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2005.08.16

ノーヘルOKで事故が増える?


いつも話題を提供していただきお世話になっている自動車ニュース&コラムさんから気になる記事が。
以下、2005年8月12日号から引用。

◆米NHTSA、バイクへのヘルメット着用義務を撤廃したフロリダ州で事故急増

 2000年7月1日の廃止から2年間で、死亡者数は575人となり、ヘルメット着用が義務付けられていた直近2年間に比べ71%増加したとの報告書を発表した

当ブログでリテラシーを鍛えられた読者の皆様も、おやっと引っかかる部分があるのではないか。
タイトルには、ヘルメット着用義務撤廃で事故の件数が増えたニュアンスだが、本文では死者数が増えたことになっている。
事故件数増と死者数増は必ずしも同じように増えるわけではないのは、ここ10年の統計で明らかだ。例えばJAMAのこのグラフ参照。95年を境に、事故件数や負傷者数は増えているが、逆に死者数は減り続けている。もちろん死者数減の要因は、シートベルト着用義務とかエアバッグの普及、チャイルドシートの義務付け、衝突安全性向上などハード面によるところが大きい。
そこから推察するに、ヘルメットという命を守る大切なハードを被らないことにより、死者数は増える可能性は高まるが、ヘルメットを被らなくていいからといって、事故件数まで増えるものなのだろうか?

引用元の記事にあたってみた。
ニッポン消費者新聞の当該記事には、自ニコ以上の記述が見当たらない。見出しと記事を読み合わせると、「オートバイ事故急増で死亡者数が増えている」ような印象を受ける。
本当にそうだろうか。

さすがはインターネット社会、マン島からでもアメリカの米高速道路交通安全局(NHTSA)を捜し当て、アクセスすることが出来た。しかも、当該記事の元となったレポートを全文、オンラインで読むことが出来る!

以下、興味のある方は英文ですが読んでみて下さい。

米高速道路交通安全局(NHTSA)のサイト
フロリダのオートバイヘルメット法の廃止の評価

※オンラインで翻訳を読むには、ヤフー翻訳あたりが便利です

翻訳サイトを駆使して読んでみると、大雑把な結論はこうだ。

・ヘルメット法撤廃以降、バイクの登録台数が増えた。
・ヘルメット法撤廃以降、バイクの事故件数が増えた。
・ヘルメット法撤廃以降、バイクの事故死者数が増えた。

  つまり、自ニコの記事も消費者新聞の記事もあながち間違いではなかったということだ。

以上を踏まえて推察してみると、ヘルメット法撤廃はバイク市場を活況にしたことがわかる。実際、今年のデイトナバイクウイークはこんなにすごい人出であり、NHTSAの登録台数の表を見てもわかる通り、アメリカはバイクブームに突入していると言ってもいい。

統計学の進んでいるアメリカゆえ、ヘルメット法と登録台数増加と事故件数増加と事故死者数増加を、単純に結びつけることはできない、としている。さらには人口増減や走行距離まで考慮、加味したクロス集計を行っている。

フロリダはウインターヘヴンと呼ばれるくらい常夏の州でバカンス客が多く訪れる。そこへ、1万ドル以上の保険に入っていればヘルメットを被らなくてもいいとなれば、気分が高揚したり、ぽわーんとして、つい事故を起こしてしまう、という精神的な作用が影響してないだろうか。

もうひとつのファクターは、アメリカの高額な医療費についてだ。平均的な入院1泊の金額は約70万円。集中治療室だと約120万円だという。わずか1万ドル程度の医療保険では救えない命もたくさんあるのではないか。
国民皆保険かつ医療費がアメリカに比べて安く保障も手厚い日本にいてよかった。最近じゃ、海外での疾病も日本の健康保険でカバーしてくれるようになりましたからねえ。

ヘルメット着用・非着用の議論は今ここではしないことにして、ロビー活動できるようなバイク関係の圧力団体がアメリカにはある、ということがうらやましい。
あと、まともな統計が出来る政府系機関があることも。

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