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2004.03.11

デイトナ200マイル、そのときアーロン・エイツは何を起こしたか

  2004年3月6日土曜日。DAYTONA、デイトナ200マイルで何が起こったか。日本のレース関係のジャーナリストはほぼ一人もデイトナ200マイルに来ていなかったから(カメラマンはいつもの数名来ていたけど)、どこの雑誌も書きはしないでしょう。現場にいた私が見聞きしたことをここに書いておこうと思う。

その日私は、“走り”の写真はIカメラマンに任せるとして、バンクやインフィールドに行ってしまうと絶対に撮れないであろうピット作業のシーンの写真を撮るべく、ピットの1番前のドゥカティの前に陣取った。ドゥカティ999Rのボストロムは何とコースレコードを叩き出し、ピット際には超満員の人だかり。それでも、約2時間の長丁場のレースだから、15分もしたら人もはけて、うまいことピット際に陣取ることができた。
ちなみに、ドゥカ・ボストロムの次のピットには、ホンダのCBR1000RR、ボストロム。次がホンダのゼメキー(ほんとは日系かもしれないのでゼンケ?)、そして5勝目を目指すホンダ、デュハメル。何でデュハメルがホンダの中で3番目かと言うと、 その次のスズキGSX-R1000マシュー改めマット・ムラディン、そして問題のAaron Yates(=アーロン・エイツ)との間にはピットの切れ目(出入り口)があり、その位置が一番ピットインしやすいからだった。

ホールショットは逃したものの、ドゥカティがほぼトップでホンダのボストロムと兄弟バトル、それにスズキが激しく食い下がる、好展開のレースだった、途中までは。
やがて、ホンダ・ボストロムがマシントラブル(おそらくリア周りでメカニックがタイヤ交換でミス)でリタイア。しばらくして、ドゥカティもマシントラブル(恐らく白煙を吐いていたという目撃証言があるのでエンジントラブル)でリタイア。レースの行方は、ゼムキー、エイツ、デュハメル、ムラディンが握った。

恐らく、エイツはボストロム兄弟のリタイアを知っていたであろう。2番手、3番手あたりでバトルしていて焦っていたのかもしれない。それにしても……。

エイツは、インフィールドで周回遅れ(Anthony Fania Jr.=アンソニー・ファニア・ジュニア)に追突。マシンは絡まってコースアウト。(Kカメラマン、Iカメラマン談)それからが悪い。エイツはこともあろうか、追突した周回遅れのライダーに殴り掛かり、頭突きを食らわしたというのだ。(あとで聞いた話しや、後述のSuperbikePlanet.comなどによれば、エイツは相手の胸ぐらをつかんだとか、蹴ったとか、頭突きを食らわした、とのこと。相手のライダーはエイツの行為に対して無視していたという。至極、当然のことだ)

私はその頃、ドゥカティもホンダもリタイアし、これはスズキが勝つかなと思って、モニターを囲むスズキ首脳陣の前で成り行きを見ていた。転倒したことは、スズキ首脳陣(アドバイザーのケビン・シュワンツ含む)の落胆した顔と、会場の大きな歓声でうかがい知れた。やがてスズキ首脳陣の一部に苦笑とも取れる笑いも見てしまった。エイツが何らかのリアクションをしたのだな、とだけ察した。

しばらくすると、顔を真っ赤にしたチームクルー3人がスズキのピットに怒鳴り込んできた。殴られた方のKSW Racingだ。すると、スズキ首脳陣(シュワンツ含む)も立ち上がり、総勢10数名が乱闘寸前に。しかし、こういうときに備えてか、強固な警備員がいるため、「文句は主催者に言ってくれ!」と警備員にKWS側が押し戻されてしまった。もちろん、理屈はそうなのだが、私の目には、アメリカン・スズキ・ヨシムラ側は怒鳴り込んできたKWSと同じ、いや数的には10数名がそれ以上の勢いで怒鳴り返しているように見えた。どう見ても、エイツが殴ったことについて謝罪しているようには見えなかったのだった。
KSWが警備員に押し戻されているとき、たまたま私は目の前にいた。「抗議するのは当たり前じゃないか、身体を殴られたんだぞ! スポーツマンシップに反するじゃないか!」そう怒鳴っていたんだと思う。写真を撮ろうかと思ったのだけど、気分的にはKSW側に私情が入り込み、自分のこの4年間の鈴鹿8耐監督の経験からも、涙が溢れて止まらず、写真を撮ることはできなかった。

結局、レースは同じヨシムラ・スズキのチームメイト、マット・ムラディンが優勝。デュハメルも3位に入り、冷静なライダーが上位に入るのは8耐と同じなのだなあ、と思いつつ、トボトボ帰ろうとすると……。
KSWのピット近くで再び激しい口論が。見ると、KSWのクルーと、タイヤを運んでいたヨシムラ・スズキのクルーが、わずか5㎝の距離で頭を付き合わせてケンカをしている最中だった。KSWの人は真剣に怒っていた。一方、スズキの人は何やらニヤリと笑いながら応酬していた。


 アーロン・エイツの言い訳(ソース:SuperbikePlanet.com)には、ことの成り行き(エイツから感じたこと)を説明しているものの、暴力については「誰も傷つける意図はなかった」としている。

ちなみに、SuperbikePlanet.comでは「どっちが悪い?」投票を行っていて、約90%のスーパーバイクファンが「エイツが謝罪せねば」と答えている。

なお、エイツはスズキに2万5000ドル、AMAプロレーシングに5000ドルの罰金を払うことが決まった。かつ、次回4月のレースの出場停止。反省している場合は5000ドルの罰金は半減されるかもしれないが、問題をどれくらい真剣に受け止めているのか、AMAは引き続き調査する、とのこと。

さて、この事件に関して、キース・パティという編集者はさらに重要な見解を示している。かいつまんで書くと、

青旗の意味がどれだけAMAで通用しているのか? それを、バックマーカー(周回遅れのライダー)もファクトリーライダーもどれだけ理解しているのか? WSBKやWSCのバックマーカーはもっとラップされることに気を使っている。エイツのリアクションは100%間違っていた。しかしその前に、さらに重要かつ明白な課題があるのではないか。

さらにヨシムラのプレスリリースでは「アーロン・エイツは許されない、失望した」と発表。

さらにこの騒動に関してはココCycleNewsあたりが詳しい。


キース・パティさんの見解ももちろん重要だ。日本のサーキットにおいてもしばしば、周回遅れとトップの絡みの問題、オフィシャルの旗の出し方、ライダーからの見え方が問題になる。しかし、もっとも重要なのは、KSWなどプライベーターたちが存在しなければ、デイトナ200マイルというレースは存在できない、ということだ。ワークスだけ2、3台づつエントリーして10台くらいで2時間ものレース、やりますか? スズキはもっとプライベーターに敬意を払うべきだ。特にAMAではプライベーターのトップシェアなのだから。

エイツはエイツで悪いが、現場にいた私が感じたのは、冷静に対応できなかったスズキ首脳陣、クルーも同罪だということだ。

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コメント

見ました。
あれは酷い。
ドロップキックに頭突きって…

投稿: うちだ | 2004.03.11 23:21

ヨシムラのプレスリリース、その毅然とした態度がすばらしいです。

投稿: とみなが | 2004.03.13 14:00

結局、クラブマンには詳細は書けませんでした、あぅ……。大人の事情ではないです。単に、スペース不足。

投稿: YUKKY | 2004.03.16 13:52

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