からもう3年近くなり、どんどん風化してるけど。

日本で加藤 大治郎 の名前を出して何人がわかるのかな?

投稿: atu | 2005.12.13 14:07

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/1903/6941692

この記事へのトラックバック一覧です: モータースポーツの事故報道のありかた:

» ロードレースの事故報道に思う。 [Like The Wind ]
栃木・茂木町の「ツインリンクもてぎ」でレース中のオートバイが転倒し、1人が死亡した。 2日午前11時半前、茂木町の「ツインリンクもてぎ」で行われていたMFJ全日本ロードレース選手権決勝で、スタート直後に加藤直樹選手(34)のオートバイが転倒し、後ろからきたオートバイが衝突した。 この事故で、加藤選手は病院に運ばれたが死亡した。 警察は事故原因を調べている。 以上、フジTVニュース(2006/04/02 19:17 )より引用。 LINK... [続きを読む]

受信: 2006.04.03 01:52

» 事故の原因と受傷の原因は別 [小林ゆき[バイク]BIKE.blog]
個人的な伝言。昨日のコメント読んで泣きました、ホントに。>近藤さんへ。 さて。 [続きを読む]

受信: 2006.04.05 12:09

« 首都高の二輪料金・二輪ETCへの見解が一歩前進 | トップページ | ツーリングを楽しくするマピオンブログ »