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2005年9月

2005.09.26

ロッシと七人の小人たち

またまたブリティッシュユーロスポーツのネタですが。(9月26日追記あり)

バレンティーノ・ロッシがMOTO GPのチャンピオンを決め、ファンの人たちが用意したセレブレーション、「七人の小人たち」をうらやましくテレビで眺める。
ロッシが2位でゴール、チャンピオンを決めてウイニングラン。カピロッシとわざわざ停まってお互いを讃えあっていたのが清々しかった。そしてロッシがゆっくリコースを回っていると、黄色いシャツを着たファンクラブ?の人たちがコース際で待っていて、ロッシを停めて「7」と入ったTシャツ(世界グランプリ7勝はかのフィル・リード氏と並んだ!)を着させる。さらにバイクを降りるように促されてグリーンに行くとそこには、ロッシがチャンピオンを取った年を胸に掲げた“7人の小人たち”が待っていて白雪姫がロッシを迎え入れる、というハプニング・セレモニーが起こった。
そんな光景を観たあと、テレビはロッシのピットにカメラが切り替わる。ヤマハの人たちはバンザイをするでもなく、抱き合うでもなく、激しく笑顔でハンドシェイクをするでもなく、ただ淡々と握手していた。その姿は、もてぎとマレーシアで2連勝したドゥカティのピットやピットウォールのスタッフたちの素振りとは全く対照的であった。
そんな場面を見ていたとき、わたしのホームステイ先の居候君にこう質問されたのだが。

「ヤマハの人たちは嬉しくないのか?」

えっとあのそのう、、、そりゃ嬉しいでしょうよ、嬉しいはずだ、嬉しいに決まっている、嬉しいって思っていてくれっ!と内心思いつつ、
ニッポン男子たるもの、人前では涙なんか流さないのだ。喜びは噛みしめるものなんですよーだ。
それか、2位でチャンピオンが決まったからビミョーなんじゃないかな?
あるいは、表彰台にホンダが乗らなかったからしてやったり、とか?

なんてことは上手く英語で説明できませんでした。ごめんなさい。

しかし、もしもロッシがチャンピオンを決めたのが もてぎ だったら、七人の小人たちはコースの際に入り込んでスタンバイすることが果たしてできたのか? なんて愚問とか、ニッポンで七人の小人たちを見られなくて残念とか、複雑な思いでテレビにかじりついていたのでした。
残すところマン島滞在あと二日と少しです。

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2005.09.19

MOTO GPテレビ中継に思うこと

マン島時間で朝5時45分から、早起きをしてケーブル放送のEURO SPORTS 2 で生中継していたJAPAN Grand Prix のMOTO GPをテレビで観戦した。もちろん、地上波ではBBC2がカバーしていて、地上波は午後1時20分からMOTO GPの録画中継、それが終わった直後にちょうどバッティングしない時間で2時半から再びユーロスポーツ2でGP250の録画を放送した。そしてそして、今晩も2回3回、そして明日の朝まで何回かリピート放送の他、もちろんニュースのスポーツコーナーでもその結果が流れるのである。

イギリスは最近再びロードレースブームではないかと感じている。マン島TTやマンクスグランプリやイギリス本島のショートサーキットでのレースのエントリー数がたいへん増えている。そしてそれを支えるのはもちろんレースファン、観客、スペクテイターさんたちだ。
観客に情報を提供するのは、モーターサイクルニュースという週間のバイク専門新聞や、月刊のバイク雑誌やウエブサイトである。特に新聞やウエブサイトはパドックゴシップと言われる、誰がどーしたこーしたの噂話が日本の比じゃなく報道される。さすがはタブロイド紙のパパラッチのお国柄。

だから イギリス選手権やWSBKで活躍する日本人の名前はライダーにかなりの確率で認知されている。カガヤーマ、ハガノーリ、フジワーラ!みんな、とりあえず名前を羅列して喜ばせようとしてくれて嬉しい限りです。

さて、モトGPのテレビ中継の話に戻って。
感心したのは、番組タイトルロールの作り方。ロッシやビアッジだなとわかる範囲でデフォルメしたアニメーションなのです。
そして、そこに転倒シーンはない。

日本だと、オートバイのロードレースに限らず、四輪のフォーミュラ1やラリーですらも、必ずタイトルロールに繰り返し転倒シーンやクラッシュシーンが使われる。確かに、転倒やクラッシュはセンセーショナルで、ザッピングされがちな視聴者のチャンネル選びに強烈に訴えるかもしれないけど。確かに、転倒やクラッシュはレースの行方を左右する一つのファクターではあるけれど、レースの本質的な面白さはもっと別のところにあるのであって、転倒クラッシュがすべてではないはずだ。

何度もこのブログに書いている通り、情報のグローバル化が進んだ今、MOTO GPは世界的(ただし西側・北側諸国を中心に、しかし近い将来アジアを巻き込んで)な人気を誇る。そのMOTO GPを支えているのは言うまでもなく70年代後半にバイクの世界を支配した日本のバイク産業だ。
日本のバイク産業とは、バイク製造業だけではない。バイクを構成する部品生産業(タイヤメーカーやバッテリー、プラグなどなど)、ライダーが使用する用品(ヘルメットや革ツナギなど)、MOTO GPに乗っかり宣伝する企業(玉田選手のコニカミノルタやビアッジ選手のシマノなど)などなど、日本企業が関わらなければ成り立たないようになっている。60年代にホンダがマン島TTや世界選手権に参戦しはじめ、早い段階で世界を制覇できたのは、例えばNGKなどバイクの構成パーツメーカーも同時に信頼性の高い性能を実現したからにほかならない。
バイクを取り巻く全ての産業はもはやアメリカのハリウッドが世界を席巻する映画産業であるということと同列に、立派に日本の産業、輸出産業と言えるまでに成長しているのではないか。しかし、そのことを日本の経済界は気がついていないのかもしれない。

で、「今年は地上波で放送しないのかよ~チェッ、やっぱり日本にバイク文化はない……」なんて悪態をつきたいかたもたくさんいらっしゃると思う。(地上波で放送しないことと観客数増とが関係あるかどうかは、統計学的に有為な差が出るかどうか調査してみたい気もするが)

と、話はそれましたが、言いたいことは、「もうテレビで無意味に転倒シーンを流すのは止めようよ」ってなことです。転倒シーンをタイトルロールに使うならスポンサー降りる!と圧力をメーカーなどはかけられないものか。圧力をかけられるくらいなら地上波で放送してるか。意味があっての報道なら転倒シーンの必要性もあるだろうけど、無意味な転倒シーンを使うのはホントやめて欲しい。
ドラマなんかでもバイクが効果的に使われるのならいいけど、ネガティブなイメージを出すために演出するとか、せっかくタイアップでヘルメットを無償提供したのに番組ではアゴヒモしめてないとか、ヘルメットを乱暴に投げ落とすとか、そんなシーンが放送されないよう、メーカーさん側できっちりコントロールできないものか。

転倒シーンが繰り返しタイトルロールで流されるから、それが脳にインプットされ、転倒したバイクの姿を街をゆくバイクの姿にアウトプットされて、脳の中でミックスされて一般化されてしまう。
それが、「バイク=危ない」、の正体なのではないかと仮説を立てている次第で。社会心理学者さん、テレビでの転倒シーンの認知度とバイクに対するネガティブな意見との関係を実証的に研究してみてはいかがしょう。

ややネタばれな話とナーバスな話は「続き」へ続く。

続きを読む "MOTO GPテレビ中継に思うこと"

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2005.09.17

頑張れ高橋巧クン!

サーキットからの手紙がブログさんからの情報でびっくり仰天!

高橋巧くん──彼がちっちゃい頃にお父さんから熱い手紙をもらって取材しに行ったことがあります。
ダートトラックを。
お父さん、そして巧君の夢が本当に、そしてこんなに早く実現するなんて!

もてぎのMOTO GP 125クラスに急遽参戦することになった高橋巧(たくみ)君を応援します。

(ちなみに高橋兄弟とは関係がないんですよ)

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もてぎのナースさん

EURO SPORT 2 で、もてぎMOTO GP JAPAN を見てました@マン島のゆっきーです。

このブログはけっこう業界関係者のかたもチェックされているようなので、もし間に合ったらぜひ伝えて欲しいんですが(観客のかたがコースに叫んでもいいかも)
テレビで宇川選手を含む転倒シーンが2回流れたのですが、最終コーナーのnurse ナースさんも、ダウンヒルだったかな、そこのナースさんも、ヘルメットのアゴヒモはしめたほうがいいと思いまして。

MOTO GPは世界中に放映されていて何億人もの視聴者がいますし、オートバイの世界をマニュファクチャー、メーカーとして支えているのはニッポン、日本なのであります。
オートバイ自体の4メーカーも、そしてヘルメットメーカーはアライ・ショウエイ・OGKとありますんで、なにとぞ、世界中のバイクファン・レースファンの方々へのポーズとしても、そしてナースさん自らの命を守るためにも、ぜひアゴヒモはきちんとしめていただきたいと願っております。

関係者のかた、気付いたらぜひそのあたりを伝えていただけませんでしょうか。よろしくお願いします。
マン島から愛を込めて。

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2005.09.15

1962年マン島TTのプログラムに日本メーカー初の広告出稿

1962年にマン島TTのプログラムに、日本のメーカーとして初めて広告を出したのはどこか。それはもちろん世界グランプリ進出でめざましい成功を遂げていたホンダです。
以下、広告の文章。

HOW'S THIS FOR PERFORMANCE?

FROM SCRATCH TO THE LARGEST PRODUCERS OF MOTORCYCLES IN THE WORLD
 in 14 years flat!

HONDA Brochures and Road Test Reports from Honda's Concessionires...

England,Scotland and Wales, for all m/c's over 100c.c.:HONDIS LTD.,
Nothern Ireland all models:ARTIE BELL,
Republic of Ireland , all models:REG ARMSTRONG MOTORCYCLES LTD .,

HONDA MOTOR COMPANY LIMITED, 5,5-chome, Yaesu,Chuo-ku, Tokyo,Japan.

まだ本社は八重洲にあったのと、レースでのサクセスより市販車の販売を前面に打ち出していたのですね。

……と、こんなふうにマン島滞在中は毎日博物館に通って文献研究などちまちまやっております。。地味な毎日のようでいて実に楽しい!

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2005.09.14

58年前の法律と100年以上前の法律と

日経bpのセーフティジャパン2005という企画サイトの中にモータージャーナリスト岡崎五郎氏の興味深いコラムを見つけました。

道路やクルマ事情の変化から考える、理想の速度規制とは?(表題のコラムから以下一部引用)

とくに暴走しているわけでもなく、ごく普通に走っていても捕まるのが現在の交通取り締まりの実態だ。なぜなら、制限速度と交通の流れには明らかな乖離(かいり)があるからだ。一般的に、幹線道路や高速道路では制限速度プラス10km/h~20km/hで流れている。とくに郊外の片側一車線道路などでは、制限速度を守って走っていたら後方に長蛇の列ができるのがオチ。パッシングライトを浴びたり、異常接近されたり、最悪の場合はしびれを切らしたドライバーが追い越し禁止区間であるにも関わらず強引に追い越しを試みるケースもある。必要以上に低い制限速度が無用な危険を生みだしている好例である。要は制限速度違反イコール悪と決めつける前に、その考えのもととなる制限速度が、現状に照らしてみて妥当なものであるかどうかを考えるべきだということだ。

 そもそも60km/hという法定最高速度(速度標識のない一般道路の制限速度)の妥当性に私は大いに疑問をもっている。定められたのは戦後間もない1947年のこと。当時の道路で舗装されていたのはごく一部で、基本は未舗装。信号機や歩道、横断歩道の整備もゼロに近かった。日本の大動脈である国道1号線でさえ、1950年代まではほとんどが砂利道だったといえば、当時の道路事情がいかに劣悪だったかが理解できるだろう。もちろん、自動車の性能も現在とは比べものにならないほど低かった。1947年といえば本田宗一郎が自転車用補助エンジンをヒットさせた年であり、クルマはまだまだ庶民にとって高嶺の花以上の存在だった。なにしろ純国産車の先駆けである『スズライト』(スズキ)や『トヨペットクラウン』(トヨタ自動車)が登場する8年も前のことなのである。

 それに対し現在は砂埃が上がらず、ブレーキがよく効き、スリップもしにくい舗装路が基本。自動車の性能も飛躍的に向上している。つまり、危険を感じてブレーキをかけた場合に必要な停止距離は大幅に短縮されている。にもかかわらず、歩道や信号機ががきちんと整備された幹線道路でも相変わらず58年前の規制が適用されていることに、合理的な説明を付けるのは難しい。制限速度を守って走ることを苦痛に感じてしまうのも仕方がない。

ライダーなら、ドライバーならみな日頃から感じていることではないでしょうか。
実態からかけ離れているから、たとえ実態にそぐっていたとしても法律を破ることが当たり前、みたいな矛盾した傾向さえ感じている今日この頃です。
このコラムの最後に日本初の80キロ制限の一般道のことに触れています。

マスコミ報道のグーグル検索結果はこちら。

これまで一般道の最高速度が60キロを越えている区間は「横浜新道、小田原厚木道路(以上神奈川県)、国道2号線の一部区間(兵庫県や山口県など)の3路線」だったそうです。国道2号線はどんな道だったか覚えてないのですが、地元の横浜新道は高速道路のような有料道路、オダアツこと小田原厚木道路も高速道路と直結した有料道路です。
ちなみに、高速道路然とした名阪国道こと国道23号線は高速道路と直結していて勘違いしないように「ここは高速道路ではない!」と掲示されていたことがありました。

ところで58年前の法律のまま一般道は60キロ制限となっている日本ですが、18世紀の法律のまま来てしまったマン島も最高速度について問題になっています。

19歳の友だちを亡くした女の子たちの署名活動の記事

それによれば、マン島は21世紀なのにいまだに18世紀の法律で生きていかなきゃいけないの?ってな疑問を呈しています。
18世紀の法律とはもちろん、マン島の速度制限なしの交通法のことです。
マン島は世界でも珍しい一般道(高速道路はない)の原則速度制限なし、の国です。

18世紀ではありませんが、20世紀初頭のクルマはこんな感じでした。

Car TT 100周年記念イベントの模様の記事

そんなマン島も年々交通事故は問題になっていて、かつて1947年から50年代にかけてパーツメーカーがテストコースとして走った由緒あるBALLAMODHA STRAIGHTもついに時速40マイル(=64キロ)の速度制限が設けられました。(当該記事)

そんなマン島では昨年、島の最高速度を規制するかどうか議会で審議されました。しかし、記事によればTTやMGP(マンクスグランプリ)のファンを中心に反対意見が強く出てロビー活動をしたといい、結果的には昨年はその法案は通りませんでした。

58年前の法律で実勢にそぐわない速度規制の日本と、18世紀の法律のまま速度制限がないマン島と。
「スピードが悪」という世論(または日本におもいては世論の誘導?)の根源は同じのようですが。悪いのはスピードではなく、それをコントロールできなかった人間なのにね。

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2005.09.12

排ガス規制は京都議定書に絡む国策か

それではなぜホンダは法をおかしてまで研究開発を急いだのでしょうか。前回の当ブログの記事に対して皆さんから貴重なコメントをいただいた。それをヒントにさらに調べてみました。と言ってもただいまマン島に滞在中ですのでインターネット上でわかる範囲でのものですが。

すると、道路運送車両法の中で以下の申請を国土交通省にインターネット上で申請できるということが検索してわかりました。

試作自動車又は試験自動車の認定申請
車台番号又は原動機型式の打刻をする者の指定申請
自動車の型式指定申請
自動車の型式認定申請

そのうち、試験自動車認定は、道路運送車両の保安基準第56条第4項の規定による 、ということまでわかりました。しかし、申請書の形式やオンライン申請の方法はわかったのですが、認定されたあとにどのようなナンバーが与えられるのか(与えられないのか)、もし試験車両・試作車両用のナンバーが発行されるとして、何台分まで発行されるのか、1台ぶんだけなのか100台分なのか、さらに試作車・試験車の保険加入制度についても、インターネット上で私が探してみた範囲では判りませんでした。
今回の事件が起きた可能性として、試作・試験車両用のナンバーが合法的に発行されると仮定して、
1・公道テストに必要な台数分発行されなかったから
2・時間的に試作試験車用ナンバーの発行が間に合わなかったから
3・怠慢?黙認?慣例?
事実は警察が明らかにしていくことでしょう。
ちなみに事件報道前後のホンダの株価はこんな感じ。大勢に影響なかったみたいです。

道路車両運送法については、総務省行政管理局のe-Govというサイトで全文検索することができました。以下、長いですが同サイトからの引用抜粋です。

第五十六条  製造又は改造の過程にある自動車で法第三十四条第一項(法第七十三条第二項において準用する場合を含む。)の臨時運行の許可又は法第三十六条の二第一項(法第七十三条第二項において準用する場合を含む。)の許可を受けて運行のように供するものについては、工場と工場、保管施設若しくは試験場との間又はこれらの相互間を運行する場合に限り、本章の規定のうち当該自動車について適用しなくても保安上及び公害防止上支障がないものとして国土交通大臣が告示で定めるものは、適用しない。 2  前項の自動車には、第三十七条第一項本文又は第三十九条第一項本文の規定にかかわらず、尾灯及び制動灯を後面にそれぞれ一個ずつ備えればよい。 3  法の規定による検査等により本章に定める基準に適合していないことが明らかとなつた自動車又は故障若しくは事故によりこれらの基準に適合しなくなつた自動車については、これらの基準に適合させるため整備若しくは改造を行う場所又は積載物品等による危険を除去するために必要な措置を行う場所に運行する場合に限り、当該基準に係る本章の規定は、適用しない。ただし、その運行が他の交通に危険を及ぼし、又は他人に迷惑を及ぼすおそれのあるものにあつては、この限りでない。 4  国土交通大臣が構造又は装置について本章に定める基準の改善に資するため必要があると認定した試作自動車又は試験自動車でその運行のため必要な保安上又は公害防止上の制限を付したものについては、当該構造又は装置に係る本章の規定は、適用しない。

さらに、試作自動車・試験自動車や型式認定・型式指定を受けられるメーカーは国土交通省が認定したメーカーでなければできない、ということも見えてきました。“第五の二輪車メーカー”や光岡自動車に至る難しさはこのあたりにありそうです。

さて、長々と前置きを書きましたが、研究開発と国益と法律の壁~ホンダ事件のエントリーの中で、朝日新聞の報道によれば

空気が薄い高地での走行試験

をホンダ側は理由に語っていたといいます。なぜだろう、と考えているときこんなニュースを思い出しました。

国土交通省のプレスリリース
「二輪車の排出ガス基準を強化しました」

国土交通省は、本日、小型二輪自動車、軽二輪自動車及び原動機付自転車(以下「二輪車」という。)の排出ガス基準を強化するため、「道路運送車両の保安基準の細目を定める告示」(平成14年7月15日国土交通省告示第619号)等を一部改正し、即日施行しました。  今回の排出ガス基準の強化は、中央環境審議会第6次答申に基づくものであり、これにより我が国の二輪車の排出ガス規制は世界で最も厳しいレベルのものとなります。具体的には、今回の強化により、排出ガス規制値が従来と比較して、炭化水素(HC)及び一酸化炭素(CO)については車種により75%~85%削減、窒素酸化物(NOx)については50%削減されます。

報道されているニュースへのリンクはこちら。
国立環境研究所のEICネット
日経BP
バイクテル

二輪車の排出ガス規制について、現状はJAMA・自工会・自動車工業会のサイトを参照してみてください。(以下、同サイトから抜粋引用。太字は筆者による)

日本と諸外国との規制値の比較は次の表のとおりで、日本の場合、諸外国に比較して規制値が厳しくなっています。また、諸外国の場合は「工場出荷時(認証試験時)」の測定値で規制しているのに対して、日本の場合には車種によって6,000km~1万2,000km走行後の測定値も下記の規制値をクリアするという耐久性も求められており、世界でも最も厳しい排出ガス規制となっています。

マフラーなどアフターパーツメーカーの団体であるJMCAのサイトも参考までに。

90年代までの日本製のバイクはほとんどエンジン焼き付きを気にしてか濃いめのキャプレターセッティングとなっていましたが、フューエルインジェクションが普及してきたことと前回99年頃の排ガス規制で、インジェクション車もキャブレター車も大幅に薄めのセッティングへと変わってきました。
それが、さらに厳しい排出ガス基準に合致させなければいけないのですから、高地での試験走行は必要なことだということは理解できます。日本は狭い狭いとはいえ、標高差は最大2000mほどにもなります。気圧を変化させることができる実験室があっても、実際の走行で得られる数値は比較にならないほどたくさんのデータを得られることでしょう。

この世界一厳しい排ガス規制を世界に先駆けてなぜ日本で導入するのでしょうか。
理由は京都議定書にあると私は考えています。

京都議定書の和訳を参考にしてみてください。京都議定書とは、正式名称を気候変動に関する国際連合枠組条約京都議定書というのだそうです。
京都議定書とはなにか。簡単に言うと、地球温暖化の原因となる温室効果ガスの削減を先進国に求める国際条約、なのですが、アメリカが受け入れを拒否という現状になっていて問題山積みです。詳しくは下のサイトを参考までに。

はてなの京都議定書の説明
環境gooの京都議定書のコーナー
ウィキペディアの京都議定書の内容

で、地球温暖化に大きく悪影響を与えているものの一つとしてガソリンエンジンの乗り物が挙げられます。
日本は世界の中でもトップクラスの生産台数を誇る自動車産業を持っているのは周知の通り。
(最近では現地生産が増え、単純に生産台数=世界のシェア、ではなくなってきていますが)
その自動車産業で、京都議定書に批准させた基準を持つ自動車や二輪車を開発生産することは、単純に輸出産業でのシェアを高めるというだけでなく、技術的なイニシアチブを持つことができると考えられるわけです。
そういう意味で、京都議定書に先駆けた世界でもっとも厳しい排出ガス規制を日本国内で先行して法律で施行実施させることは、結果的に国策として利益をもたらすことになる、と衆議院総選挙の熱も覚めやらぬ日本国は考えていると思われます。。

「空気が薄い高地での走行試験」は、「世界初」「世界最先端」にこだわるホンダならではの事件だったのでは。
さらに言えば、京都議定書批准モデルの開発だけでなく、来る10月に開催される東京モーターショーでのニューモデルの発表のため研究開発を急いでいた、という背景があったのではないでしょうか。

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2005.09.10

ケンレイ君

左側のサイドバーに書籍を紹介させていただいたりしているのだけど、少し前からちょっとテイストが違う本を紹介していることに気づいたかたもいらっしゃると思う。

実は、著者の竹内謙礼君は元同僚、というか隣どうしの編集部だったことがある。謙礼と書いて「ケンレイ」さんと読む。本名なのだそうだ。余談だがその出版社には展典と書いてテムジンさんと読むこれまた珍しい名前の編集者もいたりする。変わった名前の学生さんはその出版社への就活が有利になるかもしれない。ウソですが。

私が働いていた、最近ホビダスを始めた環七出版ジャバ・ザ・ハットの手下として来客のかたにお茶をお出ししていたころ。ケンレイ君はまだ学生で環七出版ネコ・パブリッシングに内定が出て、後期試験が終わってから卒業まではインターンのような形でアルバイトしに来ていたと思う。その後、正式入社したあとは隣の編集部に配属。学生時代、オーストリラアをカブで横断したりしていたケンレイ君だが、その編集部の厳しさは並じゃなかったのかもしれない。いろいろと苦労している様子を電柱の影から明子姉ちゃんのようにエプロンの端を噛みつつ見守っていたのだよ(ウソ)。
そのうち彼は別の部署に配属になったあと、同分野の別の出版社へと転職していった。しかし数年後には名前を聞かなくなったと思ったら……。

いつも愛読している自ニコこと自動車ニュース&コラムの広告にて竹内ケンレイ君の名前を見つけてもうびっくり。その名も「売り上げがドカンとあがるキャッチコピーの作り方
しかもネットショップで年商1億5000万円を売り上げるカリスマネットショップコンサルタントになったっていうじゃありませんか、こーんなちっちゃかったオマエが立派に育ってねぇ、姉ちゃん嬉しいよ、みたいな嬉しいびっくりだった。

というわけでバイクの話題とはそれましたが、元同僚のよしみでケンレイ君を勝手に応援する次第です。

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2005.09.09

なぜマン島では公道レースができるのか

なぜマン島では公道レースが出来るのか。

それは、法律で決まっているから。

!!
こんな単純なことだが重要なことに今回の研究で気がつきました。
(ちなみにマン島は英国連邦ですがUKではない独立した国で、独自の憲法と法律を持っています)

今は1905年にバイクのTTレースに先駆けて行われたカーTTの100周年イベントが行われていて、
公道閉鎖してのビンテージカーのドラッグレースやヒルクライムが行われています。
ロードクローズ場所の駐車違反は2500ポンド。普段は500ポンドですから、モータースポーツのために法律でロードクローズさせることがいかに拘束力の高いものかがわかります。
何しろ、選挙で選んだ議員が世界最古の議会ティンワルドで討議して決定した法律ですからね、そりゃ市民の間に反対意見が少数あったとしてもマン島では公道レースは続けられるのでしょう。

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2005.09.07

ついにガソリンが200円越える!

西村さんのブログでプラハは

リッター30コルナだからほぼ150円。

とありましたが、ここマン島はついにガソリンが1リットル1ポンドを突破
1リットル1ポンド02.9ペンス=約210円となりました~トホホ。

二桁しか表示できない看板のペトロールステーション(ガソリンスタンド)が多いので、手書きで“1”を書き足したりしています。昨日まで95ペンスだったのになあ。

アメリカは1ガロン(約4リットル)4ドル間近だと言うし、日本はレギュラー130円ですか、安くていいなあ~なんつって。

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2005.09.04

研究開発と国益と法律の壁~ホンダ事件

四輪車でも摘発、是正勧告があったが、ついに二輪でも書類送検される、という“事件”(あえて私は、事件にされてしまった事件、と言いたい)があった。

2005年9月2日(金) 無車検で公道実験 研究員ら書類送検 本田技研開発中の1000ccバイク    開発中のバイクを車検を受けずに無保険で公道を走らせたとして、県警交通指導課と朝霞署は一日、道路運送車両法違反(無車検)と自動車損害賠償保障法違反(無保険)の疑いで、和光市中央一丁目、自動車メーカー「本田技研工業」の研究開発部門の子会社「本田技術研究所」と同社の開発マネジャー(47)ら研究員四人をさいたま地検に書類送検した。(ソース:WEB埼玉=埼玉新聞)

朝日新聞の報道によれば、

「空気が薄い高地での走行試験で、研究を優先してしまった。法的手続きもよく知らなかった」

とのこと。
読売新聞の報道によれば、警察への供述は

「研究に熱中するあまり、法律を守る意識が希薄となった」

という。さらに上記埼玉新聞によれば本田技研工業広報部は

「法令違反を厳粛に受け止め、再発防止策に基づき、各改善施策の完全実施と定着を図ります」

とコメントしたと言う。

確かに、無保険はマズい。だがしかし。

日本の自動車損害保険システムは各車両にかける仕組みになっている。強制保険たる自賠責保険も車両それぞれにかける仕組みになっている。自賠責保険をかけないと車検は受けられない。ところが、車検を受けるためには、車両の型式認定を受けなければならない。
つまり、量産状態に持っていって型式認定を受けないと自賠責保険に入れないし車検を受けられない、ってことだ。
逆に言うと、今回のように厳密に道路車両運送法を適用していくと、日本を走る車両は公道でのテストもしていない車両しか型式認定を受けられないってことになる。それって逆に危なくないの?

車検切れの車両を運行するには、仮ナンバー、すなわち臨時運行許可証が必要だが、あくまで車検が切れている車両の運送用であって、自賠責保険証書と車検証が必要となる。つまり、一度も車検を通ったことのない新規車両の運行はできない仕組みだ。
型式認定を受けていない国産車両を合法的に公道を走らせられる方法はあるのだろうか。調べてみたけどわからない。法律に詳しいかたがいらっしゃいましたらぜひとも教えてください。
というか、ホンダもわからないから腹の内は「そんな方法はもともとないじゃんかー」と思いつつも、とりあえずゴメンナサイしておいた、というところではないだろうか?

今回の事件について業界関係者の10人が10人、そんなの何十年も前からやっている。何をいまさら。と、橋梁談合のときのように言うだろう。しかし、橋梁談合と公道テストでは目的が全く違う。公道テストは末端ユーザーの安全のために行われるものだからだ。そういう意味では、三菱自動車のリコール隠しとも全く次元が異なる。
どんなに立派なテストコースを持っていようが、実際の公道でテストしなければわからないことはたくさんあるはずだ。それとも海外でのテスト? それだって、型式認定前であることは国内と同条件なはずで。じゃあ、どうやってテストしろと。

今回の“事件”は、道路車両運送法(国土交通省管轄)をタテに、警察が取り締まったものだ。しかし、オートバイ産業はそもそも自動車産業としての国策である。日本のオートバイ産業は重要な輸出産業である。そこをタテに、経済産業省は警察や国土交通省に向かって戦う姿勢を見せられないのだろうか。ホンダは経済産業省に「なんとかして下さいよ~」とロビー活動した方がいいんじゃないか。
それとも、今回の件は別の緩和案件との交換条件なのだろうか? 裏の裏まであるのかもしれない。

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