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2005.09.19

MOTO GPテレビ中継に思うこと

マン島時間で朝5時45分から、早起きをしてケーブル放送のEURO SPORTS 2 で生中継していたJAPAN Grand Prix のMOTO GPをテレビで観戦した。もちろん、地上波ではBBC2がカバーしていて、地上波は午後1時20分からMOTO GPの録画中継、それが終わった直後にちょうどバッティングしない時間で2時半から再びユーロスポーツ2でGP250の録画を放送した。そしてそして、今晩も2回3回、そして明日の朝まで何回かリピート放送の他、もちろんニュースのスポーツコーナーでもその結果が流れるのである。

イギリスは最近再びロードレースブームではないかと感じている。マン島TTやマンクスグランプリやイギリス本島のショートサーキットでのレースのエントリー数がたいへん増えている。そしてそれを支えるのはもちろんレースファン、観客、スペクテイターさんたちだ。
観客に情報を提供するのは、モーターサイクルニュースという週間のバイク専門新聞や、月刊のバイク雑誌やウエブサイトである。特に新聞やウエブサイトはパドックゴシップと言われる、誰がどーしたこーしたの噂話が日本の比じゃなく報道される。さすがはタブロイド紙のパパラッチのお国柄。

だから イギリス選手権やWSBKで活躍する日本人の名前はライダーにかなりの確率で認知されている。カガヤーマ、ハガノーリ、フジワーラ!みんな、とりあえず名前を羅列して喜ばせようとしてくれて嬉しい限りです。

さて、モトGPのテレビ中継の話に戻って。
感心したのは、番組タイトルロールの作り方。ロッシやビアッジだなとわかる範囲でデフォルメしたアニメーションなのです。
そして、そこに転倒シーンはない。

日本だと、オートバイのロードレースに限らず、四輪のフォーミュラ1やラリーですらも、必ずタイトルロールに繰り返し転倒シーンやクラッシュシーンが使われる。確かに、転倒やクラッシュはセンセーショナルで、ザッピングされがちな視聴者のチャンネル選びに強烈に訴えるかもしれないけど。確かに、転倒やクラッシュはレースの行方を左右する一つのファクターではあるけれど、レースの本質的な面白さはもっと別のところにあるのであって、転倒クラッシュがすべてではないはずだ。

何度もこのブログに書いている通り、情報のグローバル化が進んだ今、MOTO GPは世界的(ただし西側・北側諸国を中心に、しかし近い将来アジアを巻き込んで)な人気を誇る。そのMOTO GPを支えているのは言うまでもなく70年代後半にバイクの世界を支配した日本のバイク産業だ。
日本のバイク産業とは、バイク製造業だけではない。バイクを構成する部品生産業(タイヤメーカーやバッテリー、プラグなどなど)、ライダーが使用する用品(ヘルメットや革ツナギなど)、MOTO GPに乗っかり宣伝する企業(玉田選手のコニカミノルタやビアッジ選手のシマノなど)などなど、日本企業が関わらなければ成り立たないようになっている。60年代にホンダがマン島TTや世界選手権に参戦しはじめ、早い段階で世界を制覇できたのは、例えばNGKなどバイクの構成パーツメーカーも同時に信頼性の高い性能を実現したからにほかならない。
バイクを取り巻く全ての産業はもはやアメリカのハリウッドが世界を席巻する映画産業であるということと同列に、立派に日本の産業、輸出産業と言えるまでに成長しているのではないか。しかし、そのことを日本の経済界は気がついていないのかもしれない。

で、「今年は地上波で放送しないのかよ~チェッ、やっぱり日本にバイク文化はない……」なんて悪態をつきたいかたもたくさんいらっしゃると思う。(地上波で放送しないことと観客数増とが関係あるかどうかは、統計学的に有為な差が出るかどうか調査してみたい気もするが)

と、話はそれましたが、言いたいことは、「もうテレビで無意味に転倒シーンを流すのは止めようよ」ってなことです。転倒シーンをタイトルロールに使うならスポンサー降りる!と圧力をメーカーなどはかけられないものか。圧力をかけられるくらいなら地上波で放送してるか。意味があっての報道なら転倒シーンの必要性もあるだろうけど、無意味な転倒シーンを使うのはホントやめて欲しい。
ドラマなんかでもバイクが効果的に使われるのならいいけど、ネガティブなイメージを出すために演出するとか、せっかくタイアップでヘルメットを無償提供したのに番組ではアゴヒモしめてないとか、ヘルメットを乱暴に投げ落とすとか、そんなシーンが放送されないよう、メーカーさん側できっちりコントロールできないものか。

転倒シーンが繰り返しタイトルロールで流されるから、それが脳にインプットされ、転倒したバイクの姿を街をゆくバイクの姿にアウトプットされて、脳の中でミックスされて一般化されてしまう。
それが、「バイク=危ない」、の正体なのではないかと仮説を立てている次第で。社会心理学者さん、テレビでの転倒シーンの認知度とバイクに対するネガティブな意見との関係を実証的に研究してみてはいかがしょう。

ややネタばれな話とナーバスな話は「続き」へ続く。

で、バレンティーノ・ロッシ選手のダウンヒルでの複合事故と、125の赤旗中止になった最終コーナーでの複合事故について。

ダウンヒルは言うまでもなく、一昨年は玉田選手が接触事故を起こし(そして失格となった)、そして99年のもて耐決勝では大島正選手が致命的な事故(結果は……。)に遇った場所だ。
125ではまったく同じ最終コーナー立ち上がりで昨年も同じような事故があった。

普段、レースでの危険性を説きつつも他のスポーツと比べてモータースポーツが突出して危険ではない、という立場を取っている私だが、今回のロッシの件を考えると、もてぎのダウンヒルはトップライダーですら難しいコーナーだということを再認識した。
最終コーナーもまた、手前のビクトリーはラインが交差しやすいことに加え、最終コーナーはカントがフラットなのでトラクションが抜けやすく難しいコーナーだと再認識した。

ロッシはレース後のインタビューで「ブレーキを失敗してしまった。それまで・・(メランドリ? バロス?)は違うラインだったから大丈夫なはずだったけどそのときはラインを変えてきてぶつかってしまった」というようなことをコメントしていた。偉大な世界チャンピオンですら間違いはあるらしい。

単独転倒と複合転倒では起こる意味はまったく違う。もちろん偶然も絡む。
だったら、何をどうすればより危険は少なくなるのか。。。

単独事故で亡くなった加藤大治郎選手のときはこれまでになくしっかりと事故調査が行われた。
結果が重大ではなかった事故についても、きちんとした事故調査を行い事故報告書を作り、作るだけでなくそれがそのライダー自身や後進のライダーのためにフィードバックされるような仕組みが、今こそ必要なのではないだろうか。

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コメント

矛盾・・・
転倒シーンを好んで流すのは
多くのファンが求めているような気もする・・
クラッシュシーンを纏めたビデオが有ったような。
しかし、大事故がおきてしまうと主催者は
さも、大した事故ではなく
ライダーの責任で事故はあったかのような発表。
事故後、地元の警察は一応現場検証に入りますが
検証結果は一切外部に出る事は有りません
曰く「道路法に基づく道路での事故ではないので・・・」
息子の名誉のために真の事故の原因を調べましたが
その結果も、何故か大きな声で言うのは憚れる業界。
大治郎君の場合の事故調査は世論に押されて
始まったように感じたのは私だけでしょうか?

数年前に、今後のロードレースの発展のためにも
事故調査が必要とMFJに訴えました。
遺族のためではなく、ゆきちゃんが言うように
ライダー自身や後進のライダーのために
フィードバックし事故を防ぐために
調査結果を機関紙で発表するべきでは無いかと。

1年半ほど前に、MFJのある責任者の方から
準備を始めていると聞きましたが、その後は?
レースで息子を亡くしたご両親の多くは
二度とレース界の事を見ることも、聞きたいとも
思わないかもしれません。
私は・・・息子が愛し続けたバイク・レースの
安全を願い、祈り、発展を望んで居ます。

昨年の鈴鹿300K以来2度目の鈴鹿に行きます。
(25日全日本)でも、ちゃんとレース見れるかな?
300Kはパドックのモニター観戦でしたから(^^ゞ
ゆきちゃん、帰国はもうすぐですか?
もてぎMOTO GPテレビ中継はまともにレースの
内容が分からんと、とっても不評です・・・
なんでかなぁ

投稿: 正の母 | 2005.09.19 09:29

ぱちぱちぱち♪
乗っている人間からすると、誰しもクラッシュとまではいかないにせよ、コケているので、フツーに見てましたが、乗ってない人間からすると、クラッシュシーンほど怖いものはありませんし、それで乗りはじめるのをやめる人もいるんでしょうね。
日本人が世界を相手に対等に戦えるスポーツをもっと、取り上げて欲しいですね。

投稿: NecoYanagi | 2005.09.19 10:45

 初コメントです。

 先日、地元のミニサーキットで行われた草レースで、友人がハイサイドで転倒してしまい、右手首骨折と軽い全身打撲 の
ケガを負いました。

 当日メカ兼ヘルパーとして、参加していたので、最近はレースのクラッシュやアクシデントシーンは見ていてあまり気持ちの良いものではありません。

 もちろん、レースですから、クラッシュやアクシデントはついてまわるモノだとは思いますが、そればかりを強調するのは、いかがかな・・・、と。
 
 正の母さまもコメントされていますが、レースで起きたアクシデントの処理について、友人の転倒から、いろいろと考えさせられました。

 もちろん、転倒してしまった本人が悪いのですが、その後の処理にも問題があり、マーシャルやサーキット側の勉強不足、草レースだから、では済まされない、エントラント側の認識・知識のなさ、など反省材料が
山積みです。

 残念ながら、友人はロードレースを、引退する事にしたそうです。せっかく、自己タイムベストを更新しながら、ラップしていたのに・・・。

 レース環境の改革も必要だと思う、
今日この頃です。 


投稿: M.S Rider | 2005.09.20 18:03

モトGPの番組タイトルロールは各国共通だと思う。
地上波放送はこっそりと行われましたよ。

「バイク=危ない」
見たままの二輪は不安定、ライダーが剥き出し、に潜在意識としてクラッシュシーンが埋め込まれていれば最強ですね。

投稿: 週に一回はロンドンへ行きます | 2005.09.21 13:46

私も同じこと考えていました。
クラッシュシーンにおもしろい効果音を付けて、「珍場面集」って、怒りを通り越してあきれてしまいます。
みんな、そんなに人が死んだり怪我したりするのを見るのが好きなんでしょうかね。

思うに、テレビって媒体は、投資を回収しようと焦るあまり、そのものが持っている魅力をじっくり浸透させることができず、手っ取り早い煽りでお茶を濁そうとする傾向が強いように思います。
中村や松井なんかのヒーローしかり、意外性だけでストーリーむちゃくちゃのドラマしかり、芸人がワーワー騒いでいるだけのバラエティしかり。
バイクレースは、いまだに「命知らずの・・・」っていうなんだかなぁなイメージですかね。

そうはいっても、一般の人にマイナースポーツを紹介できるのはテレビだけというのも事実で、せっかく放送してくれるのですから、安易な煽りに傾かないようにMFJや業界、もちろん私らファンもサポートしていきたいですよね。

投稿: hiro | 2005.09.21 22:18

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V・ロッシを応援していたが、レース中盤90度コーナーで接触転倒リタイヤ。幸いロ [続きを読む]

受信: 2005.09.21 17:54

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